【普及上参考事項】

羊肉壜詰の殺菌時間について

北海道立種羊場

 

 食肉の貯蔵法の一つとして壜詰は長時間の貯蔵に耐える、風味がよい、加工が比較的容易である等の利点からかなり普及している。しかし加工工程が不完全なために腐敗壜を生ずることがしばしばあり、この原因は主として殺菌の不完全に起因していると思えるので食肉壜詰の合理的な殺菌法を見出すために実験を試みた。材料は羊肉を用いこれを常法により大和煮、味噌煮、コーンドマトンの三種に調理し各々500cc、700cc、1000cc入りの三種の壜に詰めこれをレトルト(加圧せず)に入れて加熱し、加熱時間と壜の中心温度との関係を調査した。

Ⅰ 加熱時間(3時間)及び放冷(4時間18℃)時間と壜の中心温度との関係は第1図の通りである。

第1図

Ⅱ 生育菌を殺菌するに必要な温度と時間を80℃、30分間としこの温度と時間を保つに必要な加熱時間は次表の通りである。
内容の種類 壜の種類
(cc)
80℃に達する
に要した時間
(分)
80℃に30分保持する
に要する最高温度に
達した時間(分)
1回の殺菌に必要な
加熱時間(分)
備考
大和煮 500 29 20 49 加熱時のレトルト内の温度は
95~97℃
放冷時の温度は18℃
700 35 20 55
1000 40 20 60
味噌煮 500 68 15 83
700 75 15 90
1000 89 15 104
コーンドマトン 500 77 15 92
700 87 15 102
1000 85 15 110