【普及奨励すべき事項】

焦性亜硫酸曹達添加サイレージの調製について
 D. 1958年における現地試験成績

北海道農業試験場畜産部牧野研究室

 

 1956年および1957年における基礎試験および1957年の現地試験よりSMSのサイレージ添加剤としての効果並びにサイレージ調製法の方途が見出されたので、今回は道内全般に亘り、一定の基準にしたがって、草およびビートトップについての現地試験を行い、SMSの適応性、実用価値並びに実際の使用方法、サイレージの品質、嗜好性について実験を行った。

 

 

(実験第1) 草サイレージの現地調製試験

1. 試験方法
 (1) 試験箇所
   道内各支庁1箇所と国立、道立関係場所で行う。
 (2) 試験方法
   SMSによるサイレージ調製は慣行法に比べて理論、埋草法にかなりの相違があるので、現地試験にあたっては、本試験担当研究員および道専門技術員が直接指導に当たった。
   また試験方法については同一基準にもとづいて詳細な記録をとった。
 (3) 原料草
   牧草は道内各地で草サイレージとして広く利用されているもの、また将来利用される草種材料をもとにし、草地は十分肥培管理が行われた良好牧草を使用することを原則とした。
   記録には ①草地管理法、  ②刈取月日、  ③草種割合、  ④草丈、  ⑤草種別生育時期 を記入した。
  イ 原料の刈取りの時期 : 荳科牧草(赤クロバー、アルサイククロバー、ベツチ等)は開花5割~盛期、禾本科牧草(オーチャードグラス、チモシー、ブロームグラス、フエスキユウ等)は
                   出穂中または出穂開花期に刈りとること。
  ロ 予乾 : 予乾は原則として行わない。ただし塔型サイロで最下部1m前後までは軽く予乾した原料を埋草することにより多汁を防ぐようにする。SMS原料草の水分としては75~80が
          最適である。
  ハ 加水 : 刈遅れまたは予乾し過ぎた原料は絶対に使用しないこと、また加水も行わないこと。
 (4) 使用サイロ
   各地区ごとに塔型又はトレンチサイロを使用する。
  イ 塔型サイロ : できれば小型サイロを用いること(例 1.5×3m、1.5×4m、1.3×4mなど)。サイロには屋根の取付を行い、大型であれば、窓のほかにサイロ底部に排水口を持つの
              が望ましい。サイロ用ビニールは常法により使用する。
  ロ トレンチサイロ : 標準サイロとして上巾1.5m下巾1m、深さ1.2m、長さ3mの地上盛上げにして容量3.5屯とするが、現地の事情により多少の差は差し支えない。
                280cm3(1立方尺)当り埋草良は平均15kgである。
 (5) SMSの添加量と添加方法
  イ SMSの添加量 : 生草1屯当り0.45%(10封度)を標準とする。
  ロ 添加方法 : 添加にあたつては、添加剤の増量剤としてSMS必要量の1~1.5倍程度の米糠またはふすまと混合し、カツター切込口より均等に投入する。
 (6) 埋草方法
  イ 細切 : 原料草は必ずカツターで1~1.5cmに細切する。
  ロ 踏圧、加圧 : SMSは原料水分に接するとSO2ガスを発生するので各作業には次のような注意が必要である。
   ① トレンチサイロ  埋草中に常時サイロ内に作業員が立ち入り踏付を行うが、トレンチサイロは屋外の場合が多く、SO2ガスは比較的カッターの切り込み風力によって飛散するが
                、なお眼、鼻腔、咽喉を刺激し、作業を困難にすることがある。SO2ガスの発生量多い場合は、埋草当初、深さ30cm程度までの埋草にはサイロ内に作業員を入
               れないで、埋草作業の中断ごとに踏付均らし作業を行う。その際はカッターを空転させ、風のみ送り、発生ガスを飛散させる。15~20分間踏圧を行い、6~10人の
               作業員が切込作業と、空転時の踏付を兼ねて繰り返し行うのがよい。
   ② 塔型サイロ   前記と同要領になるが、切込み→切込中止→カツターの空転→サイロ内の踏付、均らし作業→切り込みの順に作業を繰り返す。
 (7) 埋草後の管理
   塔型、トレンチサイロとも常法によりサイロ用ビニールを使用し、貯蔵中における外界の影響を受けないよう管理を行う。
 (8) SMSサイレージの取出しと分析用サンプルの送付
   SMSサイレージは埋草後30~40日で一応安定する。サンプルはサイロ内の品質を代表し得るので状態のものをサンプルとし、約1.5kgビニール袋に入れ密封して取り出し後直ちに試
   験場に送付する。
 (9) 取出し後のサイレージ給与の調査
  イ サイレージの色沢、香気 : サイロ蓋開け、取出し時の沈降程度、サイレージの損失程度、1日取出量サイレージの色沢とくに緑度、香気など外観的所見。
  ロ 給与家畜の嗜好性 : 乳牛の場合、適当と思われる1日1頭当りの給与量、飽食量、長期給与による乳牛の産乳量、健康、消化、乳質異常の有無。
  ハ SMSについての総括的な意見。
  ニ SMSサイレージの色沢および香気についての所見

 

2. 実験成績
 地区別(①十勝地方、②渡島、檜山、胆振、後志地方、③石狩、空知地方、④上川、根室、釧路、宗谷、留萌、網走地方)に現地の成績を纏めた。

 (1) 十勝地方
   道立新得種畜場では牛用サイレージとして牧草(生)屯当6.4kgのSMSを添加して埋草し、慣行法としてふすま5.2%を添加し比較対照した。幕別、豊頃、鹿追、本別各町村ではいずれも
  ビニールトレンチサイロを使用し赤クロバーを主体とする原料に3.3~5.5kgのSMSを添加して埋草した。新得種畜場及び芽室町はSMSは酸量少なく、かつカロチンが高いので養鶏用と
  してのサイレージ調製を行った(第41表)。
   でき上がりサイレージはいずれもSMSの特徴が見られ、慣行サイレージに比較して緑度高く、高いPHと低酸量が示され、かつ乳牛の嗜好及び取りに対する嗜好も極めて良好なもの
  が作られた。すなわち養鶏用としては、新得種畜場の成績にも示されたように栄養価の高いラデノクローバー、ルタバガ茎葉を選定し、高水分の原料に対しこれに慣用添加物を増量
  剤とし、水分調節を兼ねて行った場合は、極めて良質なサイレージが得られることを立証した。 

    第41表 サイレージ埋草処理と品質
現地 使用サイロ 原料草 10a当
生草量(屯)
生育時期
及び品質②
埋草月日 埋草時
天候
SMS添加量
(kg/屯)③
埋草量(屯)
 
新得種畜場
(牛)
 
ビニールトレンチ オーチャード 79
赤クロバー  20
野草     1
1.2 出穂中 ㊦ 6月18日 小雨 4.9 6.4
(ふすま 5.2%) 4.5
幕別町
 
赤クロバー 100 3.4 開花盛 ㊤ 7月7日 5.4 2.6
豊頃村
 
  〃    100 1.5 7/10開花㊥ 7月8日 5.0 2.4
鹿追村 赤クロバー 85
チモシー  15
2.5 8/10開花㊤ 7月6日 5.0 3.0
  
芽室町①
(鶏)
 
塔型 ラデノクロバー 100 1/10開花㊤ 6月17日 5.0 2.3
 
 
新得種畜場①
(鶏)
    
 
  
コンクリートトレンチ ルタバガ茎葉 100 10月10日 9.6
(米糠7.5%)
1.2
1.2
1.2
本別町 ビニールトレンチ 赤クロバー 60、
ラデノクロバー 30
チモシー 10
5.1 結蕾 ㊤ 6月28日 3.3 1.2
現地 埋草時 区分 埋草日数 色沢香気 原料水分
現地推定(%)
原料
水分(%)
PH 酸組成
総酸 不揮発酸 揮発酸
新得種畜場
(牛)
17 SMS 84 淡暗緑色
Sweet odor少刺激臭
78    5.2   0.60
(100)
0.39
(65)
0.21
(35)
慣用 84 褐黄緑色
甘酸なるも刺激臭
78 4.5 1.90
(100)
1.43
(75)
0.47
(25)
幕別町 13 SMS 146 淡暗緑色
Fresh cut odor
75 81.9 5.3 0.57
(100)
0.44
(77)
0.13
(23)
豊頃村 15 116 緑黄色
Fresh cut odor
83 4.9 2.09
(100)
2.01
(96)
0.08
(4)
鹿追村 17 120 緑オリーブ色
Fresh cut odor
85 77.4 5.2 1.56
(100)
1.36
(87)
0.20
(13)
芽室町①
(鶏)
18 80    〃
Fresh cut odor
83.4 5.4 1.18
(100)
0.87
(74)
0.31
(26)
慣用 緑黄色、甘酸良 4.5 1.83
(100)
1.15
(63)
0.68
(37)
新得種畜場①
(鶏)
17 SMS 淡黄緑色
Fresh cut odor
89.5 5.3 1.09
(100)
0.72
(66)
0.37
(34)
17 慣用 淡褐緑色、甘酸良 89.5 3.9 1.70
(100)
1.45
(86)
0.25
(14)
17 淡黄緑色、甘酸良 89.5 3.8 2.03
(100)
1.77
(87)
0.26
(13)
本別町
 
12 SMS
  註 ①養鶏用サイレージ  ②㊤、㊥及び㊦はそれぞれ品質の上、中及び下を示す。  ③( )内は慣用添加物を表す。

    第42表 原料及びサイレージの一般組成(原物中%)
現地 区分 水分 粗蛋白質 粗脂肪 NFE 粗繊維 粗灰分
新得種畜場①
(牛)
SMSサイレージ   82.9 1.7 1.2   6.6 5.9 1.7
慣行サイレージ 79.0 2.9 1.7 8.1 5.9 2.4
新得種畜場
(鶏)
原料 89.6 3.2 0.5 4.3 1.1 1.3
SMSサイレージ 76.4 4.7 1.2 11.9 2.6 3.2
慣行(米糠サイレージ) 82.8 3.2 2.2 5.2 2.4 4.2
 〃 (ふすま  〃 ) 79.9 5.4 1.7 8.1 2.5 2.4
芽室町
(鶏)
原料 83.4 3.9 1.5 6.8 2.3 2.1
SMSサイレージ 79.6 4.5 1.0 7.6 4.1 3.2
原料 78.3 3.3 1.2 10.2 5.2 1.8
慣行サイレージ 84.8 3.7 0.4 6.4 2.8 1.9
幕別町
(牛)
原料 81.9 3.2 0.9 6.5 5.1 1.5
SMSサイレージ 78.5 3.7 0.9 8.9 5.6 2.4
豊頃村
(牛)
原料 78.2 5.0 1.3 9.0 4.4 2.1
SMSサイレージ 78.0 4.5 1.4 7.4 4.5 4.2
鹿追村
(牛)
原料 77.5 5.1 1.2 8.3 5.7 2.2
SMSサイレージ 77.9 3.9 1.3 8.5 6.1 2.3
    ① 原料の分析なし

    第43表 処理別サイレージの嗜好性
現地 取出月日 損失(%) 高さ
沈降(%)
サイレージ
外観①
給与量 長期給与結果 総評⑧
乳牛体重
④(kg)
産乳⑤
(kg)
適量⑥
(kg)
飽食⑦※
(kg)
乳牛頭数 給与日数 1日給与
(kg)
異状の
有無
新得町② 9.10 2 20 2 600 20 33 10 19 36 なし G
幕別町 11.30 5 20 3 600 25 7 45 7 G
豊頃村 11.1 1 33 3 600 20 35 50 3 76 10 E
鹿追村 11.6 0.5 30 3 650 17 13 20 10 7 12 E
  註   ① 優 : Excellent 3、   良 : Good 2、   可 : Fair 1、  不可 : Poor 0
      ② 慣行サイレージより嗜好が若干優れた。
      ③ 第42表芽室町養鶏用SMS添加サイレージは緬羊では1日1頭当4kgを好食し、鶏では1日1羽80gを採食した。
      ④ 乳牛の平均体重   kgで  ⑤平均乳量   kgの乳牛には
      ⑥ 1日1頭当   kgのサイレージ給与が適当と考える。(調査資料による)
      ⑦ 但し飽食させると   kgの採食がある。
      ⑧ 総評はSMSサイレージの外観、嗜好、栄養状況などの総合判定。

      ※ 〇内の数字は嗜好程度を示す。  4:++++、 3:+++、 2:++、 1:+、 〇:-  によるもので、優はExcellent級品でSMSの特性が十分に表れた1級品、
         良はGood級品でSMSの特徴が示された良好な物、可はFair級品で慣行サイレージよりもやや劣るもの、不可はPoor級品で完全に失敗したもの、以上の4段階に分類して
         評価した。

 (2) 渡島、檜山、胆振及び後志地方
    第44表 サイレージ埋草処理と品質
現地 使用サイロ 原料草 10a当
生草量(屯)
生育時期
及び品質
埋草月日 埋草時
天候
SMS添加量
(kg/屯)
埋草量(屯)
八雲町 塔型 赤クロバー 60
チモシー  40
2.8 3/10開花
穂孕み ②
6.16 前日雨、晴 4.5 9.5
伊達町 ビニールトレンチ チモシー  70
赤クロバー 30
2.2 2/10出穂
1/10開花 ②
6.17 4.5 3.0
伊達町 塔型 赤クロバー  55
チモシー  45
3.4 5/10開花
開花盛 ②
6.25 快晴 4.2 6.4
京極村 塔型 ルーサン、クロバー
チモシー、イタドリ
1.1 3/10開花
出穂期 ②
6.24 6.1 4.9
今金町 塔型 赤クロバー 69
オーチャード 31
3.3 5/10開花
3/10開花 ②
6.26 6.0 10.0
当別町
トラピスト
塔型 赤クロバー 60
オーチャード 30外10
2.0 出蕾期
出穂開花前 ②
6.12 霧雨 5.0 20.0
現地 埋草時
30cm3当(kg)
埋草日数 色沢及び香気 原料推定
現地水分(%)
原料
水分(%)
PH 酸組成
総酸 不揮発酸 揮発酸
八雲町 15 75 ① -
  
- - - - - -
伊達町 15 36 ① -
  
- - - - - -
伊達町 13 73 淡緑黄色、Fresh
cut odor 少刺激臭
83 77.4   5.1   0.60
(100)
0.49
(82)
0.11
(18)
京極村 17 58 緑オリーブ色、Fresh
cut odor 少SO2臭
75 81.1 4.4 1.37
(100)
0.76
(58)
0.56
(42)
今金町 14 30 淡暗緑黄色 sweet
な甘酸、少刺激臭
78 78.4 5.7 0.58
(100)
0.47
(81)
0.11
(19)
当別町
トラピスト
14 50 淡暗緑黄色 sweet
な fresh cut odor
82 84.6 5.4 0.89
(100)
0.74
(83)
0.15
(17)
  註  ①は分析試料未着のため分析なし

    第45表 サイレージ原料の一般組成及び栄養価(原物中%)
現地 区分 水分 粗蛋白質 粗脂肪 NFE 粗繊維 粗灰分
八雲町 SMSサイレージ    83.0 2.9 1.0    6.4 4.9 1.8
慣行サイレージ 78.9 4.0 1.6 8.4 5.4 1.7
伊達町
(塔)
原料 77.4 3.5 0.8 9.5 7.1 1.7
SMSサイレージ 74.9 2.6 0.9 11.4 7.9 2.3
京極村 原料 75.3 3.7 1.0 11.4 7.1 1.5
SMSサイレージ 77.6 3.6 1.5 9.7 5.1 2.5
今金町 原料 78.4 3.3 1.0 8.7 6.3 2.3
SMSサイレージ 79.2 3.5 1.0 8.4 5.6 2.2
当別町
トラピスト農場
原料 84.6 2.6 0.8 7.2 3.6 1.2
SMSサイレージ 79.2 3.5 1.0 4.5 5.6 2.2

    第46表 処理別サイレージの嗜好性
現地 取出月日 損失(%) 高さ
沈降(%)
サイレージ
外観
給与量 長期給与結果 総  評
乳牛体重
(kg)
産乳
(kg)
適量
(kg)
飽食
(kg)
乳牛頭数 給与日数 1日
給与量(kg)
異状の
有無
八雲町 9.1 2.5 23 3 550    20    25   35③ 1 30 22 なし (良)
伊達町(ト) 7.23 2.0 25 3 575 20 25 35③ 14 10 13
 〃 (塔) 9.7 1.5 25 3 600 21.5 25 35③ 4 25 25
京極村 8.21 0 30 2 570 15 13 - ② 4 12 13
今金町 7.23 0 22 3 500 18 30 55③ 4 6 30
当別町 7.22 3.0 18 3 550 28 30 40④ 50 20 20
  註  総評欄中( )は酸分析なし

 (3) 石狩、空知地方

    第46表 サイレージの埋草処理と品質
地区 使用
サイロ
原料草(%) 生育時期
及び品質
10a当
収量
(屯)
埋草
月日
埋草時
天候
SMS
添加量
(kg/屯)
埋草量
(屯)
埋草時
重量
30cm3
(kg)
色沢及び香気 現地推
定原料
水分
(%)
原料
水分
(%)
PH 酸組成(%)
総酸 不揮発酸 揮発酸
恵庭町① 赤クロバー  40
ラデノクロバー 40
チモシー 20
3/10開花
2.4   6.25 6.0 3.5 12
恵庭町① ビニール
トレンチ
赤クロバー 80
チモシー 20
3/10開花
2.8 6.25 5.0 4.0 16
恵庭町 ルーサン 100 3/10開花?
緑オリーブ
fresh cut odor
  79.3   4.9   0.97
(100)
0.67
(69)
0.30
(31)
沼田町 ビニール
トレンチ
チモシー 60
赤クロバー 40
出穂期
着蕾期②
1.8 6.20 5.3 1.7 8? 緑黄色、sweetな
fresh cut odor
78 75.8 5.1 0.67
(100)
0.46
(67)
0.21
(33)
栗山町 赤クロバー 95
その他 5
8/10開花② 2.4 6.28 小雨
あり
5.0 3.8 14 緑オリーブ fresh
cut odor 少so2臭
80 82.8 5.2 0.46
(100)
0.35
(70)
0.11
(24)
江別市1 ビニール
トレンチ
赤クロバー 97
その他 3
着蕾期③ 3.8 6.12 7.0 3.0 21 暗緑色 fresh cut odor
なるもややドブ臭
85 86.5 5.6 0.59
(100)
0.41
(70)
0.18
(30)
江別市2 赤クロバー 98
その他 2
5/10開花
4.4 6.22 晴れ 5.0 5.0 9? 暗緑黄色、甘酸 75 73.7 5.0 0.53
(100)
0.43
(81)
0.10
(19)
江別市
2-1
糠重0.7% 褐黄色、甘酸
少刺激臭
5.4 0.66
(100)
0.34
(52)
0.32
(48)
江別市3 赤クロバー 97
その他 3
開花盛③ 3.6 6.29 前日雨
5.0 6.0 16 暗緑色 sweet odor
なるもドブ臭
78 84.7 6.2 0.49
(100)
0.34
(69)
0.15
(31)
江別市4 チモシー 70
赤クロバー 30
出穂期
開花後期②
3.6 6.27 4.0 30.0 10? 褐黄淡緑色、酸臭を
有し少アンモニア臭あり
70 75.4 4.6 0.73
(100)
0.30
(41)
0.43
(59)
江別市5 チモシー、ルーサン、
赤クロバー、フェスリ混
開花盛② 3.4 6.27 5.0 8.0 13 緑オリーブ
fresh cut odor
73 74.9 4.6 0.89
(100)
0.84
(94)
0.05
(6)
江別市6 赤クロバー 30
チモシー 30
オーチャード 25
開花盛②
出穂開花後
3.0 6.27 5.0 10.0 10? 緑オリーブ
fresh cut odor
72 75.0 4.6 1.19
(100)
0.83
(70)
0.36
(30)
江別市7 ビニール
トレンチ
チモシー 100 出穂前② 2.0 6.30 5.0 1.5 13 淡黄色色、甘酸な
るも少アンモニア臭
73 75.3 5.1 0.38
(100)
0.27
(72)
0.11
(28)
新十津
川町1
野草 55
オーチャード 25
白クロバー 20
1.4 6.19 小雨 5.0 3.0 15 淡暗緑黄色
sweet odor
73 5.1 0.51
(100)
0.43
(86)
0.08
(14)
新十津
川町2
米糠3% 褐黄色、甘酸
少刺激臭
4.4 1.29
(100)
1.06
(82)
0.23
(18)
滝川
種畜場1
オーチャード、
ルーサン(二次)
1.0
1.2
6.10
~13
前日
小雨曇
5.0 18.9 18 緑黄色、 fresh odor
なるも少アンモニア臭
75 81.3 5.6 0.87
(100)
0.67
(78)
0.20
(22)
滝川
種畜場2
淡黄褐緑色、甘酸な
るも少刺激臭
78.3 4.9 0.96
(100)
0.57
(61)
0.37
(39)

 第44、45表に示すように八雲町、今金町、京極村、当別町トラピスト農場、伊達町では塔型サイロによって赤クロバーを主原料草とする牧草で、屯当4.5~6.1kgのSMSを添加してサイレージ調製を行った。また伊達町ではビニールトレンチサイロによっても調製した。当地方6ヶ所の現地試験では主原料草が赤クロバーであったが、SMSサイレージは75~79%の水分で、Ph4.4~5.7を示し、総酸0.58~1.37%で、緑度保持も高く、良好な香気を有していた。
 これらのサイレージは第46表にも示すごとく、乳牛体重500~600kgのもので、1日乳量13~30kgのものには1日1頭当り、15~28kgの給与が適当であり、また飽食させると35~55kg採食することを報告している。また長期給与試験においても給与した乳牛、乳質、健康、消化には影響がみられなかった。

    第47表 サイレージ、原料の一般組成及び栄養組成
現地 区分 水分(%) 粗蛋白質(%) 粗脂肪(%) NFE(%) 粗繊維(%) 粗灰分(%)
恵庭ルーサン SMSサイレージ 79.1 4.0 1.3 8.9 4.8 1.9
江別1 原料 86.5 2.5 0.7 4.3 3.1 2.9
SMSサイレージ 80.3 3.4 1.2 6.7 5.2 3.2
江別市2 原料 73.7 6.0 1.5 9.5 7.0 2.3
SMSサイレージ 81.6 4.3 1.1 6.9 4.0 2.1
慣行サイレージ 85.4 3.8 0.9 4.4 3.8 17
江別市3 原料 84.7 3.0 0.7 6.4 3.1 2.1
SMSサイレージ 85.0 2.9 0.8 5.2 4.1 2.0
江別市4 原料 75.4 3.0 1.0 10.3 7.5 2.8
SMSサイレージ 79.0 2.3 0.8 8.2 7.3 2.4
江別市5 原料 74.9 4.4 1.0 10.9 6.6 2.2
SMSサイレージ 76.6 4.5 1.1 8.1 6.7 3.0
江別市6 原料 75.0 4.3 1.2 11.2 7.1 1.2
SMSサイレージ 79.4 3.1 1.5 7.3 7.0 1.7
江別市7 原料 75.3 2.3 0.6 12.2 8.1 1.5
SMSサイレージ 811 1.8 0.7 7.4 7.7 1.3
新十津川 SMSサイレージ 81.1 2.7 0.9 7.4 5.5 2.4
慣行サイレージ 73.3 4.5 3.0 10.5 6.8 1.9
滝川種畜場 原料 81.3 2.6 1.0 8.4 4.8 1.9
SMSサイレージ 79.2 3.4 1.2 8.8 5.4 2.0
慣行サイレージ 74.2 3.5 1.9 10.4 5.0 2.0
原料 78.3 3.3 1.3 9.2 6.4 1.5
沼田 原料 75.8 5.5 1.1 10.5 5.6 1.5
SMSサイレージ 82.7 3.6 0.8 7.2 4.4 1.3
栗山 原料 82.9 3.7 0.7 6.4 4.5 1.8
SMSサイレージ 81.9 3.0 0.8 7.3 5.6 1.4

    第48表 処理別サイレージの嗜好性
地区 取出月日 損失(%) 高さ
沈降(%)
サイレージ
外観
給与量 長期給与結果 総  評
乳牛体重
(kg)
産乳
(kg)
適量
(kg)
飽食
(kg)
乳牛頭数 給与日数 1日
給与量(kg)
異状の
有無
恵庭 8.5 33 3 780     22     15    23③ 4 40 15 初期下痢 (良)
トレンチ 8.6 0 12 2 600 23 15 2 60 15 (可)
ルーサン 7.13 3 (優)
沼  田 7.13 1.0 26 3 600 30 30 35③ 3 30 30 なし
栗  山 7.2 1.5 20 3 600 11.5 30 -③ 2 10 30 乳量増
江別 1 8.28 28 0 -① 不可
2 9.19 0 34 2 650 40 35 -③
3 8.16 4.0 22 0 -① 不可
4 8.16 30.0 18 1 -③ 〔不可〕
5 7.30 0.1 40 3 600 30 25 30③
6 8.26 10.0 20 3 650 25 40 45④ 5 2 30 乳量増
7 9.22 5.0 40 2 -② 不可
新十津川 7.23 0 17 600 15 22.5 30②
滝  川 9.5 4.0 13 2 -②
  註  総評欄中〔 〕内はスタークリーン層状添加のもの、( )内はサンプルの分析なきもの。

 恵庭、江別地区において塔型及びトレンチサイロによるSMSの埋草試験を行った。特に江別地区では7ヶ所について実施するほか沼田、栗山、新十津川地区及び滝川種畜場にて行い、その結果は第46、47、48表に示した。
 SMSサイレージは予期した好結果の得られなかった例もあったが、不良な結果は主に原料草の高水分含量(とくに埋草時の降雨または雨に濡れた原料)に多く見られた。またSMSと同系統の特性をもつ次亜硫酸曹達(NaHSO3:市販製品として雪印製薬のスターグリーンがある)を用い、層状添加を行った。江別4は明らかに失敗が認められた。
 SMSサイレージ調製にあたっては、埋草原料の水分含量が重要な要素をもち、優良なSMSサイレージでは水分が80%以下の含量であるのに対し、不良サイレージ(失敗)では80~85%の水分を示した。また添加にあたってもSMSは均等な散布混入が必要であることも示された。

 (4) 上川、根室、釧路、宗谷、留萌及び網走地方

    第49表 サイレージの埋草処理と品質
地区 使用
サイロ
原料草(%) 生育時期
及び品質
10a当
収量
(屯)
埋草
月日
埋草時
天候
SMS
添加量
(kg/屯)
埋草量
(屯)
埋草時
重量
30cm3
(kg)
色沢及び香気 現地推
定原料
水分
(%)
原料
水分
(%)
PH 酸組成(%)
総酸 不揮発酸 揮発酸
剣淵村 赤クロバー 
100 6/10開花
3.3   6.30 5.0 3.0 18 緑黄色、甘酸なれど
少ムレ臭
80   85.2   5.9    0.64
(100)
0.42
(66)
  0.22
(34)
美瑛町 赤クロバー 
100 6/10開花
3.0 6.23 5.7 1.5 14 淡黄緑色
fresh cut odor
72 79.5 5.4 0.64
(100)
0.49
(77)
0.15
(23)
美瑛町
(慣行サイレージ)
褐黄緑色、甘酸良臭 4.1 1.16
(100)
0.35
(73)
0.31
(27)
根室市 ビニール
トレンチ
チモシー
レットトップ
60 出穂中② 1.6 7.10 5.8 2.5 12.5 緑オリーブ色
fresh cut odor
75 75.0 4.6 0.59
(100)
0.45
(77)
0.14
(23)
赤クロバー
白クロバー
40
遠別町 ビニール
トレンチ
ラデノクロバー 50 6/10開花
出穂期
開花前②
3.1 6.25 4.3 3.5 16 緑黄色
fresh cut odor
78 82.1 4.6 1.45
(100)
1.25
(87)
0.20
(13)
チモシー 30
ルーサン 13
鶴居村 赤クロバー 35 5/10開花
開花始②
2.6 7.12 5.0 10.0 13 緑黄色
fresh cut odor
80 84.1 5.1 0.46
(100)
1.32
(67)
0.14
(31)
ラデノクロバー 20
チモシー 45
鶴居村
(慣行サイレージ)
- 淡褐黄色、甘酸良臭 4.5 1.34
(100)
1.03
(77)
0.31
(23)
小清水町 赤クロバー 85 7/10開花③ 3.4 6.30 霧雨 4.0 6.2 12 淡暗緑色
fresh cut odor
90 85.9 5.3 0.61
(100)
0.37
(61)
0.24
(39)
小清水町 ビニール
トレンチ
赤クロバー 
51 3/10開花② 3.2 6.28 曇小雨 4.3 3.5 17 淡暗緑色
fresh cut odor
81 84.5 4.9 0.78
(100)
0.51
(65)
0.27
(35)
ラデノクロバー 46
興部町 ラデノクロバー 100 開花③ 3.0 4.0 1.2 緑オリーブ色
fresh cut odor
4.7 1.05
(100)
0.85
(80)
0.20
(20)
浜頓別町 赤クロバー 60 4/10開花
10/10開花
出穂中②
1.2 6.30 霧雨曇 4.5 5.0 17 淡暗緑色
fresh cut odor
78 79.3 5.2 0.64
(100)
0.46
(72)
0.18
(28)
ラデノクロバー 10
チモシー 30

    第50表 サイレージ原料の一般組成及び栄養価(原物中%)
現地 区分 水分(%) 粗蛋白質(%) 粗脂肪(%) NFE(%) 粗繊維(%) 粗灰分(%)
剣淵 SMSサイレージ    75.0 3.3 0.8     5.1 3.8 2.0
小清水
(塔)
原料 85.9 3.1 1.9 4.8 3.8 1.5
SMSサイレージ 84.0 2.8 1.3 5.6 4.2 2.1
小清水
(トレンチ)
原料 84.5 3.3 0.1 6.2 3.2 1.9
SMSサイレージ 81.7 3.8 1.4 7.1 3.4 2.6
根室 原料 74.9 3.8 1.2 11.3 1.5 2.3
SMSサイレージ
鶴居 原料 74.1 2.7 0.6 6.1 4.9 1.6
SMSサイレージ 77.6 4.2 1.1 7.0 5.6 4.2
慣行サイレージ 70.6 4.7 1.4 11.0 10.1 2.2
遠別 原料 82.1 3.6 0.9 7.3 4.4 1.7
SMSサイレージ 80.9 3.1 1.1 7.3 5.8 1.8
興部 SMSサイレージ 85.8 4.4 1.1 4.4 2.7 1.6
浜頓別 原料 79.3 3.4 0.9 9.5 4.8 2.1
SMSサイレージ 81.6 3.4 1.2 7.1 4.4 2.3

    第51表 処理別サイレージの嗜好性
現地 取出月日 損失(%) 高さ
沈降(%)
サイレージ
外観
給与量 長期給与結果 総  評
乳牛体重
(kg)
産乳
(kg)
適量
(kg)
飽食
(kg)
乳牛頭数 給与日数 1日
給与量(kg)
異状の
有無
剣淵 7.11 0 20 2 不可
小清水(塔) 9.2 0.8 35 2 538    23    20   30④ 2 40 18 なし鶏もなし
 〃 (ト) 8.27 1.0 26 3 563 28 20 32④ 2 61 15 乳量増
美瑛 9.7 1.0 22 3 569 18 20 25③ 2 18 20 なし
根室 9.8 0 16 3 500 18.2 13 15② 13 11 13
鶴居 3
遠別 11.23 0 15 3 560 20 22 40④ 3 14 25 乳量良し
馬、鶏、豚
浜頓別 3
興部 3 (優)

 この地方では大部分が赤クロバーを主体とする原料を用い、埋草を行った。第51表に示されるごとく、剣淵を除いてはいずれも良好なサイレージが得られ、乳牛に対する嗜好も極めて
良好であった。 優良サイレージは産乳量も良好で、乳質にも異状は認められなかった。また馬、豚、鶏にも嗜好が良好であった。

 

 

(実験第2) SMS草サイレージの品質別調製法嗜好性および栄養価

 目的  実験第1において道内で行われたSMSサイレージの現地試験成績を示したが、SMSサイレージの品質と調製法、嗜好性、栄養価及び取り出し後の変質の問題を明らかにしようとした。

 

1. 実験方法
  実験第1に示した現地試験成績を基礎とし若干1956年、1957年の基礎試験成績を引用した。

2. 実験結果
 (1) SMSサイレージの品質別調製法、酸、PH及び嗜好性
   第52表には優 Excellent 級SMSサイレージ、第53表には良 Good級、第54表には可Fair及びPoor級サイレージの状況を示した。

    第52表 Excellent級 SMS 草サイレージの調製法、品質、嗜好及び栄養状況
区分
サイロ

天候

SMS
(kg)
1立方
尺重
量(kg)
10a
収量
(屯)
原料 取出し
月日
埋草
日数
取出し PH 酸組成 外観 嗜好 給与 長期給与 一般組成
1日
取り
出し
(寸)
変化 総酸 不揮
発酸
揮発酸 適量
(kg)
飽食
(kg)
乳牛
頭数
給与
日数
1日
サイ
レージ
(kg)
異状 水分 粗蛋
白質
粗脂肪 NFE 粗繊維 粗灰分
豊頃 Tr 2 5.0 15 1.5 赤100 11.1 116 3.0 なし 4.9 2.09
(100)
2.01
(96)
0.08
(4)
3 4 35 50 3 76 10 なし 78.0 4.5 1.4 7.4 4.5 4.2
鹿追 Tr 2 5.0 17 2.5 赤85
チ15
11.6 120 5.2 1.56
(100)
1.36
(87)
0.20
(13)
3 3 13 20 10 7 12 77.9 3.9 1.3 8.5 6.1 2.3
トラピスト To 4 5.0 14 2.0 赤60
オ30
7.22 50 10.0 変色
白カビ
5.4 0.89
(100)
0.74
(83)
0.15
(17)
3 4 30 40 50 20 20 79.2 3.5 1.0 8.5 5.6 2.2
恵庭 To 4.9 0.97
(100)
0.67
(69)
0.30
(31)
3 4 79.1 4.0 1.3 8.9 4.8 1.9
江別6 To 2 5.0 3.0 赤30
チ30
オ25
9.24 87 3.0 なし 4.6 1.19
(100)
0.83
(70)
0.36
(30)
3 4 40 45 5 2 30 乳増量
なし
79.4 3.1 1.5 7.3 7.0 1.7
小清水 To 4 4.0 12 3.4 赤85 9.2 65 5.0 5.3 0.61
(100)
0.37
(61)
0.24
(39)
3 4 20 30 2 40 18 84.0 2.8 1.3 5.6 4.2 2.1
小清水 Tr 4 4.3 17 3.2 赤51
ラデノ46
8.27 63 1.6 4.9 0.78
(100)
0.51
(65)
0.27
(35)
3 4 20 32 2 61 15 81.7 3.8 1.4 7.1 3.4 2.6
遠別 Tr 2 4.3 16 3.1 赤ラデノ50
チ30
ルー13
11.23 151 2.0 4.6 1.45
(100)
1.25
(87)
0.20
(13)
3 4 22 40 3 14 25 80.9 3.1 1.1 7.3 5.8 1.8
興部 To 3.0 3.0 ラデノ100 8.18 67 4.7 1.05
(100)
0.85
(80)
0.20
(20)
3 85.8 4.4 1.1 4.4 2.7 1.6
4:4 2.9 4.5 15 2.7 90 4.1 4.9 1.18
(100)
0.96
(81)
0.22
(19)
3 3.9 25.7 36.7 10.7 31.4 31.4 乳増量
なし
80.7 3.7 1.3 7.1 4.9 2.3
  ① Tr=トレンチ  To=塔     ② 快晴 1、  晴 2、  曇 3、  霧 4、  小雨 5、  雨 6、   ③ 屯当り添加量 kg 

    第53表 Good級 SMS草サイレージの調製法、品質、嗜好及び栄養状況 
区分
サイロ

天候

SMS
(kg)
1立方
尺重
量(kg)
反収
(屯)
原料 取出し
月日
埋草
日数
取出し PH 酸組成 外観 嗜好 給与 長期給与 一般組成
1日
取り
出し
(寸)
変化 総酸 不揮
発酸
揮発酸 適量
(kg)
飽食
(kg)
乳牛
頭数
給与
日数
1日
サイ
レージ
(kg)
異状 水分 粗蛋
白質
粗脂肪 NFE 粗繊維 粗灰分
新得 Tr 4 4.9 17 1.2 オ79
赤20
9.10 84 7.0 変色
なし
5.2 0.60
(100)
0.39
(65)
0.21
(35)
2 3 33 10 19 36 なし 82.9 1.7 1.2 6.6 5.9 1.7
幕別 Tr 3 5.4 13 3.4 赤100 11.30 146 5.0 5.3 0.57
(100)
0.44
(77)
0.13
(23)
2 2 25 2 45 7 78.5 3.7 0.9 8.9 5.6 2.4
伊達 Tr 2 4.5 15 2.2 チ70
赤30
7.23 36 8.0 なし 3 3 25 35 14 10 13
八雲 To 4 4.5 15 2.8 赤60
チ40
9.1 75 2.5 3 3 25 35 1 30 22
伊達 To 1 4.2 13 3.4 赤55
チ45
9.7 73 2.5 変化を
認む
5.1 0.60
(100)
0.49
(82)
0.11
(18)
2 2 25 35 4 25 25 74.9 2.6 .9 11.4 7.9 2.3
京極 To 2 6.1 17 1.1 ル、赤
ラデノ
8.21 58 2.0 4.4 1.32
(100)
0.76
(58)
0.56
(42)
2 2 13 4 12 13 77.6 3.6 1.5 9.7 5.1 2.5
今金 To 3 6.0 14 3.3 赤69
オ31
7.23 30 3.0 5.7 0.58
(100)
0.47
(81)
0.11
(19)
3 3 30 55 4 6 30 79.2 3.5 1.0 8.4 5.6 2.3
恵庭 To 2 6.0 12 2.4 赤40
ラデノ40
チ20
8.5 40 10.0 なし 3 3 15 23 4 40 15 初め
下痢
沼田 Tr 2 5.3 1.8 チ60
赤40
7.13 24 3.3 変化
あり
5.1 0.67
(100)
0.46
(67)
0.21
(33)
3 3 30 35 3 30 30 なし 82.7 3.6 0.8 7.2 4.4 1.3
栗山 To 4 5.0 14 2.4 赤95 7.2 35 2.0 5.2 0.46
(100)
0.35
(76)
0.11
(24)
3 3 30 2 10 30 乳量増
なし
81.9 3.0 0.8 7.3 5.6 1.4
江別
2
To 4.5 5.0 4.4 赤98 9.19 86 2.0 なし 5.0 0.53
(100)
0.43
(81)
0.10
(19)
2 3 35 81.6 4.3 1.1 6.9 4.0 2.1
江別
3
To 2 5.0 13 3.4 チモ、赤
白混
8.26 64 2.5 熱あり 4.6 0.89
(100)
0.84
(94)
0.05
(6)
3 3 35 76.6 4.5 1.1 8.1 6.7 3.0
新十津川 Tr 4 5.0 15 1.4 野55
オ25
白20
7.23 34 2.0 なし 5.1 0.51
(100)
0.44
(86)
0.07
(14)
2 2 22.5 30 81.1 2.7 0.9 7.4 5.5 2.4
美瑛 To 2 5.7 14 3.0 赤100 9.1 97 1.5 5.4 0.64
(100)
0.49
(77)
0.15
(23)
3 3 20 25 2 18 20 なし
根室 Tr 2 5.8 12.5 1.6 チモ45
赤35
ラデノ20
9.8 60 5.0 熱あり 4.6 0.59
(100)
0.45
(77)
0.14
(23)
3 2 13 15 13 11 13
鶴居 To 3 5.0 13 2.6 チモ60
赤20
5.1 0.46
(100)
0.32
(69)
0.14
(31)
3 77.6 4.2 1.1 7.3 5.6 4.2
浜頓別 To 3.5 4.5 17 1.2 赤60
チモ30
ラデノ10
9.12 72 5.2 0.64
(100)
0.46
(72)
0.18
(28)
3 3 81.6 3.4 1.2 7.1 4.4 2.3
6:11 2.9 5.2 14.3 2.4 63.4 3.9 5.1 0.65
(100)
0.48
(74)
0.17
(26)
2.6 2.7 25.1 31.3 5.3 21.3 11.2 なし 79.7 3.4 1.0 8.1 5.5 2.3

    第54表 Poor又はFair級 SMS草サイレージの調製法、品質、嗜好性及び栄養状況
区分 サイロ 天候 SMS
(kg)
1立方
尺重
量(kg)
10a
収量
(屯)
原料 取出し
月日
埋草
日数
取出し PH 酸組成 外観 嗜好 給与 長期給与 一般組成
1日
(寸)
変化 総酸 不揮
発酸
揮発酸 適量
(kg)
飽食
(kg)
乳牛
頭数
給与
日数
1日
サイ
レージ
(kg)
異状 水分 粗蛋
白質
粗脂肪 NFE 粗繊維 粗灰分
恵庭 Tr 2 5.0 16 2.8 赤80
チモ20
8.26 60 4.0 (変色)
なし
1 15 2 60 15 初め
下痢
江別
1
Tr 6 7.0 21 3.8 赤95 8.28 78 5.6 0.59
(100)
0.41
(70)
0.18
(30)
0 1 80.3 3.4 1.2 6.7 5.2 3.2
江別
3
To 5 5.0 16 3.6 赤97 8.16 47 3.0 6.2 0.49
(100)
0.34
(69)
0.15
(31)
0 1 85.0 2.9 0.8 5.2 4.1 2.0
江別
7
Tr 5 5.0 13 2.0 チモ100 9.22 83 2.0 なし 5.1 0.38
(100)
0.27
(72)
0.11
(28)
2 2 81.1 1.8 0.7 7.4 7.7 1.3
滝川 To 3 5.0 18 1.1 オ100 9.5 83 2.0 変化し
易い
5.6 0.87
(100)
0.67
(78)
0.20
(22)
2 2 79.2 3.4 1.2 8.8 5.4 2.0
剣淵 To 6 5.0 18 3.3 赤100 8.11 41 2.0 変化
早い
5.9 0.64
(100)
0.42
(66)
0.22
(34)
3 0 85.0 3.3 0.8 5.1 3.8 2.0
3:3 4.5 6.4 17 2.8 65 2.6 変化
あり
5.7 0.59
(100)
0.42
(71)
0.17
(29)
2.3 1.4 81.2 3.0 0.9 7.6 5.2 2.1

 すなわち優良品は天候では晴又は雲の状態の時、埋草され原料は10a当2.7屯で赤クロバー、チモシー、ラデノクロバーを主体とした適期刈取りを行い平均90日目に取り出しが行われ、取り出し後の変質も少ない。サイレージの平均PHは4.9で総酸1.18%、そのうち揮発酸は19%のみで外観は緑黄色乃至緑オリーブ色を呈し Sweet な fresh cut odorを有した。
 乳牛に対する嗜好は++++で乳牛1日1頭当りの適量は25kg、飽食させると37kgであった。また現地での長期給与試験の結果約11頭の乳牛に31日間平均19kgのSMSサイレージを給与したが乳牛の乳量の増加が認められ、乳質、消化に大きな変化は認められなかった。また中には馬、豚、鶏も同サイレージを好食することが示された。平均水分80.7%、粗蛋白質3.7%であった。

 良好品 Good級は埋草時の天候、晴又は曇の状態で原料草は平均10a当2.4屯で赤クロバー、オーチャード、ラデノクロバー、チモシー、野草などを原料とし、好ましい時期に刈取りがなされていた。平均63日の埋草期間であった。但し Excellent 級に比較して取り出しが早いせいか、給与中の変質が50%程度報告された。
 サイレージの平均PH5.1で総酸0.65%そのうち揮発酸26%で優良品に比較してPH若干高く、酸量が不足で揮発酸割合が高かった。サイレージの外観は淡暗緑黄色から少し褐色がかった緑色を呈し、香気は fresh cut odor に若干のSO2刺激臭があるものが認められた。乳牛に対する嗜好は++~+++で大体+++が多かった。1日1頭当りの適量は25kgで飽食させると31kgの採食が示された。
 長期給与試験では平均5頭の乳牛で21日間11kgのサイレージを給与したが乳牛の健康、乳量、乳質に変化は認められなかった。平均水分79.7%で粗蛋白質3.4%であった。

 不良品 Fair 又は Poor 級サイレージは埋草時の天候は霧ないし小雨の状態で埋草がなされ、原料草は赤クロバー、チモシーを主体としたもので10a当り2.8屯で原料草の品質は優良品や良好サイレージと同様であった。平均埋草期間は65日間であったが、変質(中には変色しやすいものも含む)が多かった。サイレージの平均PHは5.7と高く総酸は0.59%と他の2クラスのものより低く又揮発酸は29%を占めた。外観は一般に暗色がかった緑黄色を呈し、酸臭に乏しく若干の fresh odor 中にドブ臭を有するものはアンモニア臭をともなうものがあった。
 乳牛に対する嗜好は+~++で低かった。6例中3例は完全に乳牛の嗜好なく失敗し、他の3例中1例は1日15kgの給与を行ったが初めの1週間程度は下痢が続き後回復が示され、乳牛2頭に60日間、1日15kg給与してその他の異状は認められなかった。そのほか2例慣行サイレージより明らかに嗜好が低かった。平均水分は81.2%と高く粗蛋白質は3.0%であった。

 

 (2) 赤クロバーを主とするSMSサイレージと慣行サイレージの酸組成及び栄養価

    第55表 SMSと慣行法による赤クロバーサイレージの品質*
区分 分析
点数
PH 酸組成(%) 一般組成 DCP TDN
総酸 不揮
発酸
揮発酸 水分 粗蛋
白質
粗脂肪 NFE 粗繊維 粗灰分
SMSサイレージ   12   5.3   0.83
(100)
  0.67
(82)
0.16
(18)
  80.9   3.6 1.1   7.2 4.8 2.4   2.3  11.1
慣行サイレージ 26 4.7 1.20
(100)
0.78
(65)
0.42
(35)
77.5 2.5 13.9
  * 赤クロバー80%以上占める植生

     第56表 SMSと慣行法による赤クロバーサイレージの栄養価
区分 分析
点数
一般組成 DCP TDN
水分 粗蛋
白質
粗脂肪 NFE 粗繊維 粗灰分
良質サイレージ SMS 4   79.6   3.8 1.3   7.6 5.0 2.7   2.4   11.9
慣行 6 73.3 5.3 1.9 11.2 5.6 2.7 3.2 16.9
中質サイレージ SMS 5 80.6 3.6 1.0 7.7 5.0 2.1 2.3 11.3
慣行 4 77.3 4.3 1.4 10.5 4.6 1.9 2.6 14.6
不良サイレージ SMS 3 83.4 3.2 0.9 5.7 4.4 2.4 2.0 9.9
慣行 3 85.8 2.4 0.9 6.7 3.0 1.2 1.4 9.1

    第57表 SMS赤クロバーの品質別PH、酸組成
区分 分析
点数
水分 PH 酸組成(%)
総酸 不揮
発酸
揮発酸
優良① 4   79.6   4.9   1.47
(100)
  1.28
(87)
  0.19
(13)
良好② 5 80.6 5.3  0.56
(100)
 0.43
(77)
 0.13
(23)
不良③ 3 83.4 5.9 0.57
(100)
0.39
(68)
0.18
(32)
  ①  豊頃、鹿追、遠別、小清水、(Tr)の平均
  ②  幕別、今金、栗山、浜頓別、江別2の平均
  ③  江別1、江別3、剣淵の平均

    第58表 ルーサンのSMS及び慣行サイレージの品質
区分 PH 酸組成(%) 一般組成
総酸 不揮
発酸
揮発酸 水分 粗蛋
白質
粗脂肪 NFE 粗繊維 粗灰分
SMS  4.9   0.97
(100)
  0.67
(69)
0.30
(31)
  79.1 4.0 1.3   8.9 4.8 1.9
慣行* 4.3 1.83
(100)
0.98
(54)
0.85
(46)
80.0 4.0 1.0 7.4 5.2 2.4
  * 4%燕麦粉末添加

    第59表 道内生産1番刈赤クロバーの生草、サイレージ、乾草の栄養組成(無水物中%)
区分 分析点数 粗蛋白質 粗脂肪 NFE 粗繊維 粗灰分
生草① 30 19.0
()
4.1 41.5 25.0 10.4
SMSサイレージ 12 18.8
()
5.8 37.7 25.1 12.6
慣行サイレージ 18 18.3
(96)
6.6 40.1 25.6 9.4
1番刈乾草 40 15.9
(84)
2.8 46.1 27.5 7.7
  ① 北農試琴似本場分析、他当研究室分析による。

 (3) SMSサイレージの水分含量とPH及び品質
   SMSサイレージの品質と安全な水分及びPH範囲については良好なSMSサイレージは水分74~82%でPH4.4~5.4の範囲にあることが示される。80%以上の水分ではPHが4.9以下であ
  ることが必要とされることが示された。
 (4) SMSサイレージ取り出し中の変質
   SMSサイレージは低酸量と高PHであるため、今回の現地試験においても取り出し中のサイレージ変質が認められたので、取り出し月日と1日当り取り出し量により安全なサイレージ
  給与開始月日及び1日量を検討したところ、7月~9月上旬までは1日当り8寸異状の取り出しをしなければならないことが示された。但し、9月中旬以後であれば1日2~4寸の取り出しで
  十分変質もせず安全な給与が可能であることが示された。参考第1表に示したように、9月下旬頃から5月中旬頃までは気温が15℃以下であり、サイレージの変質を一応防止すること
  が可能であると考察する。

    参考第1表 道内各地の月別平均気温(℃)
地区 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
函館   14.9   19.6   21.9   17.2   11.1   4.6   -1.9
室蘭 13.8 18.9 21.4 18.2 12.5 5.9 -0.3
倶知安 14.6 19.3 21.5 15.0 8.3 1.9 -4.9
札幌 15.1 19.4 21.2 16.5 9.9 3.2 -3.2
帯広 14.0 18.2 19.8 15.0 8.3 1.5 -6.0
旭川 15.6 19.8 20.6 14.8 7.9 1.1 -5.7
釧路 10.7 15.3 18.0 15.0 9.4 3.3 -3.3
網走 12.3 16.9 19.2 15.5 9.7 2.9 -3.4
稚内 12.4 17.0 20.3 16.5 10.5 3.1 -3.3

 

 

(実験第3) ビートトップの現地調製試験

1. 実験方法
 (1) 試験箇所
   昨年7~8月の2ヵ月にわたり、道内各支庁より選抜された畜産特技普及員の研修事項として道内33ヵ所に実施し、更にビート栽培地帯10ヵ所の計43ヵ所において行った。
 (2) 試験方法
   現地試験を行う前に特技普及員とは当研究室と十分な協議を行い同一規準に基づいて詳細な記録をとりながら実施した。ビート栽培地帯10ヵ所については当研究室研究員および
  同専門技術員が直接指導にあたった。
 (3) 原料ビートトップ
   ビートトップは早めに収穫を行うが、ビートの管理、収量、生育状況等について記入を行い、圃場における予乾は冷涼のため期待し得ないので、あらかじめ青刈乾燥デントコーンを
  用意し10~20%を混入し水分調節をはかった。
 (4) 使用サイロ
   塔型、トレンチサイロなど都合のよいものを使用する。サイロの使用法は実験第1に示した方法に準ずる。
 (5) SMSの添加法および添加量、切り込み方法及び管理法
   これも実験第1の方法に準ずる。
 (6) サイレージ取り出し給与、アンケート調査
   同一様式によって乳牛に対する嗜好性、長期給与及びSMSに対する総合意見を調査記入する。

2. 実験結果
 (1) SMSビートトップの調製法及びサイレージ嗜好性
区分 ビート
反収(听)
埋草月日
(月日)
①予乾
日数
屯当
SMS
(kg)
増量剤
の使用
水分調節
乾物添加
の有無
埋草量
(屯)
②一立方
尺重量
(kg)
③推定
水分
(%)
④サイロ別 ⑤スポイ
レーヂ損耗
(%)
⑥高さの
沈降(%)
一日取り
出し量(寸)
取り出し
中の変質
⑦サイレージ
の色沢香気
浜中 3400 10.22 2 5 × 乾牧草 2 8 80 To 0 16 2 なし 2
名寄 5200 10.21 4 5 なし 4 16 80 To 0 40 1 なし 2
新冠 3800 10.29 3 5 乾牧草 6.7 14 80 To 1.0 25 1.8 なし 1
豊富 4500 10.29 8 5 なし 4 16 80 To 2.0 25 1 なし 3
帯広 4698 10.4 1 5.7 乾デント 2.8 11 80 Tr 2.0 60 2 なし 3
夕張 5000 10.4 0 5 乾デント 2.8 14 82 Tr 0 25 1.5 なし 2
美瑛 5000 10.15 3 5 乾デント 2 8 70 To 5.0 15 1.7 2
新得 4300 10.21 2 5 なし 4 18 75 To 0.5 33 1.0 なし 3
苫前 3600 10.26 6 5 なし 4 14 78 Tr 2.7 20 6.0 なし 2
長万部 5800 10.27 2 5 × なし 4 17 76 Tr 1.0 35 1.0 なし 3
上士幌 3700 10.12 4 5 なし 4.2 21 75 Tr 1.0 30 1.0 なし 2
別海東部 4000 10.25 3 4.9 なし 3.2 16 80 Tr 0 30 2.0 なし 3
中頓別 3500 10.18 2 3.4 × なし 3.1 10 80 Tr 0 10 3.0 なし 2
小清水 4500 10.22 4 5 なし 4 13 75 Tr 2.2 13 3.5 2
狩太 6700 11.7 8 5 なし 7.1 12 85 To 0.2 36 3.0 なし 2
標茶 3800 10.14 8 5 乾デント 2 17 75 Tr 0 26 5.0 なし 2
女満別 5000 10.14 2 5 麦糠5% 2 13 77 Tr 0 31 1.3 なし 3
北檜山 7200 11.2 7 4.7 乾デント 4.3 13 82 Tr 1.7 10 3.0 なし 2
上磯 5000 10.30 2 5 乾デント 3.0 16 77 Tr 0.1 28 2.0 なし 2
上湧別 4000 10.7 2 5 なし 3.0 20 85 Tr 0 23 2.0 なし 2
平均 4635 10.15 3.8 4.9
80%
45%乾物添加 3.6 15.6 78.6 To7
Tr13
0.93 26.6 2.2 2.2
区分 サイレージ給与⑧ ⑨SMSビート
トップサイレージ
に対する総合
意見
SMS1kg
当り希望
価格
埋草日数 ⑩埋草時
天候
乳牛体重
(kg)
1日乳量
(kg)
1日適量
(kg)
1日飽食量
(kg)
給与日数 乳牛頭数 異常の有無
浜中 540 12 18 30 25 7 なし 3 150 2.5
名寄 425 18 20 2 80 40 3.5
新冠 525 20 43 65 18 3 乳量増(5~7%) 4 55 32 2
豊富 570 20 20 15 1 なし 2 90 41 2
帯広 550 20 22 60 12 4 乳量増(16%) 4 85 66 2
夕張 610 18 18.5 40 25 5 なし 4 50 38 4
美瑛 526 20 50 50 15 2 なし 2 50 30 3
新得 550 25 20 25 4 100 60 3
苫前 540 12 20 30 14 2 乳量増(12%) 3 80 46 3
長万部 560 20 14 23 20 3 鶏好食なし 4 80 30 3
上士幌 4 62 2
別海東部 590 19 26 39 18 6 乳量増(9%) 3 55 42 2
中頓別 575 25 30 45 20 2 乳量やや増 3 50 33 3
小清水 530 25 17 32 20 5 乳量増 4 60 38 2
狩太 475 10 19 50 10 3 乳量増 3 38 5
標茶 475 22 26 34 24 2 なし 3 70 46 2
女満別 495 20 28 35 20 3 乳量増加 4 60 54 2
北檜山 585 17 17 65 30 3 なし 3 90 36 2
上磯 563 20 35 0 20 3 乳量増加 4 70 73 2
上湧別 525 20 23 33 14 なし 2 50 55 2
平均 543 19.1 24.6 42 18.8 3 60%は乳量層 3.3 73.6 45.3 2.6
  註  ① ビート収穫後のトップ部の圃場放置日数
     ② 埋草量とサイロ容積より甘酸したもので太字数字は疑問の箇所である。
     ③ 現地普及員推定による。
     ④ To=塔型、Tr=トレンチのサイロ
     ⑤ スポイレージ(spoilage)=損失部(腐敗など)
     ⑥ サイレージ沈降%は埋草時の高さに対して沈下した割合である。
     ⑦ サイレージ外観は EXcellent=3 Good=2 Fair=1 Poor=0  として採点した。
     ⑧ サイレージ給与については乳牛体重平均〇kgで1日産乳量〇kgのものには、1日給与適量は〇kgである。但し飽食量は〇kgである。
        この適量を乳牛〇頭で、給与日数〇では乳牛に対し異状が〇であった。
     ⑨ SMSビートトップに対する総合意見
        非常に良好である=4  良好である=3   思ったほどでもない=2  あまりよくない=1  として採点した。
     ⑩ 天候
        快晴=1  晴=2  曇=3  霧雨=4  小雨=5  雨=6   として表示した。

 (2) SMSビートトップサイレージ及び原料の一般組成
現地 区分 水分(%) 粗蛋白質(%) 粗脂肪(%) NFE(%) 粗繊維(%) 粗灰分(%)
豊浦 原料 82.1 2.6 0.5 9.0 2.0 3.8
SMSサイレージ 80.8 2.7 1.5 8.1 3.2 3.7
美瑛 原料 80.8 2.2 0.5 9.9 3.3 3.3
SMSサイレージ 79.2 2.5 0.5 10.0 3.8 4.0
女満別 原料 79.8 3.4 0.6 9.4 2.1 4.7
SMSサイレージ 82.3 3.4 1.1 9.1 2.3 1.8
門別 SMSサイレージ 81.0 3.5 1.3 6.5 4.6 3.1
白糠 原料 79.5 2.5 0.2 8.0 4.2 5.6
伊達 原料 75.5 3.1 0.5 12.0 3.6 5.3
倶知安 原料 80.7 2.0 0.1 11.4 2.9 2.6
上湧別 原料 85.7 1.7 0.3 9.3 1.5 1.5

 (3) SMSビートトップサイレージのPH及び酸組成

    第62表 PH及び酸組成
現地 色沢香気 PH 酸組成
総酸 不揮発酸 揮発酸
美瑛 淡黄緑色、Fresh cut
odorに少アンモニア臭
4.8   1.45
(100)
1.40
(97)
0.05
(3)
豊浦 淡暗緑色
Fresh cut odor
4.1 1.31
(100)
1.15
(88)
0.16
(12)
女満別 淡暗緑色、Fresh cut
odorに少刺激臭
4.4 0.70
(100)
0.41
(59)
0.29
(41)
豊富 緑オリーブ色
Fresh cut odor
4.5 0.45
(100)
0.29
(64)
0.16
(36)
網走 淡暗緑色
甘酸 Sweet
4.3 1.05
(100)
0.85
(83)
0.18
(17)
標茶 Fresh green
Sweet odor
4.9 0.38
(100)
0.34
(89)
0.04
(11)
上士幌 淡暗緑黄色
Sweet fresh odor
4.6 0.61
(100)
0.42
(69)
0.19
(31)
伊達 淡暗緑黄色
Fresh odor、少刺激臭
4.2 1.22
(100)
0.64
(53)
0.58
(47)
門別 淡暗緑色
fresh odor
4.2 1.01
(100)
0.88
(87)
0.13
(13)
倶知安 淡黄緑色
軽い甘酸
3.8 1.79
(100)
1.45
(81)
0.34
(19)
帯広
 
淡暗緑黄色
Sweet odor
4.2 0.66
(100)
0.47
(71)
0.19
(29)
美深 緑黄色
Sweet odor
4.4 0.47
(100)
0.40
(85)
0.07
(15)
上湧別 淡暗緑色
甘酸
4.4 0.57
(100)
0.43
(75)
0.14
(25)
幌延 黄緑色
甘酸良
4.0 0.91
(100)
0.48
(53)
0.43
(47)
平均 4.3 0.90
(100)
0.69
(78)
0.21
(22)

 (4) SMSと慣行法によるビートトップサイレージの特性

    第63表 SMSと慣行法によるビートトップサイレージのPH、酸組成
区分 分析
点数
色沢及び香気 PH 酸組成(%)
総酸 不揮
発酸
揮発酸
慣行サイレージ 6 褐黄緑色
甘酸
3.7 1.35
(100)
0.99
(73)
0.36
(27)
SMSサイレージ 4 淡暗緑黄色
甘酸なる sweet odor
4.3 0.90
(100)
0.69
(78)
0.21
(22)

    第64表 SMSと慣行法によるビートトップサイレージの一般組成(原物中)
分析
点数
区分 水分 粗蛋
白質
粗脂肪 NFE 粗繊維 粗灰分
原料 2 89.1 1.7 0.3 6.1 1.2 1.6
慣行サイレージ 6 82.2 2.5 0.4 9.7 2.2 3.0
SMSサイレージ 3 80.8 2.8 1.0 9.1 3.1 3.2

 (5) 養豚用SMSビートトップサイレージ
   養豚用ビートトップサイレージとして栄養価の高い良い良質サイレージを調製のためビートトップに10%麦糠と屯当り5kgのSMSを添加して詰めこみを行った。
   第65表に示されるごとく、黄緑色の甘酸なる良好サイレージが得られ、子豚の嗜好も優良であった。

    第65表 酸組成(%)
色沢及び香気 PH 酸組成(%)
総酸 不揮
発酸
揮発酸
黄緑色甘酸良 3.8 2.08
(100)
1.55
(75)
0.53
(25)

 (6) SMSビートトップサイレージのアンケート
   今回の現地試験において報告された意見をまとめると次のとおりであった。
  ① SMSビートトップサイレージの長所
・ 色沢、香気が慣行法より優れている   14
・ 調製が安心して行える 3
・ 乳牛の嗜好性が良い 10
・ SMSビートトップサイレージは産乳に好影響がある。 5
・ 豚の嗜好がよい 2
・ 鶏の嗜好が良い 2
・ BHC散布より容易である。 1

  ② SMSビートトップサイレージの短所
・ コスト高である。 6
・ SO2ガスの発生 3
・ 添加に労力がかかる 3
・ 使用農機具、機械が銹る 1
・ 詰めこみ量に対してでき上がり量が少ない 1

  ③ 今後に対する希望事項
・ 普及にあたっては十分なる指導が必要である。   5
・ SMSの包装を十分にして欲しい 3
・ 今後SMSを大いに利用したい 3
・ SMSは中に団結しているものがあるが注意して欲しい。 1
・ SMSの切り込み時添加しやすいように包装を考慮してほしい。 1
・ SO2ガス発生を遅らせるようにできないか 1
・ SMSサイレージはサイロビニールと一般に使用させなければならない。 1
・ SMSの自動添加装置が欲しい。 1

  ④ SMSサイレージの品質向上
・ 良質原料を使用しなければならない。 2
・ 水分の把握を十分にする 1
・ 収穫がおくれたり、圃場に長く放置することは良くない。 3