【指導上の参考事項】

塩化加里の施用が作物の生育、収量並びに土壌の化学性に及ぼす影響について

北海道農業試験場土壌肥料第7研究室
    〃            第3研究室
北海道立農業試験場上川支場

 

Ⅰ 目的

 最近、アメリカ、ソ連邦より塩化加里が多量に輸入され、硫酸加里よりかなり安価に供給されるようになってきた関係上、硫酸加里と塩加加里と塩加加里の肥効、あるいは価値の優劣が問題視されるようになってきたが、元来わが国においては、加里肥料として多く硫酸加里が使用されてきたため、塩化加里についての試験研究は比較的少なく、特に連年施用を前提とした試験研究の例が乏しいため、明確なる解答をなし得ない状態であった。
 よって連年塩化加里を施用した場合硫酸加里施用に対し作物の生育、収量並びに土壌の化学性に及ぼす影響を定量的に検討するを主目的とする。

 

Ⅱ 琴似本場における試験

 1. 試験方法
  供試作物並びに品種名
    春播大麦(モラビヤ)   馬鈴薯(男爵)
    甜菜(本育192)     亜麻(サギノー2号)
  試験区の配置と作付順序
 塩加 
 塩加 
 塩加 
 硫加 
 硫加
 硫加 

30年


(亜麻) あああ馬鈴薯 あああ大麦
31年 甜菜 あああ大麦 あああ(亜麻)×
32年 大麦 あああ亜麻 あああ甜菜
33年 馬鈴薯 あああ甜菜 あああ大麦

  供試面積  1区 10㎡  試験連数  1連制
  施肥設計(kg/10a)

あああああ 春播大麦   3.75   4.50   2.63 ) たい肥は施用しない
馬鈴薯   7.50   7.50   7.50
亜麻   3.75   4.50   1.88

あ   甜菜 31年   6.75   4.50   5.63  たい肥  1.500
32年   7.50   9.00   3.75  1.875
33年

 2. 試験成績
  A 春播大麦について

  各年共、硫酸加里区に比べ塩化加里の分けつがやや劣るように認められたが、有効穂数についてはほとんど同数で差異が認められなかった。また昭和30年~32年までは葉色の差
 異は認め得なかったが、33年においては6月上旬頃より明かな差異が認められ、硫酸加里区に比べ塩化加里区は淡緑色を呈した。
 収量についてみると、試験開始1~2年は硫酸加里区に比べ、塩化加里区の方が約5%内外優る傾向を示したが、3年目に至ると逆に塩化加里区が10~15%の範囲内で劣るを示した。
区別 年次 成熟期 10㎡当収量(kg) 収量比
(%)
草丈(cm) 有効穂数(本) 穂長(cm)  総重   稈重   子実重 
塩化加里 30 97.7 43 9.4 7.004 4.632 2.372 105.4
31 101.3 44 10.5 8.022 4.644 2.372 106.4
32 102.1 47 9.9 6.014 3.666 2.314 86.3
33 94.6 38 11.0 4.825 3.165 1.628 87.6
硫酸加里 30 99.0 42 9.6 6.994 4.736 2.258 100.0
31 102.1 47 10.9 7.470 4.296 3.168 100.0
32 109.1 43 9.9 6.772 4.072 2.680 100.0
33 98.1 3 11.5 5.350 3.476 1.857 100.0

   

  B 馬鈴薯について

  試験開始年の昭和30年と一輪作完了後の昭和33年の2ヶ年について試験を行った。 昭和30年においては発芽後1週間を経過する頃から塩化加里区の葉色が硫酸加里区に比較して
 淡緑色を呈して明らかに異なり、そしてそれが開花期に至ってもなお認められると共に生育も全期を通じて劣り、昭和33年においても大体同様の傾向を示した。
  収量についてみると、昭和30年はほとんど差異はないが、澱粉含有率が劣ると共に水分多くまた粉質度が低い値を示して品質の点では明らかに硫酸加里区に比べて劣り、昭和33年
 においては収量が約10%内外減収を示すと共に澱粉含有率も約1%内外低きを示してかなりの差異が認められた。
区別 年次 10㎡当収量(kg) 収量比(%) 澱粉
含有率(%)
大中小
総重
合計
塩加 30   3.255   6.873   5.157   .637   15.922 97.8   12.6   63.6
33 2.085 7.325 2.945 .555 12.910   90.2   13.3   72.9
30 3.726 7.293 4.719 .547 16.285   100.0   14.1   67.7
33 1.790 8.580 3.690 .524 14.305   100.0   14.6   72.5

 

  C 甜菜について

  生育状況についてみると、硫酸加里区と塩化加里区との間には葉色も含めて差異は乏しかったが、一般に塩化加里区は硫酸加里区に比べ生育がやや劣る傾向を示し、特に生育の
 中期から後半前期にわたる生育において新葉の出現が不良のように認められた。
  収量についてみると菜根重においては誤差の範囲内と考えられる程度の差異しか認められなくその差異は僅少であったが、葉重については明らかに塩化加里区が劣るを示した。
 従って T/R Ratio は各年共塩加加里区が低い。
  次に根中糖分と純糖率についてみると、根中糖分は各年とも塩化加里区の方が若干高い値を示し、純糖率は31年を除いては硫酸加里区の方がやや高い値を示した。従って可製糖
 量は各年共両肥料間に差異はほとんど認められなかった。
区別 年次 10㎡当収量(kg) 菜根
比率(%)
根中
糖分(%)
純糖率
(%)
総重 葉重 根重 菜根重 頸重
塩加 31   44.230   20.625   23.605   21.455   2.150   97.9   15.69   92.50
32   70.964   31.604   39.360   35.039   4.321   99.7   17.03   90.65
33   69.218   32.505   36.713   33.908   2.805   96.9   18.24   89.89
硫加 31   54.015   28.865   25.150   22.190   2.960   100.0   15.07   90.42
32   72.873   33.391   39.482   34.466   5.016   100.0   16.71   91.81
33   78.376   39.845   38.528   34.980   3.548   100.0   17.93   90.55

 

  D 亜麻について

  昭和30年以降32年に至るまでの3ヶ年について試験を実施したが、30年、31年は試験実施に不備の点が認められて信頼し得る試験結果を収めることができなかったので、ここには32
 年の試験結果のみ報告する。昭和32年の生育環境は良好であったと認められる。
  生育状況についてみると、初期から中期に至るまではほとんど差異は認められなかったが、以後は塩化加里区がやや優るように、観察された。収量についてみると茎重、子実重共に
 塩化加里の方が優り、特に子実重においてその傾向が強く在来の試験研究の結果と同様、随伴イオンとして塩化物をもったものが繊維作物にたいしては効果的であることが認められ
 た。 しかし、試験年次が少ないのでさらに試験を実施して検討を加える必要がある。
  昭和32年における試験結果を示すと次のとおりである。
区別 10㎡当収量(kg) 茎重
比率(%)
子実重
比率(%)
総重 茎重 子実重 粃重 ふ重
塩加   6.218   4.920 0.711   0.016   0.571 108.4 116.9
硫加 5.748 4.540 0.608 0.033 0.567 100.0 100.0

 

  E 土壌の化学性に及ぼす影響

  塩化加里を連年施用した場合、土壌の化学性に影響を及ぼすか否かについて検討するため、昭和32年秋(試験開始3年目)、供試作物の収穫後土壌を採取して分析に供した。
 その結果は次表に示すとおりであるが、P,H、置換容量、各種置換性塩基、並びにCl、So4の量には、硫酸加里区と塩化加里区の間にほとんど差異が認められなく、明かな差異が認め
 られたのは、1%HCl可溶の燐酸の量のみで、これは塩化加里区が低い値を示している。

 試験開始3年目に採取せる土壌についての分析結果(作土)
   水分 PH 置換容量 置換性
塩基
塩基飽和度 置換性 乾土100g
H2O KCl Ca Mg K Na Cl Cl4 1%
HCl
P2O5
  (%)     me me (%) me me me me mg mg mg
原  土   5.83   5.88   4.58 24.82 17.65 71.1   14.52   2.71   0.18   024   3.16   7.34   2.92
大麦 塩化加里 5.00 555 4.35 24.53 15.63 63.7 13.05 2.29 0.12 0.17 3.02 14.71 3.06
硫酸加里 6.00 5.58 4.45 25.52 16.77 65.7 13.88 2.57 0.12 0.20 2.56 13.31 3.26
亜麻 塩化加里 5.83 5.55 4.45 24.49 16.67 68.1 14.02 2.43 0.08 0.14 2.71 13.98 3.08
硫酸加里 4.67 5.65 4.55 24.84 16.78 67.6 13.90 2.60 0.14 0.14 2.38 13.47 3.68
甜菜 塩化加里 5.33 5.85 4.60 24.69 17.55 71.1 14.77 2.33 0.12 0.33 3.45 16.69 3.39
硫酸加里 5.33 5.85 4.55 24.68 17.28 70.0 14.54 2.33 0.14 .27 3.00 13.56 4.03
  作物名は32年度に植付したものである。

 

Ⅲ 火山灰地研究室(土肥第3研)における試験

 1. 試験方法
  供試作物並びに品種名
     馬鈴薯(紅丸、33年は農林1号)     菜豆(中長鶉)
     甜菜(GW 443,33年、359)        大豆(十勝長葉)
                              33年、いすず
  試験区の配置と作付順序

 塩化加里
  
  
  
 硫加加里 
  
  
  
30年 あ - あああ馬鈴薯 あああ大麦    菜豆
31年 甜菜 あああ菜豆 あああ馬鈴薯    大豆
32年 大麦 あああ甜菜 あああ菜豆    馬鈴薯
33年 馬鈴薯 あああ大豆 あああ甜菜    菜豆

  供試面積  1区 16.5㎡  試験連数  2連制
  施肥設計  (kg/10a)

N 25  
あああああ 馬鈴薯   7.500   7.500   9.375 たい肥 1125
菜豆   7.250   7.500   6.750
大豆   1.500   6.750   4.500
甜菜   7.500   9.375   6.750 たい肥 1500

 2.試験成績 

  A 馬鈴薯について

  昭和30年以降4ヶ年試験を実施したが、昭和31年の生育前半にやや天候が不順に経過した以外は大体において順調な気象条件に恵まれた。昭和30年においては硫酸加里区と塩化
 加里区の間に生育の差異はほとんど認められなかったが、31年以降においては主として葉色にやや明確なる差異が認められ、硫酸加里区に比べ塩化加里区が淡黄緑色を呈した。
  収量は各年次共、塩化加里区が劣り、特に32年度においてかなり大きな差異が認められると共に大中薯の生産量が劣っている。また、澱粉含有率についてみると収量同様各年次共
 塩加加里区の方が低い値を示し、更に昭和30年度において生産した馬鈴薯について行った実験結果によると硫酸加里施用によって栽培された馬鈴薯に比べ、水分多く、粉質度が低い
 ことが認められた。

  各年次の試験結塊を示すと次のとおりである。(2区平均値)
区別 年次 16.5㎡当収量(kg) 澱粉
含有率(%)
収量比(%) 大中<
総重
合計
塩化
加里
30   .185  14.525  22.200   .525   37.435 15.6 96.3 39.3
31   1.400 7.125 24.350 .350 33.225 15.7 97.5 25.7
32 1.173 14.685 19.800 .530 36.188 14.8 88.4 43.8
33 19.825 26.155 10.545 .600 57.125 16.2 95.6 80.5
硫酸
加里
30 1.205 14.675 22.525 .460 38.865 15.8 100.0 40.9
31 2.000 7.475 23.950 .650 34.075 16.0 100.0 27.8
32 2.270 17.730 20.80 .440 40.920 16.4 100.0 48.9
33 23.470 25.550 10.220 .540 59.780 16.8 100.0 82.0

  B 甜菜について

  昭和31年から33年にわたる3ヶ年間試験を実施した。昭和31年は天候不順に経過したが、他は大体良好であったと認められる。各年次共、地上における生育状況に大差が認められ
 なかったが一般に葉色は硫酸加里区に比べ塩化加里区がやや淡緑色を呈した。しかし収量についてみるといずれの年も塩化加里区が劣り、糖量もまた同様の傾向を示している。

  各年の試験結果を示すと次のとおりである。(2区平均)
区別 年次 16.5㎡当収量(kg) 根重
比率(%)
T/R 根中
糖分(%)
純糖率
(%)
可製
糖量(kg)
糖量
比率(%)
総重 葉重 菜根重
塩加 31   45.175   25.975  19.200 92.2   135.3 16.94 92.72 3.016 97.9
32 51.600 20.700 30.900 81.5 67.0 16.09 90.87 4.518 82.7
33 76.625 35.535 43.090 84.0 79.0 17.70 - 7.609 84.0
硫加 31 46.550 25.725 20.825 100.0 123.5 16.67 88.77 3.082 100.0
32 59.100 21.200 37.900 100.0 55.9 16.21 88.88 5.460 100.0
33 84.755 33.750 51.005 100.0 66.0 17.83 - 9.101 100.0
  備考  33年の糖量は根重×根中糖分により算出。

 

  C 菜豆について

  昭和31年度の天候は不順であったが、その他の年次においては大体順調であった。生育状況についてみると、各年次共塩化加里区は硫酸加里区に比べて一般に草丈が短少の傾向
 を示してやや劣り、葉色もまた淡緑色であった。
  収量についてみると、硫酸加里区に比べ各年次共劣るを示し、特に初年目においてその傾向が大きい。これは地力によるものではないかとも考えられるが、硫酸加里区、塩化加里区
 ともブロック間の偏差が少なく同等の収量を示しているので必ずしも地力によるものとは断定できない。
区別 年次 成熟期 16.5㎡当収量(kg) 収量比(%)
草丈 莢数 総重 茎稈重 子実重 粃重
塩化
加里
30   79.5   10.0   2.667   1.196   1.472   .008 78.6
31   69.6 10.5 3.318 1.525 1.604 .013 94.5
32   96.3 14.5 3.704 1.882 1.805 .017 93.0
33   74.6 4.0 4.405 2.350 2.055 - 88.4
硫酸
加里
30 86.0 13.0 3.250 1.368 1.873 .009 100.0
31 71.4 10.5 3.430 1.548 1.698 .010 100.0
32 98.2 17.0 4.068 2.108 1.940 .020 100.0
33 79.4 4.7 4.985 2.660 2.325 - 100.0
  莢数は稔実莢数にて示した。

 

  D 大豆について

  昭和30年以降、4ヶ年試験を実施した。昭和31年は天候不順であったが、他の年次においては大体順調であった。生育状況についてみると、昭和30年における調査では硫酸加里区に
 比べ塩化加里区の生育がやや優るように観察されたがその他の年においてはいずれも塩化加里区の生育が劣り、その草状は短少であった。
  収量についてみると、試験開始初年目の昭和30年においては、硫酸加里区に比べ塩化加里区が約5%内外、優るを有した。しかしその他の年次は塩化加里区がいずれも減収を示し
 た。
区別 年次 成熟期 16.5㎡当収量(kg) 収量比(%)
草丈 莢数 総重 茎稈重 子実重 粃重
塩化
加里
30   54.6   36.8   8.614   4.256   4.230    .032 105.8
31 58.0 32.5 3.240 1.824 1.415 .001 76.7
32 70.0 29.5 10.920 6.384 4.456 .080 93.6
33 47.0 27.4 6.533 2.850 3.563 .120 83.3
硫酸
加里
30 52.1 38.2 8.102 3.968 4.000 .032 100.0
31 60.5 35.0 4.192 2.346 1.845 .001 100.0
32 75.0 31.0 12.480 7.640 4.760 .080 100.0
33 57.8 35.6 7.917 3.518 4.275 .125 100.0

 

 

Ⅳ 上川支場における試験成績

 1. 試験方法
  供試作物並びに品種名     水稲(栄光)
  供試面積     33.1㎡     試験連数     2連制
  施肥設計     5.00-5.25-3.75(kg/10a)
             たい肥  750.kg併用

 2. 試験成績

  昭和30年以降同一圃場において試験を実施した。昭和31年は天候不順であったが、他の年次は比較的順調であった。生育状況についてみると、各年共ほとんど大差は認められなか
 ったが、硫酸加里区に比べ塩化加里区は一般に生育の後半において葉色が淡黄緑を呈するように認められた。
  収量についてみると昭和31年の冷害年以外は加里肥料の種類による差異は試験誤差の範囲内と考えられる程度のものでしかなかった。ただし藁重は塩化加里区の方がやや劣る傾
 向を示した。

  各年次の試験結果を示すと次のとおりである。(2区平均)
区別 年次 成熟期 10a当収量(kg) 玄米
比率(%)
稈長 穂長 穂数 総重 藁重 籾重 玄米重
塩化
加里
30   71.1   16.4   16.4   874.5   352.5   522.0 418.5 98.3
31 62.1 15.8 18.8 969.0 742.5 226.5 187.8 95.1
32 73.3 17.6 21.4 997.8 426.3 571.5 467.7 103.1
33 69.4 15.8 19.1 1100.4 458.3 642.1 535.8 103.5
硫酸
加里
30 68.7 16.1 15.5 908.6 382.5 526.1 425.6 100.0
31 65.0 15.6 20.4 1057.4 820.1 237.3 197.5 100.0
32 71.3 16.6 21.9 992.2 433.9 558.3 453.6 100.0
33 71.0 15.1 19.9 1092.2 468.9 626.4 517.9 100.0

 

 

Ⅴ 考察並びに普及上の注意事項

 塩化加里を連用した場合、作物の生育、収量並びに土壌の化学性にいかなる影響が認められるかを検討するため、琴似本場(土肥第7研)、火山灰研究室(第3研)、上川支場において
それぞれ昭和30年以来試験を分担して継続実施した。 その結果、水稲では藁重がやや劣る傾向を示したが玄米生産量においては加里肥料の種類による差異は31年の冷害年以外は試験誤差の範囲内と考えられる程度の差異しか認められなかった。それに対し、畑作物では亜麻を除く各作物にかなりの差異が認められた。
 すなわち本場においては甜菜についての試験によると、菜根重、根中糖分、純糖率については微差しか認められなかったが葉茎重については明かな差異が認められて塩化加里施用区が低い値を示し、大麦は試験開始1~2年は塩化加里施用区が優ったが3年目に至ると急激に減収となり、馬鈴薯にあっては初年目は塊茎収量に差異はほとんど認められなかったが水分含量多くして、澱粉含有率、粉質度が低く、また、大中の良薯生産量が劣って、品質の点において大差が認められ、さらに3年間塩化加里を施用した跡地に馬鈴薯を栽培した結果によると、澱粉含有率と共に収量も約10%内外劣って、作物によりその様相並びに示す傾向はそれぞれ異なっているが、塩化加里を使用して栽培する場合には、生育、収量に悪影響を及ぼすことが認められた。
 火山灰地研究室における試験結果は本場と同じ傾向であるが、昭和30年に得られた大豆の試験結果以外は、いずれも初年度から硫酸加里区に比べ、塩化加里区の生育並びに収量が劣り、悪影響の現出が早くしかも大きいことが認められた。
 したがって水稲に対してはほとんど問題がないもののようであるが、亜麻を除く畑作物に対して塩化加里を連用することは一考を要するものであり、特に火山灰地帯においてその悪影響が顕著に認められることから、同地帯においては使用を避けるべきが得策のように考えられる。