【指導上の参考事項】

馬鈴薯疫病菌新系統の発生について

北海道農業試験場病理昆虫部

 馬鈴薯疫病に対する抵抗性品種としてケネベツクが普及され、更に、昭和33年にヨーラクが優良品種として登場している。しかるに、ケネベツクは疫病にかなり侵され易くなっていることは周知のことであるが、新品種ヨーラクにも天北、根室、十勝の各支場及び広島村の馬鈴薯原々種農場、士幌村、中標津町等で疫病の発生を確認されるにいたった。
 この様な抵抗性品種でも疫病に侵されるようになったのは、新しい病原系統の発生によって罹病するものであって、今まで分離された菌系統はケネベツクを侵かす系統を含めて8系統のところ、今回発見されたヨーラクを侵かす系統(Race 2,4)を合わせて次の系統を見るにいたった。
 Race0  Race1(ケネベツク)  Race2  Race3  Race4(ヨ-ラク)  Race1、4(ケネベツク、ヨ-ラク)  Race1、2(ケネベツク)  Race1、2、4(ケネベツク)  Race2、4(ヨーラク)
 したがって、ヨーラクを栽培するに当たって、男爵薯のような品種と同様に疫病の防除を徹底的に行って新系統菌の繁殖を防止しなければならない。なおヨーラクのバイラス病についていろいろ論議されているが、これば普通エソモザイツク病を表すYバイラスを保有している場合が多く、しかも他品種の場合のようにはっきりした病徴を示さない特性を有していることが最近判明している。したがって、肉眼的に無病と思われてもYバイラスを保存している場合が多いから、特に他品種に対する伝染防止に万全を期す必要がある。