【普及奨励すべき事項】

殺ダニ剤について

北海道農業試験場作物部
北海道農業試験場病理昆虫部

 

◆ 薬剤に対する抵抗性のリンゴハダニが出現したように認められるので、各種殺ダニ剤は偏用せずに交互に使用することが必要である。

◆ 新たにテデオンが殺ダニ剤として推奨された。従来使用を奨励されていた殺ダニ剤、例えばフェンカプトン、ホリドール、トリチオン、EPNなどは効果が劣り、まだ使用年限の浅いメタン
  ストツクス、アカールなどは顕著な防除効果を示した。(試験成績表Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ参照)
  またテデオンは遅効性で、オウトウハダニに対して不安定であったが、初期防除に使用すればリンゴハダニ、ダイズハダニの防除剤として有効と認めた。
   (試験成績表Ⅵ、Ⅶ、Ⅷ、Ⅸ参照)

 表Ⅰ (圃場試験)
薬剤名 濃度 5月8日 30 6月9日 19 29 7月9日 19 29 8月8日 18 28 9月7日 17
散布前
頭数
20日後 30日 40日 50日 60日 70日 80日 90日 100日 110日 120日 130日
サツピラン水和剤 50% 2000 ● 982 12 10 12 30 19 ● 123  ●149 41  ● 110 52 18 3
アカール乳剤 22% 1000 ● 935 34 2 ●143 17 7 ● 117 30 84 ● 155 9 47 18
テデオン水和剤 19% 1000 ●1110 39 14  ●293 59 9 ● 314 ● 95 54 88 55 19 2
フェンカプトン乳剤 19% 1000 ● 901 0 1 6 15 6  ● 106 50 32 ● 184  ● 272 347 162
無散布 - 1092 252 75 1528   693 227 1253 1279 520 752 391 155 30
  注  1) 数字は30葉に寄生する頭数を示す。
      2) ●印は調査後翌日散布す。

 表Ⅱ 燐製剤の効果(室内試験)
薬剤名 濃度 調査頭数 生存数 死虫数 死虫率
フェンカプトン乳剤 18% 1000 155 113 42 293.3
フェンカプトン乳剤 20% 1000 129 105 24 19.4
EPN乳剤 45% 2000 92 25 67 73.7
EPN水和剤 25% 2000 125 72 53 42.1
無散布 - 225 208 17 7.3
  注  1) 9月7日処理、2反覆平均値を示す。   2) 調査は翌日(以下室内試験は同様)

 表Ⅲ 各種殺ダニ剤の効果(室内試験) 
薬剤名 濃度 調査頭数 生存数 死虫数 死虫率
フェンカプトン乳剤 18% 1000 96 89 7 8.2
EPN乳剤 45% 2000 76 70 6 7.8
トリチオン乳剤 45% 2000 97 72 25 24.0
メタシストツクス乳剤 45% 1200 115 0 115 100.0
アカール乳剤 22% 1000 121 2 119 98.7
無散布 - 66 66 0 0.0
  9月12日処理  3反覆

 表Ⅳ 温度と効果試験(室内試験)
薬剤名 濃度 調査頭数 生存数 死虫数 死虫率
フェンカプトン乳剤 18% 1000 68 47 11 19.0
ホリドール乳剤 40% 2000 84 59 25 29.8
メタシストツクス乳剤 45% 1200 66 2 64 96.9
無散布 - 65 65 0 0.0
  注 1)  9月12日処理  3反覆
     2)  25℃に加温、外気22℃

 表Ⅴ 濃度試験(室内試験)
薬剤名 濃度 調査頭数 生存数 死虫数 死虫率
フェンカプトン乳剤 18% 700 426 147 279 66.5
トリチオン乳剤 45% 2000 356 134 222 61.9
EPN乳剤 45% 1500 423 183 240 58.2
ホリドール乳剤 40% 2000 327 178 149 47.2
メタシストツクス乳剤 50% 1500 280 6 274 99.7
無散布 - 259 227 32 12.4
  9月16日処理  2反覆

 表Ⅵ 昭和32年度(圃場試験)
薬剤名 濃度 散布前
頭数
散布後頭数
3日後 7日後 10日後 14日後 21日後
マイトラン水和剤 50% 1000 485 8 1 2 1 13
テデオン水和剤 18% 800 300 1 29 2 2 48
改良アカール乳剤 22% 1000 533 11 21 2 79 285
EPN乳剤 45% 2000 416 0 1 1 5 7
メタシストツクス乳剤 50% 1000 151 2 7 4 4 13
トリチオン乳剤 50% 1670 596 2 4 1 4 13
無散布 - 597 28 185 85 723 875
  注 1)  1区15葉ずつ調査 3反覆計
     2)  散布8月5日

 表Ⅶ 昭和33年度(圃場試験)
薬剤名 濃度 散布前
頭数
散布後頭数
3日後 10日後 20日後 30日後
改良サツピラン水和剤 50% 2000 267 57 62 73 183
テデオン水和剤 18% 1000 231 52 58 64 45
フェンカプトン水和剤 45% 2000 206 8 9 7 17
トリチオン乳剤 45% 1000 109 1 17 47 10
ケルセン乳剤 1000 273 17 15 73 24
EPN乳剤 45% 1500 139 11 12 33 29
無散布 - 228 533 305 368 385
  注 1)  1区15葉ずつ調査 3反覆計
     2)  散布月日  8月5日

 表Ⅷ 昭和34年、青森リンゴ試験場
  ダイズハダニ殺虫試験(室内試験)
薬剤名 濃度 供試頭数 死虫率(3日後)
テデオン水和剤 19% 1000 75 96.0
テデオン乳剤 8% 700 31 96.8
無散布 - 43 0.0
   7月17日処理

 表Ⅸ 昭和34年、青森リンゴ試験場
  オウトウハダニ殺虫試験(室内試験)
薬剤名 濃度 供試頭数 死虫率(2日後)
テデオン水和剤 19% 1000 68 87.7
テデオン乳剤 8% 700 79 10.7
無散布 - 37 2.7
   7月16日処理