【普及奨励すべき事項】

水田の有害動物ユリミミズの防除について

北海道立農業試験場空知支場

 

◆ 除草剤PCPソーダ塩を代掻前に全面散布するのが有効

 苗代や本田におけるユリミミズ(イトミミズ)は表土を潜行して盛んにしゅん動するので、種籾は土中に埋没して発芽を遅らせ、稚苗を浮き上がらせときには腐敗させることもある。
 この被害の防除法としては従来、
  1) 例年発生の多い水田では有機質肥料の過用を避け
  2) 発生予防剤として石灰窒素を施用すること
  3) 播種後発生したものに対しては、デリス剤を施用する。
 ことなどを奨励していた。
 しかし最近の薬剤を供試して防除試験を行った結果水田除草剤PCPソーダ塩がユリミミズの防除剤としても有効であることが実証された。今その成績概要を示すと別表のとおりである。

 試験成績
供試薬剤 10a当り
使用量
(kg)
施用
時期
施用方法 処理前後におけるユリミミズの棲息密度指数
処理前 処理後 処理前後
における
指数の比率
5区
平均
1区 2区 3区 4区 平均
デイルドリン粒剤 4% 7.5 中旬/Ⅴ 耕起前全面散布 4.2   2.4   2.2   2.2   1.8   2.2 51
ヘプタクロール粒剤 5% 6.0 4.0 2.2 2.2 3.6 2.8 2.4 60
エンドリン粒剤 5% 15.0 4.2 2.2 2.2 2.6 2.8 2.5 58
アルドリン粒剤 15% 2.0 3.6 2.8 2.6 3.2 3.2 3.0 82
PCPソーダ塩 86% 1.16 下旬/Ⅴ 代掻前全面散布 4.2 2.2 2.2 2.2 2.2 2.2 52
*(PCP銅塩 86%) 1.16 4.4 2.6 1.6 1.8 1.2 1.7 38
デリス粉 3% 5.0 3.8 2.4 3.0 3.0 2.0 2.6 68
無処理       4.2 4.8 4.1 4.6 4.6 4.7 111
  備考 1)  試験場所 : 岩見沢市二俣
      2)  棲息密度指数の算出法 : 
            10cm2当り潜入孔数  0  は指数0
             〃          50以下 〃  1 
             〃          100以下 〃   2
             〃          300以下 〃  3
             〃          300以上 〃  4
      3)  1区毎の調査個所数  5個所(10cm2×5)
      4)  処理前の棲息密度は5月1日調査
         処理後の棲息密度は10月2日調査
      5)  PCP銅塩は試製品