【指導上の参考事項】

亜麻乾燥法改善について

北海道農業試験場亜麻研究室

 

1) 試験目的

 亜麻茎の乾燥法としビニールあるいはポリエチレンフイルムを使用することにより、雨害を避けまた労力の節減を計ろうとする。

 

2) 試験方法及び経過の概要

 供試茎は標準耕種法に従って栽培した。「あおやぎ」の生茎各区共180kgを用いた。フイルムはポリエチレンの巾180cm、厚さ0.07mmを用いた。
 8月7日亜麻を抜取り、これを下記の如く処理した。

 ① 生茎バラ干し:   抜取り直後横木にたてかけ、夜はポリエチレンフイルムで覆う。ただし8月13日は曇天であったのでフイルムはかけたままとした。8月14日結束後本積。
 ② 半日地干し茎バラ干し:   抜取り茎を半日地表に寝かして乾燥し、以下は上述にならう。8月14日結束後本積。
 ③ 半日地干し結束:   地干し結束して圃場に丸く立てる。8月14日本積。
 ④ 地干し:   8月8~9日そのまま地干し、10日反転地干し、11日10時結束丸く立乾、14日本積。
 ⑤ 棧積:   半日地干し、午後結束して夕方結束後桟積した。その後8日~11日朝解いて地干し、夕刻積、13日は積のまま、14日本積。

 

3) 試験結果

 半日地干し後の茎の乾草程度は第1表の如くで、半日地干しによって元の重量の約64~65%になった。8月11日、収穫4日後の重量は「地干し」が最も乾草が早く「半日地干し結束」と「桟積」は1%の差で大差はなかった。更に8月14日(午前9時)における重量は「地干し」が最も乾燥良好で、「桟積」がこれに次ぐが、「生茎バラ干し」「半日地干し、茎バラ干し」「半日地干し結束」との差は約3%で大きい差はなかった。
 「生茎バラ干し」「半日地干し、茎バラ干し」は、いずれも厚みに30cm横木に立てかけたが「半日地干し、茎バラ干し」の処理後の厚みは第2表の如くで、「生茎バラ干し」の厚みが薄いが、これは乾燥によるもので生茎を干すため横木の長さは「半日地干し、茎バラ干し」より多く要した。
 茎の品質(色上がり)は「地干し」が最も良好であったが、「生茎バラ干し、半日地干し、茎バラ干し」のいずれも青みの抜けが悪かった。しかし「半日地干し結束」「桟積」に比較すると茎質は良好であった。本年の乾燥期間(8月7日~8月14日)は降雨がなく各乾燥法共に乾燥は急速に進み支障がなかった。従って本年の結果から結論を見出すのは危険で、今後降雨に遭遇した場合のフイルム ハ ゙ ラ干しの効果について検討したい。
 バラ干しは乾燥中フイルムの着脱のみで労力的には著しく軽減される利点が認められた。なおこの試験は道立根室支場と連絡して行ったが、根室においても晴天が続き質的差異は見出さなかった。

 第1表 乾燥法別重量の推移
試験区別 8月7日(半日後) 8月11日(4日後) 8月14日(7日後) 9月5日(本積後)脱粒時
重量(kg) 180kg
対比(%)
重量(kg) 180kg
対比(%)
重量(kg) 180kg
対比(%)
全量(kg) 茎重(kg) 子実重(kg)
生茎バラ干し - - - - 73.575 40.88 62.500 51.350 4.640
半日地干し茎バラ干し - - - - 73.650 40.92 65.800 52.100 3.400
半日地干し結束  116.500   64.72 75.525   41.59 73.350   40.75 67.175 52.825 5.325
地干し - - 67.000 37.22 61.225 34.01 56.550 44.650 5.285
桟積 114.525 63.63 77.225 42.90   64.400 37.44   62.450   50.050 5.890

 第2表 バラ干しの厚み 
    区別
調査番号
生茎
(cm)
半日
地干し(cm)
1 23 24
2 25 22
3 20 25
4 16 24
5 15 35
6 14 26
7 14 38
8 17 22
9 18 30
10 17 30
11 17 28
12 15 25
13 19 25
14 17 28
15 14 25
平均   17.4 27.13

  
 第1図 バラ干し

 

  

    

 第2図 桟積