【指導上の参考事項】
施肥標準調査試験成績について(自 昭和31~34年)

北海道立農業試験場化学部

 

 北海道施肥標準調査事業の一環として昭和31年~同34年にわたり十勝支庁管内の代表土壌区より採集せる土壌について道立本場硝子室において三要素試験を施行し各土壌につき各区の収量指数を得るとともに、作物の化学分析により天然供給を査定し、標準施肥量を確定する基礎資料を得るため本試験を実施した。(なお現地における三要素試験は十勝土壌協会が実施しているので今回は行わなかった。)

 

Ⅰ 実施要領

イ 試験土壌採集箇所
土壌採集箇所 試験開始年次 作物名
 1 上川郡池田町字千代田南部 昭和31年 水稲
 2 十勝郡浦幌町字下浦幌西3線18(坂下) 燕麦
 3 中川郡幕別町字相川(西原)
 4 足寄郡足寄町字鷲府学校前(岸山)
 5  〃 陸別町字斗満
 6  〃 足寄町字塩尻(山岸)
 7 十勝郡浦幌町字下浦幌静内(吉田)
 8 中川郡幕別町字中糠内(山田)
 9 河西郡更別村字昭和部落 昭和32年
 10  〃 忠類村字公親
 11  〃 中札内村字元札内
 12 広尾郡大樹町字中大樹
 13  〃 広尾町15線46
 14 中川郡本別町字西仙美利 昭和31年
 15 河東郡音更町字下然別(中村)
 16  〃      字音更西3線(阿部)
 17 中川郡豊頃村字礼作別
 18 河東郡御影村字芽室新生 昭和32年
 19 河東郡清水町字下佐幌
 20  〃 新得町字上佐幌
 21  〃 鹿追村字北笹川農栄
 22  〃 上士幌町字周辺東7線250号 昭和31年
 23  〃 芽室町字南大生 昭和32年
 24  〃 士幌村字士幌平和部落 昭和31年

ロ 硝子室にて1/2000アール、ワグネル氏植木鉢を使用実施した。

試験区別 1鉢当施用要素量(g)
窒素 燐酸 加里
1 無肥料区 - - -
2 無窒素区 - 1.0 1.0
3 無燐酸区 1.0 - 1.0
4 無加里区 1.0 1.0 -
5 三要素区 1.0 1.0 1.0

  供試肥料     窒素   硫酸アンモニア
             燐酸   過燐酸石灰
             加里   硫酸加里
  供試作物     水稲   栄光
             燕麦   前進
  1鉢当       水稲   6株(1本植)
             燕麦   14株(1本植)

 

Ⅱ 試験成績

1.土壌の理化学的性質
町村名 地質 土性 母材 土壌区番号
池田町 第4期新層(河成) 埴壌土 擬灰岩質 (405)
浦幌町(坂下) 第4期新層(河成) 壌土 砂岩・頁岩 (280)
幕別町(西原) 第4期新層(河成) 埴壌土 砂岩質 (393)
足寄町(岸山) 火山灰質/湖性洪積 壌土 安山岩・凝灰岩・砂岩 (131)
陸別町  〃 / 〃 砂壌土  〃   〃   〃 (126)
足寄町(山岸)  〃 / 〃 壌土  〃   〃   〃 (132)
浦幌町(吉田) 火山性土/海成洪積 砂壌土 浮石質/凝灰岩質 (199)
幕別町(山田)  〃 / 〃 砂土 浮岩質/砂岩礫風化物 凝灰質 (359)
更別村  〃 / 〃 砂壌土 〃 /砂岩 (327)
忠類村  〃 / 〃 砂土 〃 /凝灰質 (202)
中札内村  〃 /湖成沖積 〃 /砂岩・砂層 (380)
大樹町  〃 /河成洪積 砂壌土 〃 /砂岩質 (220)
広尾町  〃 / 〃 〃 /砂岩 (219)
本別町  〃 /海成洪積 壌土 〃 /凝灰岩質(硅岩)円礫 (318)
音更町(中村)  〃 / 〃 〃 /凝灰岩 (320)
音更町(阿部)  〃 / 〃 砂壌土 〃 / 〃 (319)
豊頃町  〃 / 〃 〃 /凝灰岩質風化水積物 (215)
御影村  〃 / 〃 〃 /砂岩・礫風化物 (15)
清水町  〃 /湖成洪積 〃 /浮石・凝灰岩 (26)
新得町  〃 /海成洪積 〃 /凝灰岩・砂岩 (6)
鹿追村  〃 / 〃 〃 /砂礫・砂岩 (35)
上士幌町  〃 /湖成洪積 〃 /凝灰岩 (144)
芽室町 火山性土/湖成洪積 砂壌土 浮石質/砂礫風化物 (18)
士幌町  〃 /湖成沖積 壌土  〃 /砂岩・指層 (365)

2. 土壌分析結果(風乾物百分中 %)
  水分 T-N 0.2NHCL可溶 置換
CaO
1%クエン酸可溶 Humup T-C Ph 吸収係数
P2O5 K2O P2O5 K2O N P2O5
池田町 3.89 0.183 0.045 0.037 0.210 0.017 0.008 4.77 2.77 5.8 212 952
浦幌町(坂下) 6.84 0.280 0.041 0.092 0.385 0.025 0.029 5.96 3.46 5.8 260 986
幕別町(西原) 5.50 0.183 0.049 0.067 0.301 0.026 0.015 4.45 2.58 6.6 131 678
足寄町(岸山) 5.14 0.322 0.043 0.027 0.220 0.009 0.070 8.67 5.03 5.6 405 1785
陸別町 4.52 0.405 0.039 0.040 0.376 0.014 0.011 9.29 5.39 6.0 288 1102
足寄町(山岸) 6.46 0.377 0.047 0.030 0.300 0.017 0.008 11.72 6.80 5.8 305 1613
浦幌町(吉田) 4.51 0.297 0.052 0.033 0.145 0.020 0.009 9.15 5.31 6.2 369 1707
幕別町(山田) 4.29 0.172 0.042 0.027 0.187 0.012 0.007 5.58 3.24 6.4 361 901
更別村 6.78 0.211 0.024 0.018 0.137 0.002 0.006 5.86 3.40 5.2 279 1193
忠類村 7.04 0.180 0.023 0.028 0.121 0.004 0.008 5.07 2.94 5.1 279 1442
中札内村 7.68 0.300 0.039 0.020 0.114 0.009 0.007 4.91 2.85 5.0 201 712
大樹町 6.18 0.178 0.031 0.050 0.099 0.009 0.013 5.04 2.93 5.1 270 1279
広尾町 7.41 0.222 0.019 0.025 0.123 0.006 0.007 9.58 5.56 4.8 279 1219
本別町 4.62 0.427 0.045 0.027 0.283 0.017 0.009 9.72 5.64 6.0 315 1141
音更町(中村) 7.04 0.350 0.056 0.032 0.326 0.012 0.009 10.44 6.06 6.6 387 1527
音更町(阿部) 6.44 0.419 0.045 0.031 0.292 0.008 0.008 11.48 6.66 6.0 333 1475
豊頃町 5.05 0.269 0.041 0.026 0.175 0.009 0.008 8.44 4.90 6.0 389 1613
御影村 7.29 0.355 0.025 0.040 0.255 0.010 0.012 10.91 6.33 5.5 440 1987
清水町 5.65 0.300 0.023 0.029 0.242 0.003 0.009 8.20 4.76 5.5 441 1707
新得町 7.70 0.394 0.022 0.021 0.228 0.002 0.006 11.27 6.54 5.3 485 1987
鹿追村  10.04  0.280  0.023  0.023  0.210  0.009  0.007 11.53  6.69  5.1  459  1862
上士幌町 6.13 0.350 0.048 0.032 0.328 0.010 0.010 10.50   6.09   6.5 450 1811
芽室町 9.20 0.247 0.030 0.028 0.188 0.003 0.008 7.91 4.59 5.5 443 1656
士幌町 4.78 0.330 0.042 0.044 0.257 0.011 0.012 9.96 5.78 5.6 270 1571

 

3. 収量調査成績

 池田町(第四紀新層)収量調査(水稲)
子実重比(%) 子実重比(%) 子実重比(%)
31年-ヒ 74 32年-ヒ 69 33年-ヒ 26
-N 64 -N 50 -N 18
-P 62 -P 97 -P 93
-K 60 -K 71 -K 91
3M  100 3M  100 3M  100

 ◎考察
  初年目は、窒素・燐酸・加里ともに肥効は認められた。2年目においては、窒素の肥効顕著にして、加里の肥効も認められたが、燐酸の肥効は認められない。3年目は窒素の肥効が特
 に顕著であり、活着時期より制限的に働き、窒素の欠陥を起こし収穫まで続いた。燐酸加里においては認められる程度であった。
  窒素の1次地力も、永久地力ともに不足である。もっとも水稲なので、以上のような結果になったものと考えられるが、窒素の施用に当たっては、用量試験を施行して決定してゆくことが
 望ましい地帯である。

  

 浦幌町(坂下)(第四紀新層)収量調査(燕麦)
子実重比(%) 子実重比(%) 子実重比(%)
31年-ヒ 56 32年-ヒ 58 33年-ヒ 79
-N 71 -N 56 -N 67
-P 95 -P 107 -P 116
-K 97 -K 92 -K 80
3M  100 3M  100 3M  100

 ◎考察
  初年目は窒素の肥効認められるも、燐酸加里の肥効はほとんど認められなかった。2年目においては窒素の肥効顕著となったが、加里の肥効やや認められるも、燐酸の肥効はまった
 く認められない。3年目においては窒素の肥効顕著に認められ、加里の肥効も認められたが、燐酸の肥効は認められなかった。窒素、燐酸ともに土壌の分析結果よりみると、含有量は
 比較的中庸である。土壌、植物体ともに加里の含有量は多いが、永久地力はその割に少ないようであり意外であった。

 

 

 幕別町(西原)(第四紀新層)収量調査(燕麦)
子実重比(%) 子実重比(%) 子実重比(%)
31年-ヒ 44 32年-ヒ 39 33年-ヒ 27
-N 44 -N 40 -N 34
-P 96 -P 82 -P 93
-K 90 -K 103 -K 104
3M  100 3M  100 3M  100


 ◎考察
  初年目においては窒素の肥効顕著にして、加里の肥効はやや認められる程度であるが燐酸の肥効は認められない。2年目においては窒素の肥効顕著にして、燐酸の肥効も認められ
 るも加里の肥効はまったく認められない。3年目においては、窒素の肥効顕著にして燐酸の肥効はやや認められる程度であるが加里の肥効はまったく認められなかった。土壌分析の結
 果からも、窒素の含有率が低いようであり施肥にあたっては充分に留意すべきである。

 

 

 足寄町(岸山)(火山灰質/湖成洪積)収量調査(燕麦)
子実重比(%) 子実重比(%) 子実重比(%)
31年-ヒ 38 32年-ヒ 23 33年-ヒ 17
-N 53 -N 56 -N 48
-P 94 -P 91 -P 65
-K 102 -K 115 -K 95
3M  100 3M  100 3M  100

 ◎考察
  初年目は燐酸窒素の肥効特に顕著にして加里の肥効はまったく認められない。2年目、3年目においても同様の傾向であった。燐酸窒素ともに、1次地力、永久地力ともに少ないので
 施肥に当たっては注意が必要である。分析結果より燐酸の吸収係数が高いので充分に留意すべきである。また腐植の含有量は多いようであるが、質が関係しているのであろう。

  

 陸別町(火山灰質/湖成洪積)収量調査(燕麦)
子実重比(%) 子実重比(%) 子実重比(%)
31年-ヒ 56 32年-ヒ 50 33年-ヒ 35
-N 53 -N 56 -N 48
-P 94 -P 91 -P 65
-K 102 -K 115 -K 95
3M  100 3M  100 3M  100

 ◎考察
  初年目は窒素の肥効特に顕著であり、燐酸の肥効はやや認められる程度であるが、加里の肥効はまったく認められない。2年目も同様の傾向であったが、3年目においては、燐酸の
 肥効も認められるに至ったが加里の肥効はほとんど認められなかった。分析結果から比較的Nの含有量が高いが腐植の質が問題であろう。

 

 

 足寄町(山岸)(火山灰質湖成洪積)収量調査(燕麦)
子実重比(%) 子実重比(%) 子実重比(%)
31年-ヒ 51 32年-ヒ 31 33年-ヒ 41
-N 54 -N 44 -N 43
-P 80 -P 64 -P 37
-K 113 -K 89 -K 80
3M  100 3M  100 3M  100

 ◎考察
  初年目は窒素の肥効顕著にして、燐酸の肥効認められるも、加里の肥効は認められない。2年目には窒素の肥効特に顕著にして、燐酸も顕著であり、加里の肥効もやや認められた。
 3年目においては、窒素、燐酸の肥効特に顕著であり、生育初期より、制限的に働き加里の肥効も認められた。加里の1次地力はあるも永久地力はあまり高くなく、土壌の窒素の含有
 率は比較的高いが、肥効は顕著に表れた。腐植の質に関係あるものであろう。また、燐酸の吸収係数は高いので、施肥に当たっては以上のことを充分留意して各要素を施用すべきで
 ある。

  

 浦幌(吉田)(火山性土/海成洪積)収量調査(燕麦)
子実重比(%) 子実重比(%) 子実重比(%)
31年-ヒ 45 32年-ヒ 32 33年-ヒ 13
-N 70 -N 63 -N 43
-P 67 -P 33 -P 36
-K 103 -K 120 -K 74
3M  100 3M  100 3M  100

 ◎考察
  初年目は、窒素・燐酸の肥効認められるも加里の肥効はまったく認められない。2年目においては、燐酸の肥効時に顕著にして生育中より制限因子として認められた。また窒素の肥効
 も顕著であったが、加里の肥効はまったくなかった。3年目においては2年目同様の傾向にあったが加里の肥効も認められるに至った。土壌の分析結果より、燐酸の吸収係数は高いの
 で燐酸の施用には充分に留意する必要がある。

  

 幕別町(山田)(火山性土/海成洪積)収量調査(燕麦)
子実重比(%) 子実重比(%) 子実重比(%)
31年-ヒ 47 32年-ヒ 43 33年-ヒ 25
-N 46 -N 48 -N 35
-P 76 -P 70 -P 66
-K 99 -K 102 -K 42
3M  100 3M  100 3M  100

 ◎考察
  初年目は窒素の肥効顕著にして、燐酸の肥効も認められるが、加里の肥効は認められない。2年目においても同様であったが、3年目においては加里の肥効も顕著であり、燐酸の肥
 効は比較的顕著であった。加里の一次地力はあるも永久地力は少ない。土壌分析の結果から、窒素および有効態の加里の含有量が少ないがその点充分に注意が必要である。

 

 

更別村(火山性土/海成洪積)収量調査(燕麦)
子実重比(%) 子実重比(%) 子実重比(%)
31年-ヒ 47 32年-ヒ 43 33年-ヒ 25
-N 46 -N 48 -N 35
-P 76 -P 70 -P 66
-K 99 -K 102 -K 42
3M  100 3M  100 3M  100

 ◎考察
  初年は窒素の肥効顕著にして燐酸の肥効も顕著で加里の肥効も認められた。2年目においてもこの傾向にあったが燐酸と窒素の肥効が顕著となり3年目においては窒素加里の肥効
 が顕著であった。各要素とも、一次地力永久地力ともに少ない傾向にあるが分析結果からも特に有効態の加里の含有量が少ないので、充分に留意して施肥をする必要がある。

 

 

 忠類村(火山性土/海成洪積)収量調査(燕麦)
子実重比(%) 子実重比(%) 子実重比(%)
31年-ヒ 47 32年-ヒ 43 33年-ヒ 25
-N 46 -N 48 -N 35
-P 76 -P 70 -P 66
-K 99 -K 102 -K 42
3M  100 3M  100 3M  100

 ◎考察
  初年目は窒素の肥効顕著にして燐酸の肥効も認められるも、加里の肥効は認められない。2年目においては窒素の肥効特に顕著であり、生育の初期から制限因子となっており、加里
 の肥効はやや認められる程度であった。3年目においては窒素燐酸ともに顕著に肥効が現れ生育中においてても、制限因子を見受けられた。また加里の肥効も顕著であった。
  窒素においては、分析結果より含有率が低いので充分に留意することが必要であるが、燐酸加里においても一次地力はあるが、永久地力は少ないようであり注意を要する。

 

  

 中札内(火山性土/湖成沖積)収量調査(燕麦)
子実重比(%) 子実重比(%) 子実重比(%)
31年-ヒ 43 32年-ヒ 32 33年-ヒ 35
-N 49 -N 37 -N 52
-P 77 -P 61 -P 56
-K 109 -K 88 -K 63
3M  100 3M  100 3M  100


 ◎考察
  初年目は窒素の肥効特に顕著にして、燐酸の肥効も認められたが、加里の肥効はまったく認められない。2年目においては窒素の肥効特に顕著であり、燐酸の肥効もこれに次ぎ顕著
 で、加里の肥効も認められた。3年目には、各要素の肥効が顕著となって現れた。窒素は一次地力永久地力ともに少ないが加里の一次地力はあるも、永久地力は少ない。
 分析結果より可給態の加里が少ないので注意を要する。

  

   

 大樹町(火山性土/河成洪積)収量調査(燕麦)
子実重比(%) 子実重比(%) 子実重比(%)
31年-ヒ 52 32年-ヒ 38 33年-ヒ 38
-N 59 -N 44 -N 54
-P 84 -P 63 -P 57
-K 102 -K 100 -K 100
3M  100 3M  100 3M  100


 ◎考察 
  初年目は窒素の肥効顕著にして、燐酸の肥効も認められるも、加里の肥効はまったくない。2年目においては窒素の肥効顕著であり、燐酸の肥効もこれにつぎ顕著であったが、加里
 の肥効はまったくない。3年目においても同様の傾向にあった。窒素と燐酸が制限的であるが、加里は吸収量よりみると漸減の結果を示しており、加里の施用に当たっても、充分に留意
 されたい。

  

  

 広尾町(火山性土/河成洪積)収量調査(燕麦)
子実重比(%) 子実重比(%) 子実重比(%)
31年-ヒ 49 32年-ヒ 44 33年-ヒ 44
-N 52 -N 54 -N 63
-P 75 -P 72 -P 71
-K 105 -K 79 -K 51
3M  100 3M  100 3M  100


 ◎考察
  初年目は窒素の肥効顕著にして、燐酸の肥効も認められるも、加里の肥効はまったく認められない。2年目は窒素の肥効顕著にして、燐酸・加里の肥効も認められた。3年目では加里
 の肥効が特に顕著にして、窒素・燐酸の肥効も認められた。加里の一次地力はあるも永久地力は少ない点を留意するとともに、分析結果からも有効態の燐酸加里の量が少ないので注
 意を要する。

  

 

 本別町(火山性土/海成洪積)収量調査(燕麦)
子実重比(%) 子実重比(%) 子実重比(%)
31年-ヒ 55 32年-ヒ 38 33年-ヒ 38
-N 75 -N 58 -N 54
-P 83 -P 76 -P 19
-K 115 -K 91 -K 36
3M  100 3M  100 3M  100


 ◎考察
  初年目は窒素の肥効認められ、燐酸の肥効も認められたが加里の肥効は全く認められない。2年目においては窒素の肥効特に顕著にして、燐酸の肥効も認められたが、加里の肥効
 はやや認められる程度であった。3年目においては各要素ともに肥効は特に顕著に現れた。燐酸が最も著しかった。各要素ともに一次地力はあるも永久地力としてはほとんど認められ
 ない。

 

 

 音更町(中村)(火山性土/海成洪積)収量調査(燕麦)
子実重比(%) 子実重比(%) 子実重比(%)
31年-ヒ 45 32年-ヒ 38 33年-ヒ 25
-N 49 -N 49 -N 49
-P 85 -P 76 -P 52
-K 109 -K 104 -K 48
3M  100 3M  100 3M  100


 ◎考察
  初年目は窒素の肥効顕著にして燐酸の肥効は認められるも、加里の肥効はまったく認められない。2年目においても同様の傾向にあったが、3年目においては、各要素ともに肥効は顕
 著に認められた。燐酸および加里の一次地力は比較的あるも永久地力は少ない。

 

 

 音更町(阿部)(火山性土/海成洪積)収量調査(燕麦)
子実重比(%) 子実重比(%) 子実重比(%)
31年-ヒ 37 32年-ヒ 39 33年-ヒ 44
-N 47 -N 47 -N 43
-P 73 -P 99 -P 43
-K 92 -K 107 -K 36
3M  100 3M  100 3M  100


 ◎考察
  窒素の肥効時に顕著にして燐酸の肥効も顕著であるが、加里の肥効はやや認められる程度である。2年目においては窒素の肥効顕著であり、燐酸加里の肥効は認められなかった。
 3年目においては各要素とも肥効は顕著に認められた。燐酸加里ともに一次地力はあるも永久地力は少ない。

 

 

 豊頃町(火山性土/海成洪積)収量調査(燕麦)
子実重比(%) 子実重比(%) 子実重比(%)
31年-ヒ 43 32年-ヒ 45 33年-ヒ 33
-N 50 -N 48 -N 38
-P 82 -P 53 -P 12
-K 100 -K 98 -K 52
3M  100 3M  100 3M  100


 ◎考察
  初年目は窒素の肥効顕著にして、燐酸の肥効は認められるも加里の肥効は認められなかった。2年目においては窒素、燐酸ともに肥効は顕著であったが、加里の肥効は認められな
 い。3年目においては燐酸の肥効は特に顕著であり、生育期間中より制限因子の如く現れて6月の上旬ころより、燐酸欠乏症が現れていた。また窒素および加里の肥効も顕著であった。
  加里の一次地力はあるも永久地力は少ない、燐酸の一次地力は比較的あるも永久地力は少ない。また土壌の燐酸吸収係数もかなり高い。当地帯においては窒素は勿論であるが燐
 酸加里の施用にも充分留意されたい。

 

 

 御影村(火山性土/海成洪積)収量調査(燕麦)
子実重比(%) 子実重比(%) 子実重比(%)
31年-ヒ 43 32年-ヒ 45 33年-ヒ 33
-N 50 -N 48 -N 38
-P 82 -P 53 -P 12
-K 100 -K 98 -K 52
3M  100 3M  100 3M  100


 ◎考察
  初年目は窒素の肥効顕著にして、燐酸の肥効も認められ加里の肥効はやや認められる。2年目には、窒素の肥効特に顕著にして、生育初期から制限因子の如くであった。燐酸の肥
 効も認められたが加里の肥効は未だ現れていない。3年目においては窒素・燐酸加里ともに肥効は顕著であった。また加里においては(ーK区)3年目の生育中期より加里の欠乏症が顕
 著に現れた。また、土壌の分析結果から燐酸の吸収係数が高いので注意を要する。

 

 

 清水町(火山性土/海成洪積)収量調査(燕麦)
子実重比(%) 子実重比(%) 子実重比(%)
31年-ヒ 49 32年-ヒ 40 33年-ヒ 34
-N 54 -N 48 -N 38
-P 103 -P 73 -P 67
-K 116 -K 100 -K 52
3M  100 3M  100 3M  100


 ◎考察
  初年目は窒素の肥効顕著にして、燐酸加里の肥効はまったく認められない。2年目に於いては窒素の肥効顕著にして、燐酸の肥効も認められたが加里の肥効は認められなかった。
 3年目においては窒素の肥効特に顕著にして、加里も顕著に現れ、燐酸も認められた。 以上のことから、燐酸加里の肥効は初年目においてまったく認められなかったが、3年目には認
 められることから一次地力は燐酸加里ともにあるも、永久地力は少ない。特に加里に於いては少ない。
  分析結果燐酸吸収係数が高く、可給態の燐酸も少ないので、燐酸の施肥に当たっては充分に留意することが望ましい。

 

 

 新得町(火山性土/海成洪積)収量調査(燕麦)
子実重比(%) 子実重比(%) 子実重比(%)
31年-ヒ 49 32年-ヒ 33 33年-ヒ 33
-N 51 -N 41 -N 38
-P 82 -P 47 -P 49
-K 116 -K 67 -K 33
3M  100 3M  100 3M  100

 ◎考察
  窒素の肥効顕著にして燐酸の肥効も認められたが、加里の肥効は認められない。2年目においては窒素燐酸の肥効特に顕著にして、加里の肥効も認められた。3年目においては各要
 素の肥効特に顕著であった。燐酸は比較的一次地力はあるようであるが、永久地力は少ない。加里は一次地力はあるも永久地力は少ない。また土壌分析の結果から燐酸吸収係数高
 く加里燐酸ともに、可給態の成分が少ないので充分注意を要する。

 

  

 鹿追村(火山性土/海成洪積)収量調査(燕麦)
子実重比(%) 子実重比(%) 子実重比(%)
31年-ヒ 56 32年-ヒ 35 33年-ヒ 39
-N 57 -N 36 -N 58
-P 81 -P 42 -P 61
-K 101 -K 73 -K 38
3M  100 3M  100 3M  100


 ◎考察
  初年目は窒素の肥効が特に顕著であり、燐酸の肥効も認められるも加里の肥効はまったく認められない。2年目においては窒素燐酸の肥効が顕著にして加里の肥効も認められた。
 3年目においては加里の肥効が特に顕著であり、生育の初期より加里欠乏の症状を呈した。窒素・燐酸の肥効は顕著であって、また加里の一次地力はあるも永久地力は少ないのであ
 り、また土壌分析の結果からも可給態の燐酸加里ともに低目であるのでその点留意する必要がある。

 

 

 上士幌町(火山性土/海成洪積)収量調査(燕麦)
子実重比(%) 子実重比(%) 子実重比(%)
31年-ヒ 52 32年-ヒ 30 33年-ヒ 24
-N 55 -N 50 -N 39
-P 85 -P 66 -P 46
-K 108 -K 96 -K 99
3M  100 3M  100 3M  100


 ◎考察
  初年目は窒素の肥効顕著にして燐酸の肥効も認められるも、加里の肥効はまったく認められない。2年目においても同様の傾向にあったが、3年目に於いては窒素燐酸の肥効が特に
 顕著に認められたが、加里の肥効は認められなかった。分析結果から燐酸の吸収係数が高いのでその点留意する必要がある。

 

 

 芽室町(火山性土/湖成洪積)収量調査(燕麦)
子実重比(%) 子実重比(%) 子実重比(%)
31年-ヒ 56 32年-ヒ 36 33年-ヒ 31
-N 58 -N 47 -N 40
-P 89 -P 70 -P 66
-K 106 -K 103 -K 45
3M  100 3M  100 3M  100


 ◎考察
  初年は窒素の肥効顕著にして、燐酸の肥効もやや認められるも加里の肥効は全く認められない。2年目にありても同様の傾向を示したが、3年目においては窒素の肥効が特に顕著で
 あり、加里の肥効もこれにつぎ、燐酸の肥効も顕著であった。また苦土欠の症状が各区に現れたが、特に無燐酸区においては明確であった。加里の一次地力はあるも永久地力は少な
 く、また土壌分析の結果から燐酸の吸収係数は高いのでその点十分に留意。

 

 

 士幌村(火山性土/湖成沖積)収量調査(燕麦)
子実重比(%) 子実重比(%) 子実重比(%)
31年-ヒ 77 32年-ヒ 55 33年-ヒ 37
-N 84 -N 38 -N 43
-P 78 -P 107 -P 38
-K 97 -K 93 -K 87
3M  100 3M  100 3M  100


 ◎考察
  初年目は燐酸の肥効認められ窒素の肥効もやや認められるが、加里の肥効は認められない。2年目においては窒素の肥効特に顕著にして、加里の肥効もやや認められる程度である
 が、燐酸の肥効はまったく認められない。3年目においては燐酸窒素の肥効特に顕著にして、加里の肥効もやや認められる程度である。2年目に燐酸の肥効が現れなかったが、3年目
 には顕著に現れた。理由は不明であるが永久地力としては少ないように考えられる。また燐酸吸収係数も可成り大なることも注意する必要あり。