【普及奨励事項】

ヘイコンディショナーについて

北海道農業試験場農業物理部
北海道立農試十勝支場
  渡辺 隆   斎藤 亘

 ヘイコンディショナーについて、昭和33年度以降3ヵ年にわたり、農林省北海道農業試験場農業物理部、同畜産部ならびに北海道立農業試験場十勝支場が試験した結果、乾牧草の調製にあたり慣行法にくらべ、この使用の効果が認められた。
 ただし、気象条件、地形、草生の状態、機械使用技術により牧草乾燥促進効果がことなるので、使用にあたってはつぎの事項に注意を要する。

普及上の注意

1. 処理中
 ヘイモアーの刈取巾に対するヘイコンディショナーの処理巾は通常約30cm狭いことを必要とする。広すぎたばあいは、隣接する草条を引きこんで、ロールに纒絡し、作業困難となる。

2. 地上高
 ロールの最低部地上高は、刈り株の高さより高目にすること。地上高が低いときはピックアップロールが刈り株を噛み、抵抗を増大するばかりでなく、牧草中に根部や土砂を混入する結果となり、かつ作業能率が低下する。

3. ほ場の凹凸
 ほ場の凹凸は作業を困難にするから牧草作付時にはほ場の均平化を心掛けることが大切である。凹凸のおおいときは、凸部ではピックアップロールが刈り株や土壌を噛み、抵抗を増大させ、凹部では処理残しを生ずる。

4. 処理時期
 1) ヘイモアーの刈取直後、おそくても30分以内に処理すること。遅れる時は牧草がピックアップロールあるいはメインロールに巻きつき、作業困難になりまた巻きつきを生じない場合でも乾燥促進効果を低下せしめる。
 2) 乾燥促進効果をあげるためには、早朝から作業を開始し、午前9時頃までには作業を終了することがこのましい。ただし結露のはげしいときは、結露の蒸発をまって処理すること。

5. 前進速度
 前進速度が速すぎれば、機体の上下運動がおこるから、拾い上げの効果を低下せしめるとともに、索引抵抗が急激に増大する。

6. ロール間圧力
 草種、草生密度に応じてロール間圧力を調整しなければならない。とくにマメ科牧草の場合、ロール間圧力が大にすぎると、茎葉の損失が増大し、また小にすぎると処理効果が減少する。

7. ロールの空転
 ロールの空転を極力さけること。ロールの空転はその破損をまねく。

8. 2回処理
 天候悪化の傾向がみられるときは、2回処理が有効である。ただし2回目の処理にあたっては、ロール間の圧力を下げることがのぞましい。

9. ヘイテッダーの使用
 ヘイコンディショナーの使用後、ヘイテネダーを使用すれば、さらに乾燥が促進されるが、茎の老化した状態にあるものあるいは水分含有量が40%ていど以下に下がったものについては、ヘイテッダー処理が葉の損失を増大させる結果をまねくから、十分な注意が必要である。

10. マメ科牧草にあっては、20%以下にまでほ場乾燥をおこなえば、葉の損失がおおくなるから、40%程度でほ場乾燥を打切り、収納後、人工通風乾燥することがこのましい。

11. 慣行の牧草収穫時期に不順な天候が続く地帯にたっては、その時期を回避し、できうれば早期刈取を実施して1番草をグラスサイレージとして使用し、2番草で乾牧草を調製するばあいは、ヘイコンディショナーの有効な使用も可能となる。

ヘイコンディショナーの代表的作用図

ほ場における気象状況

コンディショナー機種の相異による含水率の変化(35年産、月寒)