【普及奨励事項】

ブロームグラス黒穂病防除試験成績

北海道立農業試験場 病虫部

 

 Ustilagobullata Beik によるマウンテンブロームグラス、フイルドブロームグラスなどの黒穂病が圃場によって多発し、採種上障害となっているが本病防除のため雪印種苗株式会社上野幌育種場の協力をえて種子消毒試験を実施した結果、有機水銀剤、チュラム剤、ジクロン剤などを種子重量の0.5~0.75%重の割合で種子粉衣して播種することにより黒穂病の発生をほぼ完全防止できることが認められた。

 

試験成績
(1) 圃場試験(上野幌育種場)
   供試作物    マウンテンブロームグラス(上野幌、発病圃産、有ふ)
   1区面積区制  1区5㎡(5m畦2畦)3反覆制
   播種月日    1961年5月2日(10a当1.5kg 播種)
   供試薬剤    有機水銀剤 フェニール,マーキュリーアセテート(セレサン)2.5%、
             チュラム剤  テトラメチル,チウラム、デイサルフアイド50%(アラサン)
             ジクロン剤  2.3 ヂクロロナー、1.4 ナフトキノン50%(カビサイド)
   粉衣量      0.75%

 調査成績 次表のとおり(3区平均)
区別 スタンド数 発病調査 子実重
(g)
青刈収量
6月2日 7月2日 調査穂数 病穂数 病穂率
(%)
1番草
(kg)
2番草
(kg)
無処理 163.7 81.0 94.3 22.3 27.0 14.6 6.19 3.53
有機水銀剤 202.0 130.7 104.3 0.3 0.3 20.0 7.35 3.94
チウラム剤 221.7 132.7 82.0 0 0 15.8 6.33 3.50
ジクロン剤 2.34.7 141.0 111.7 0 0 20.6 6.79 3.78
  註:1) スタンド数は50cm区間4ヶ所計を示す。
    2) 発病調査は9月5日、50cm区間4ヶ所の穂について調査、子実重は同じく健全子実重を示す。
    3) 青刈第一回は9月11日(結実期ご適期より20日遅れ)、青刈第二回は11月6日(出穂前で適期より遅し)、各区2畦5㎡の生重を示す。

(2) 室内試験(本場)
   供試作物   フィールドグロームグラス
            (豊浦町、発病圃産、脱ふ)1959年米国より輸入したものを豊浦町にて播種して発病多かったものである。
            なお種子不足のため上野幌産種子を混合して供試。
   調査方法   60×30×12cmの木枠に土壌を充填し、1区100粒づつ1960年11月22日播種、2区制とした。
            (種子稔実不良で発芽極めて不良)
            冬期ガラス室内におき春季6月以降戸外においた。
   供試薬剤   有機水銀剤  フェニールマーキュリーアセテート2.5%(セレサン)
            チュラム剤A  テトラメチル、チュラム、デイサルフアイド50%(アラサン)
            チュラム剤B  デイサルフアイド50%(三共チュラム)
   粉衣量    0.5%   

 調査成績 次表のとおり(2区平均)
区別 穂数 健全 黒穂 病穂率
(%)
無処理 45.5 20.0 25.5 56.2
有機水銀剤 43.5 43.5 0 0
チュラム剤A 66.0 65.0 1.0 1.5
チュラム剤B 65.0 65.0 0 0
(比)米国産種子無処理 90.0 44.0 46.0 50.9
  註:1) (比)の種子は1959年米国より輸入したものを用いた。
    2) 発病調査は1961年9月3日に稔実穂について実施した。