【指導奨励事項】
花百合「岩内透1号、2号、3号、4号」に関する試験成績
北海道立農業試験場岩字園芸試験地

経過の概要
 昭和25年、北海道園芸会岩字支部にて岩字地力海岸砂丘地に自生せる「えぞ透百合」の調査を行い、それが利用について研究中であった。

 昭和27年、岩字園芸試験地設立と同時に岩内地方海岸砂丘地に自生せる「えぞ透百合」を採集、翌28年更に採集せる約15,000球より、29年、30年の両年選抜、477系統となる。
 昭和32年、6月、北大明道教授に依頼して171系統を選抜
 昭和32年、冬、当場にて鱗片増殖、昭和33年3月、当場砂丘地圃場に移植
 昭和34年、はるな二条共和村百合組合へ系統を配布、栽培増殖
 昭和35年6月、北大、明道教授、岩字園芸試験地、共和村百合組合、共和村役場、北海道園芸会岩字支部、前田農協の関係者参集し調査の結果、11系統を選抜、増殖、昭和36年6月更に5系統を選抜、前年分と合わせて計16系統となる。
 昭和38年6月、札幌にて35年選抜の10系統について、北大明道教授、道立農業試験場、北海道ユリ協会等の関係者参集4系統を選抜、増殖することに決定した。

特性の概要
 1号(選抜番号99)
 えぞ透百合の中で早生に属し、岩内地方では6月上旬に開花、草丈60㎝内外、花色は紅色で花弁が稍々反転し、斑点は稍々多く、花梗が短く、花は上向で数輪つける。茎葉の毛は少なく、葉は細い方で数多く水平である。
 ボトリチスに対しては「えぞ透百合」では強い方である。

 2号(選抜番号30)
 えぞ透百合の中では中生種に属し、岩内地方では6月上中旬に開花、草丈は80㎝内外、花色は紅色で花弁は反転せず、斑点は稍々多く、花梗も比較的長い。花は稍々開くようで茎葉の毛は少ない、葉は細く数多く水平である。
 ボトリチスに対しては稍々強い方である。

 3号(選抜番号146)
 中生種に属し、岩内地方では6月上、中旬に開花、草丈70㎝内外、花色は鮮紅色で花弁は反転せず、斑点は比較的少ない。花梗は稍々長く、葉は稍々広く短く上向に付いている。
 ボトリチスに対しては稍々強い。

 4号(選抜番号10)
 稍々晩生種に属し岩内地方では6月中旬開花、草丈60㎝内外、花色は橙紅色で、花弁は反転せず、斑点は稍少ない。
 花梗は稍々長く、葉は稍々広く上向で数は少ない。葉色は淡緑である。
 ボトリチスに弱い様である。

栽培上の注意
 従来道内自生のエゾスカシがいわゆる山堀りとして府県における促成切花用球根として移出されているが、選抜4種は之等にかわるべきもので移出球根用として期待されるものである。
 エゾスカシは全般にウイルス病に弱いので栽培に当たっては環境を整備し、特に隔離に注意する必要がある。
 栽培適地は排水のよい、海岸に近いいわゆる白土の砂土~砂壌土である。