水稲新品種候補系統「上育413号」(きたいぶき)
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【要約】「上育413号」は、北海道唯一の直播栽培向品種「はやまさり」の品質・食
味を改良した直播栽培向系統で、本系統が普及することにより直播栽培の定着と面積拡
大が図られ、稲作の省力化と低コスト化に役立つ。
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北海道立上川農業試験場・研究部・水稲育種科 | 連絡先 |
0166-48-2244 |
部会名 | 北海道、推進、稲作 | 専門 | 育種 | 対象 | 稲類 | 分類 | 普及
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【 背景・ねらい 】
現在、北海道の稲作は、担い手不足による就農者の高齢化およびこれに付随する離
農、経営の委託等による規模の拡大と農地の分散、転作作物との労働の競合などから
、稲作作業の省力化が強く要望されている。また、米の輸入自由化問題、国内の産地
間競争の激化などから、生産コストの低減は緊急を要する。
直播栽培は省力・低コストの面で極めて有効な技術であるが、北海道唯一の直播栽
培向品種「はやまさり」は、品質、食味が劣るために直播栽培面積が伸び悩んでいる
。
「上育413号」は「はやまさり」の品質・食味を改良した直播栽培向系統で、本
系統の普及により直播栽培の定着と面積拡大を図る。
【 成果の内容・特徴 】
- 昭和60年に極早生・良質・良食味品種の育成を目標に、「上育395号」(後の「はやまさり」)/「上育397号」(後の「きらら397」)の雑種後代から育成したものである。平成2年より「上育413号」の系統名を付し地方適否を検討してきたもので、平成5年はF10になる。
- 極早生、良食味で、苗立ち性が優れる直播栽培向の粳系統である。
- 出穂期・成熟期は「はやまさり」よりやや晩い。苗立ち性は「はやまさり」並。食 味は「ゆきひかり」並で「はやまさり」より良い。玄米品質、白米白度、収量性も「はやまさり」に優る。障害型耐冷性はやや強、いもち病耐病性は強で「はやまさり」並であるが、登熟がやや遅く、耐倒伏性がやや劣る。
【 成果の活用面・留意点 】
- 北海道中央部および南部の良地帯の直播栽培に使用する。普及見込み面積 300ha。
- 低温発芽性、低温苗立ち性は十分とはいえないので、種子の予措・催芽を適切に行うとともに、適期播種と適正な水管理を行い、苗立ちの確保に努める。
- 耐倒伏性と登熟性が不十分なので多肥栽培は避けるとともに、透排水の改善等により根の発育と活力の維持を図る。
- 割籾の発生が「はやまさり」並に多いので適期収穫に努める。
【 その他 】研究課題名:超早生耐冷性品種の育成
予算区分:指定試験
研究期間:平成4年度(昭和60〜平成4年)
研究担当者:佐々木一男、柳川忠男、相川宗厳、前田 博、田縁勝洋、菊地治己、
丹野 久、菅原圭一、吉田昌幸
「平成5年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.6