イネ苗の細菌病に対する種子消毒法
【 要約 】イネ苗の細菌病(苗立枯細菌病および褐条病)の種子消毒に銅水和剤の2000倍液浸種前24時間浸漬が有効であった。また、本剤をばか苗病の種子消毒剤であるEBI剤に混用しても、ばか苗病に対する本剤の防除効果は低下しなかった。
北海道立中央農業試験場・稲作部・栽培第二科
北海道立上川農業試験場・研究部・病虫科
連絡先 0126-26-1518
0166-48-2244
部会名北海道・作物保護専門作物病害 対象水稲分類指導

【 背景・ねらい 】

 数年来より水稲の育苗期に細菌病(苗立枯細菌病および褐条病)が多発して被害を もたらしている。現在、育苗管理を基本とする対策がとられているが、これら細菌病 はいずれも種子伝染性であることから、種子消毒による対策の確立が強く要望されて いる。
 そこで、両細菌病に有効な種子消毒剤を探索し、その実用性を検討した。さらに、 現場ではばか苗病の種子消毒が行われているため、ばか苗病種子消毒剤との混用によ る同時種子消毒についても検討し、当面の種子消毒対策を確立することを目的に本試 験を行った。

【 成果の内容・特徴 】

  1. イネ苗の細菌病(苗立枯細菌病および褐条病)の種子消毒に、銅水和剤(水酸化第 二銅30%)の2000倍液浸種前24時間浸漬が有効であった。
  2. 本処理は、イネ褐条病に対する種子消毒にも有効であった。
  3. ばか苗病の種子消毒剤であるEBI剤(ペフラゾエ−ト水和剤 200倍、プロクロラ ズ乳剤1000倍、トリフルミゾ−ル乳剤 300倍)と銅水和剤2000倍の混用24時間浸漬 は、細菌病およびばか苗病の同時種子消毒に有効であった。
  4. 銅水和剤は、イネ苗に対して若干の生育抑制を示すこともあるが、実用上の問題は ないと考えられた。
  5. したがって、当面の種子消毒対策としては、銅水和剤2000倍およびEBI剤(ばか 苗病種子消毒剤)の混用浸種前24時間浸漬を指導する。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. 水稲の種子消毒は当面、銅水和剤(細菌病対象)2000倍とEBI剤(ばか苗病対象 )の混用浸種前24時間浸漬とする。
  2. 本処理は細菌病に対しては効果が完全ではないので、育苗管理対策の基本を遵守す  る。

【 その他 】

研究課題名:水稲の育苗期における細菌性病害の防除対策
予算区分 :道費
研究期間 :平成4年度(平成3〜4年)
研究担当者:竹内 徹、長浜 恵
発表論文等:北海道におけるイネ苗立枯細菌病の発生、北海道立農試集報64巻、1992

        「平成5年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P. 177