イチゴ新品種「道南8号」(きたえくぼ)
【 要約 】無加温半促成栽培向けの生食用品種として「道南8号」を育成した。現在の主力品種である「宝交早生」並の良食味、多収で、さらに果形、光沢が良く、また果皮が強いため、日持ち性、輸送性に優れる。
北海道立道南農業試験場・研究部・園芸科連絡先 0138-77-8116
部会名園芸専門育種対象果菜類分類普及

【 背景・ねらい】
 北海道のイチゴは春どりの生食用品種として早生で食味が良く多収であることから 、「宝交早生」が主に栽培されている。しかし、最近では、日持ち性が悪い、屑果が 多い、果形が悪い等の欠点が目立つようになり、これらを改良した新品種の開発が望 まれていた。
 「道南8号」は「宝交早生」の欠点である日持ち性の向上、上物率の向上、果形の 改良を目指し、昭和62年に道南農試において光沢良好で、果実が硬い道南農試選抜 系統「59交13-37」 を種子親に、果皮色が濃く、果形の良い「麗紅」を花粉親に交配 し、以後選抜を図り、平成2年から生産力検定、地域適応性検定を行い有望と認めら れたものである。

【 成果の内容・特徴 】
 特性の概要

  1. 「宝交早生」に比べ、草勢は強く、小葉は大きく、葉数は少ない。ランナーの発生 は7〜10日遅いが発生数は多い。花は大きく、花房当たりの花数も多い。
  2. 上物収量は「宝交早生」並で、平均1果重は2〜3g重く大果であり、上物率は1 0%程度高い。
  3. 果皮は鮮紅色で、果形は円錐形で光沢があり、外観は「宝交早生」に比べ良好であ る。
  4. 中心空洞は「宝交早生」より大である。
  5. 香り及び食味は「宝交早生」並で果皮は強く、日持ち性が良い。
  6. 収穫始期は「宝交早生」に比べ7〜10日遅い中生である。休眠性は「宝交早生」 より深い。普及対象地域は全道一円。普及見込み面積は、ハウス無加温半促成栽培 面積150haの内70haを予定している。中生のため、「宝交早生」と組み合 せて、収穫出荷の分散を図ることができる。

【 成果の活用面・留意点 】
 草勢が強いため、過繁茂より灰色かび病の発生を助長する場合があるので、密植は 避ける。また、定植の遅れや小苗定植による減収が「宝交早生」より大きい場合があ るので、早期、大苗定植に努める。

【 その他 】

研究課題名:イチゴ新品種育成試験
予算区分 :道  費
研究期間 :昭和57年〜
        「平成5年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.30