移出向け露地野菜品種の特性(ホウレンソウ、キャベツ、ダイコン、ニンジン)
【 要約 】ホウレンソウ67品種を7作期、キャベツ33品種を1作期、ダイコン43を4作期、ニンジン24品種を2作期で収量、品質等の栽培特性を明らかにし、各作期における移出向け適応性品種を選定する資料とする。また、ダイコン品種については抽苔の早晩性について分類した。
北海道立中央農業試験場・園芸部・野菜花き第一科連絡先01237-2-4220
部会名園芸専門育種対象根菜類、葉茎菜類分類指導

【 背景・ねらい 】

 近年、本道における露地野菜の作付けが増加し、これに伴い作物の種類が多様化し ており、品種特性調査に対する生産者の要望が高まっている。本試験では露地野菜の 品種特性を明らかにし、夏・秋取りの移出向け品種選定の資料を提供する。

【 成果の内容・特徴 】

  1. ホウレンソウ:5月播きでは「サンシャイン」、6〜7月播きでは「なつよし2号」等が抽苔が少なく、葉部生育が旺盛で、収量性が高かった。「サマーワールド」、「SB5027」等は各作期にわたり抽苔が特に遅かった。
     べと病(レース4)については「R−4」、「強力ポパイ」、「S481」に発病が見られなかった。「サロニカ」は夏期のビタミンC(還元型)含量が比較的高かった。硝酸含量の作期別変動は判然としなかったが、「強力ポパイ」等が低硝酸であった。
  2. キャベツ:ボールタイプでは「アーリーボール」と比較して、「YR26」の一球重がやや優り、「爽月」の食味が比較的良好であった。しかし総合的にみて「アーリーボール」より特に優る品種は認められなかった。中間タイプでは総合的にみて、「藍春ゴールド」より優る品種は認められなかった。
     サワータイプでは「金系201号」に比較して一球重、食味などから「YR早春」が良好であった。寒玉タイプでは「大藤」の一球重が重く、「YRしぶき2号」、「大藤」の葉質が硬かった。
  3. ダイコン:5月上旬播きでは標準の「T340」を上回る品種・系統は無い。6月上旬播きでは「みなづき」の抽苔性は晩生(図1、2、表1)で、多収性を示した。
     8月上旬播きでは「北栄2号」、「涼太」、「成徳」が多収で規格外根の発生が少なかった。9月上旬播きでは全品種で、低温のため小根となった。
  4. ニンジン:5月中旬播きでは「紅映5寸」「夏蒔鮮紅5寸」が抽苔せず、多収で、標準品種並の良好な品質を示した。6月上旬播きでは「夕福5寸」「紅星5寸」「はまべに2号」が多収で品質も良かった。

【 成果の活用面・留意点 】

移出用露地野菜の品種選定の資料とする。

【 その他 】

研究課題名:露地野菜の品種特性調査
予算区分 :道費
研究期間 :平成4年度(昭和57年〜平成4年)
研究担当者:宮浦邦晃、田中静幸、平井 泰
発表論文等:北海道園芸研究談話会(1992年12月)

        「平成5年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.88