〔要約〕ギョウジャニンニクは、採り播きで実生増殖できる。実生から収穫可能な大きさになるまで最低5年以上を要する。養分吸収は萌芽時から夏にかけて急激に行われる。採取地別個体群間で生育の早晩・草型などに変異がある。
北海道立十勝農業試験場 研究部 園芸科連絡先 0155-62-2431
部会名園芸専門育種・生理・栽培対象葉茎菜類分類指導

〔背景・ねらい〕

 ギョウジャニンニクは、滋養強壮によく美味しい山菜として古くから愛好され、近 年は北方系機能性食品・医薬品原料としても注目されている。しかし、山野では資源 枯渇の危機に瀕し、圃場での増殖もままならない。そこで、作物としての栽培の可能 性を検討した。

〔成果の内容・特徴〕

  1. ギョウジャニンニクは栽培に長年月を要する山菜であり、実生から収穫可能な大 きさに達するまで最低5年程度を要する。
  2. 成熟した個体の1年間の生育経過は、萌芽から開花まで1ヶ月半程度であり、夏 から秋にかけて結実、茎葉が黄変、枯死し、鱗茎は休眠状態となる。
  3. 採取地別個体群間で、生育の早晩、草型等の諸形質に差異が認められる。
  4. 実生増殖は採り播きを行うことで可能である。花球上部の果実が裂開し、下部の 果実が退色した頃に花球の採取を行うことで、発芽率の高い種子が得られる。
  5. 養分吸収は萌芽時から夏にかけて急激に行われ、春の萌芽時に化成肥料を表層施 用することで高い効果が得られた。
  6. 軟白栽培を行う場合、もみがらで6cm程度の充填が適当であった。

〔成果の活用面・留意点〕

  1. 栽培に長年月を要し、1度収穫すると再び収穫可能な大きさになるまで2〜3年 を要するとみられるので、ほ場の計画的な利用が必要である。
  2. 生育が遅く、生育量も少ないので、雑草管理を徹底する。
  3. 種子を利用する場合、種子は採種後時間を経るとすこぶる発芽が劣るので、採り 播きを行う。また、土壌凍結地帯では、種子の発芽当年の凍上対策が必要である。
  4. 化成肥料を施用する場合は、萌芽前に施用し、株の生育量に応じて加減する。
  5. 青果用として促成軟白栽培を行うときは、もみがら等で6cm程度充填する。

〔その他〕

研究課題名:山野草の特性調査と栽培化技術の確立に関する試験
予算区分 :道費
研究期間 :平成4年度(昭和63年〜平成4年)
研究担当者:佐藤達雄、越智弘明

        「平成5年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.103