リンゴ「ハックナイン」及び「つがる」の適正着果量
[要約]両品種とも着果量が一果重や糖度に及ぼす影響は大きく、特に過着果になると、果実品質に悪影響を及ぼすことが明らかとなった。適正な着果量としては、収量等を考慮して、「ハックナイン」では4〜5頂芽に1果、「つがる」では4頂芽程度に1果、着果させるのが適当であると考えられた。
北海道立中央農業試験場 園芸部 果樹第一科連絡先 01237-2-4220
部会名園芸部専門栽培対象果樹類分類指導

[背景・ねらい]

 着果量が果実品質等に影響を及ぼすことは、以前より知られており、また適正着果 量が品種によって異なることも知られている。  本道の主要品種である「ハックナイン」、「つがる」については、今までこの点に ついては経験的なものに頼られており、着果量についての試験成績は皆無であった。 そこで当場では、平成1年よりこの両品種の適正着果量を明らかにするため、4段階 の着果量処理を行ない、樹体生育や果実品質に及ぼす影響について検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. 樹体生育では、幹周増加量が多着果区で両品種とも低い傾向であった。頂端新梢 長は処理の影響はほとんど認められなかった。花芽率は、3頂芽当り1果結実させ た区(以下、3頂芽区、多区も同様)が低い傾向であった。
  2. 収量は、着果量の多い区ほど多かった。果実品質に対する処理の影響は明らかに 認められた。一果重では「ハックナイン」で5頂芽区が最も大きく、6、4、3頂 芽区の順に小さくなった。「つがる」では6頂芽区が最も大きく、多着果区程小さ くなった。糖度では、両品種とも着果量の多い3頂芽区で低かった。着色程度も3 頂芽区が両品種とも最も低かった。地色では3頂芽区が他区に比べて緑色に近かっ た。
  3. 以上の結果から、品質規格等を参考にして、両品種の適正着果量について検討し てみた。3頂芽区は両品種とも最も収量が多かったが、果実品質が最も低く、問題 があると思われた。
     「ハックナイン」では、5頂芽区が最も果実品質が良かったが、収量等を考慮して適正着果量としては4〜5頂芽に1果、結実させるのが適当と思われた。
     「つがる」では、少着果区程果実品質は良いが、4頂芽でも、果実品質が自主品 質規格を十分満たしているので、着果量は4頂芽程度に1果結実させるのが適当と 思われた

[成果の活用面・留意点]

 適正着果量 「ハックナイン」4〜5頂芽に1果 「つがる」4頂芽程度に1果

[その他]

研究課題名:リンゴ新品種の栽培法確立試験
予算区分 :道 単
研究期間 :平成4年度(平成1〜4年)
研究担当者:小賀野隆一、村松 裕司、渡辺 久昭
発表論文等:な し

        「平成5年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.128