スターチス・シヌアータ品種(栄養系)の特性
[要約]スターチス・シヌアータ栄養系品種の草勢,収量性及び切花品質等の特性を明かにし,品種選定及び栽培上の資料とする。
北海道立中央農業試験場・園芸部・野菜花き第二科連絡先01237-2-4220
部会名園芸専門育種対象花き類分類指導

[背景・ねらい]

 スターチス・シヌアータの品種は他の花き品種に比べて固定度が低く,開花性や草 丈などの形質にかなりのばらつきがみられる(1991:鶴島)。花色についても100%安 定であるとはいえない。そのため苗単価は高い(250〜300円/株)が実生品種にはな い花色,開花期,草丈が揃うということで組織培養された苗が1988年より発売され本 道にも広まりつつある。そこでこれらの栄養系品種の特性を調査し,普及指導上の資 料とする。

[成果の内容・特徴]

  1. 花色については参考品種ではばらつきが観察されたのに対して栄養系の品種では安 定していた。
  2. 開花期については抽台始も揃い,個体間差はほとんど認められなかった。
  3. 早晩性については定植時の苗質が揃っていないことからあえて評価しなかった。試 験期間中,未抽台株の発生はなかった。
  4. 組織培養苗の切花が実生品種に比べ大きく異なった点は茎の翼が狭く揃うところが 上げられる。
  5. 切花長についても揃いが良いように観察された。黄色系品種ではスターチス・ボン ジェリーの欠点とされる茎の曲がりが少なかった。
  6. 生育の特徴として栄養系品種は茎立ちは多いが切花重が軽く,切花長が短い(規格 品率がやや低かった)品種が多かった。
  7. 問題点としては栄養系品種では花房長が短くなったり花房が歪んだり,従来のよう に花房が長い三角形のブラシ状にならない切花の発生がやや多いように見受けられた。
  8. 本種の重要病害である灰色カビ病の発生は黄色系の品種,茎の細い品種で早い傾向 であった。

[成果の活用面・留意点]

 本試験は無加温作型(ハウス栽培)で評価していることを考慮すること。

[その他]

研究課題名:スターチス類の開花調節と品質向上試験
予算区分 :道費
研究期間 :平成4年度(平成3〜6年)
研究担当者:生方雅男
発表論文等:なし

        「平成5年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.111