スプレーギク(秋ギクタイプ)品種の特性
【 要約 】 近年、全国的に生産が伸びているスプレーギクのうち、秋ギクタイプの35品種につ いて季咲き及び短日9月切り栽培における、生態的特性、切り花品質、柳芽の発生等 の品種特性を明らかにし、品種の選定及び栽培の資料とする。
北海道立道南農業試験場・研究部・園芸科 連絡先 0138-77-8116
部会名園芸専門育種対象花き類分類指導

【 背景・ねらい 】
 スプレーギクは、最近生活の洋風化にともない消費の伸びている品目の一つであり 、従来の小ギクに代わって作付けが増加している。従来のキクにない豊富な花色やし なやかな草姿が特徴であるが、反面吸肥力が強く草勢が旺盛で、柳芽が出易いといっ た栽培の問題もあり、また品種も夏ギクタイプ、夏秋ギクタイプ、秋ギクタイプとい った開花反応の異なる品種群に分かれることから、最初に秋ギクタイプの品種につい て北海道における品種特性を明らかにし、栽培の資料とすることを目的とした。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 7月植え無加温10月〜11月出し栽培(季咲き栽培)
    1. 出蕾及び開花は、電照を行った平成3年が9月24日及び10月21日から始まっ た電照を行わない平成4年は、多少変動があり、概して出蕾開花の早い品種で差が 大きく、「カナリア」「イエロークイーン」の様な遅い品種では小さい傾向にあっ た。
    2. 柳芽の発生は、定植後まで電照を行った平成3年は殆ど認められなかった(施肥前 EC0.14)が、親株定植以降電照を行わず、また、残肥などの影響(施肥前EC0.31) で生育が旺盛になったと考えられる平成4年では、品種によって柳芽の多く発生す るものが認められた。特に柳芽の多かった品種としては「キャロライン」「ドラマ ティック」「サ ーモン」「チェリー」「ピンクパール」「フラミンゴ」「ミクロ ップ」「パーリアメン ト」が挙げられる。
    3. 良好なスプレーフォーメーションの指標として、1次側枝当たりの花らい数が1に 近いことが挙げられるが、平成3年は、各品種とも1に近く、良好なフォーメーシ ョンであったが、平成4年は「キャロライン」「ドラマティック」「チェリー」「 ビシュー」「フラミンゴ」「パーリアメント」で2を越え、ややフォーメーション の乱れがみられた。また、柳芽の多かった品種で1次側枝当たりの花らい数は多く なる傾向を示した。
  2. 6月植え無加温シェード9月〜10月出し栽培
    1. 短日処理開始から開花までの日数は50日〜65日で、季咲き栽培での花芽分化限 界日長付近と考えられる9月1日からの日数とほぼ同じであった。
    2. 柳芽は季咲き栽培で多かった品種で多かったほかに、「ステッツマン」でも多く発 生した。
    3. 季咲き栽培と同様に、柳芽の多かった品種では、1次側枝当たりの花らい数が多く なる傾向を示した。また、花弁色が全体に淡くなる傾向があり、「マイアミ」「イ エロークイーン」「メロディー」では、季咲き栽培との差が大きく、栽培時期の温 度の影響が大きかったものと考えられた。

【 成果の活用面・留意点 】
 スプレーギクは吸肥力が強く、多肥により品質低下を招く恐れがあるので、施肥量 に注意する。

【 その他 】

研究課題名:スプレーギクの品種特性調査
予算区分 :道  費
研究期間 :平成3年〜4年
研究担当者:稲川 裕、加藤俊介、立川さやか

        「平成5年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.106