はくさいに対するペ−スト肥料の施用技術
【 要約 】  野菜用の側条施肥播種機を使用して はくさい の直播栽培に対する両側条施肥法 を検討した結果現慣行法である全層施肥の直播及び移植法とほぼ同等の収量が得られ 、作業面の省力化と分施の省略が可能になった。
中央農試環境化学部土壌資源科連絡先01237-2-4220
部会名土地管理、園芸専門肥料対象葉茎菜類分類指導

【 背景・ねらい 】
 近年、水稲に対する施肥法として、側条施肥法が初期生育の安定化の面から普及し つつある。そこで、この技術を野菜作に応用するため最適施肥位置の検討および施肥 機の改善を図り、野菜の安定生産、高品質化、肥料節減等について検討してきた。  すでに、「だいこん」については、ぺ−スト肥料のスポット両側条施肥によって、 道標準施肥量の50% 程度の施肥量で従来の全層施肥法と同等からやゝ上回る成果が得 られている。そこで同機種を使用し多肥野菜の「はくさい」について検討した。 。

【 成果の内容・特徴 】
 比較的浅根性で多肥を必要とする「はくさい」の施肥法について、夏播き直播栽培 法で検討した結果、

  1. ペ−スト肥料の側条施肥法では、「両側条20kg/10a区」(種子両側5cm・地表5cm 深 )が現慣行法の「全層基肥20 +分施 N5k区」とほぼ同程度の収量を示した。しかし 、「両側条二段20kg区」( 種子両側5cm 及び10cm深の二段)は、やや低かった。
  2. はくさい」の場合は、作土層の上部に集中的に施肥される「両側条施肥法」が利用 率も高く有利であった。
  3. 本施肥法(「両側条20kg/10a」 )により、現慣行法の分施 N5kg/10a の省略が可能 となり、道標準施肥量の80% に節減できる。
  4. 本法は、作業工程が「両側条施肥・播種(同時)→間引」で終えるので、現慣行法 の移植法「育苗→全層施肥(表面散布・撹拌)→移植→分施」或いは、直播法「全 層施肥(表面散布・撹拌)→播種→間引→分施」と比較して、作業の省力化が図れ る。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. 同機種の汎用性の拡大が図られ、また、現在主流の、移植・全層施肥法を本法に代 えることにより、省力化および肥料節減が期待できる。
  2. ペ−スト肥料は、作業機及び配管内に長時間放置すると、沈澱し結晶しやすいので 、使用後は水洗いする。
  3. ペ−スト肥料を水で希釈する場合は、容積基準の内割法とする。
  4. 作業精度の向上を図るため、播種床は均一にし、砕土後に鎮圧ロ−ラで床締めをお こなう。
  5. 腐熟堆きゅう肥は、北海道施肥標準により、秋施用で10a当たり2tを原則とする。
  6. N地力の低い圃場では、多雨年の場合、生育後期にN不足をきたし、結球が不十分 になったり、白斑、黒斑病を誘発する恐れがあるので、かかる年にはN追肥の実施 が必要である。
  7. 「はくさい」の場合、多肥でしかも株間が広いため、スポット側条施肥法では、施 肥量調節に難があり、また、濃度障害の恐れもあるので、当面、連続法が望ましい 。
  8. 本法は、他の作型については、未検討なので、当面、夏播きに限る。

【 その他 】

研究課題名:葉茎菜に対するペ−スト肥料の効率的施肥法の確立
予算区分:受託
研究期間:平成 4年 (平成 3〜4 年)
研究担当者:長谷川 進・加藤 淳・土居晃郎・鎌田賢一
発表論文等:野菜におけるペ−スト肥料の効率的施肥技術、第 3報、はくさいに対
        する側条施肥法の開発、北農、第59巻第 4号、p 56〜60.長谷川 進
        ・加藤 淳・鎌田賢一、1992。

        「平成5年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.287