懸架モノレール式散水装置の多目的利用
【 要約 】  ハウス内の育苗・栽培管理・収穫作業を省力的に、かつ安全に行うために、散水を 主目的としたモノレール式散水装置をベースに防除機能、運搬機能、接触刺激機能を 付加し、多目的利用システムを開発した。
北海道立中央農業試験場・農業機械部・機械科連絡先01237-2-4220
部会名農業物理専門機械対象農業機械分類普及

【 背景・ねらい 】
 ハウス内の防除、管理、収穫運搬作業の省力化と高精度化及び安全性の向上を図る ため、モノレール式散水装置の多目的利用法を開発する。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 散水ノズルの吐出量は、変動係数4%以下で均一であった。設定散水量と平均散水 量との誤差率は1.1〜8.0%で、ほぼ設定通りの散水が可能だった。
  2. 懸垂式縦噴管の薬剤の付着は、表面には十分に付着したが、裏面の下位部で付着が 劣った。可動型ノズルの方向を全て上向きにした場合、ノズルからの距離30cmで、 表面の被覆面積率が低下したが、裏面は下位部16cmをのぞき60〜99%、60cmでは下 位部16、46cmをのぞき75〜94%と高まり、表面の付着も良好だった。
  3. 運搬車の走行は80kg積載時で、始動時の抵抗が11kg程度であり、走行時のころがり 抵抗はレールスパン2mで最大3.9kg、2.75mでは6.2kgであった。
  4. アーチパイプの垂直方向へのたわみは100kg積載しても最大 71.2mmで許容限度以下 であった。しかし、レール間移動の操作性を考慮すると、60kg以下が操作に無理が ない。
  5. 現地で収穫・搬出実証を行った。38.6kgのホウレンソウを2回に分けて運搬した。 運搬車移動と荷おろし移動の時間は4.6分で、円滑な収穫物の運搬ができた。
  6. 接触刺激装置は、モノレール走行装置にけん引される。懸垂式固定型接触のハクサ イに対する効果は、ブラシ、塩ビパイプの何れによる接触部でも、草丈の短い、そ ろいの良い苗ができた。回転型接触部による接触では、ブロッコリー、キャベツに 対して、草丈、葉柄長が短くなり、コンパクトな苗になった。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. モノレールの設置に当たっては、丁寧に行う。
  2. 薬剤散布噴管などの走行に支障をきたさないよう支柱等の設置に留意する。
  3. 運搬車は無理のない操作を考慮すると、60kg以下で使用することが望ましい。
  4. 接触刺激装置は作物に均一に接触するよう設置し、効果については確認が必要で ある。

【 その他 】

研究課題名:モノレール式散水装置の多目的利用システムの開発
予算区分 :共同研究
研究期間 :平成4年(平成3年〜4年)
研究担当者:大山毅、笹島克己、竹中秀行

        「平成5年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.47