たまねぎ直播機械化栽培改善技術
【 要約 】  ソイルクラストの生じ易い圃場では目土施用により出芽率が向上し、増収効果があ った。品種は中生種が比較的に安定収量を示した。栽植株数は4000粒/a程度が良好 であった。土壌処理剤、茎葉処理剤の体系処理により、生育初期からの除草の可能性 が得られた。直播は省力的であり、作付面積の拡大により所得は移植を上回る可能性 がある。
道立中央農試・機械科,野菜花き第1科,経営科連絡先01237-2-4220
部会名農業物理専門機械・栽培・経営対象葉茎菜類指導

【 背景・ねらい 】
 たまねぎ栽培の省力化のため、直播栽培法の改善技術について検討し、導入する際 の資料を得る。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 目土施用装置を開発し、目土施用量について検討した。施用により、種子の上部で ソイルクラストの生成程度が緩和され、出芽率が向上し、収量も増加した。処理量 80/10aで最大の効果を得た。
  2. 既存の品種内で直播適応性を検討した結果、早生種は肥大性が劣り、晩生種は青立 など生育が不安定であった。「レオ」、「ひぐま」などの中生種が安定した収量を示し た。
  3. 栽植株数が多くなると総収量が高くなるが、一球重は低下した。圃場出芽率を考慮 した4,000粒/a程度が球肥大などから良好な結果を示した。
  4. 土壌処理剤(ペンデメタリン乳剤)、茎葉処理剤(アイオキシニル乳剤、セトキシジム乳剤)の体系処理に よって、生育初期からの除草が可能と思われる。なお、いずれの薬剤も直播用とし ての登録はないが、アイオキシニル 乳剤については現在、直播用除草剤として登録のため の試験を実施中である。
  5. 省力的な直播栽培技術は家族労働を主体として約9haの作付が可能である。
  6. 6.直播栽培の10aあたり所得は移植栽培よりも少ないが、9ha規模では農機具の効率的利用により償却費が低下し、kg当たり生産費は移植栽培よりも低い。
  7. 1戸当たり所得は作付面積拡大の制約を強く受ける移植栽培を上回る。

【 成果の活用面・留意点 】
 たまねぎ栽培における省力化のため、直播栽培法を導入する際の資料として活用。 なお、生育遅延等による収量変動が移植栽培より大きいので、圃場条件、気象条件を 考慮して活用する必要がある。

【 その他 】

研究課題名:タマネギ直播機械化栽培による低コスト生産に関する試験
予算区分 :道単
研究期間 :平成4年(平成2年〜4年)
研究担当者:竹中秀行、宮浦邦晃、河野迪夫
発表論文等:な し

        「平成5年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.346