だいこん収穫機の開発
【 要約 】  だいこんの抜取り・葉の仕上げ切断・コンテナ詰め込み等の一連の収穫作業を行う トラクタ半直装型だいこん収穫機を開発した。収穫時の損傷が少なく10a当りの投下 労働時間は慣行収穫作業の35%減であることが確認された。
北海道立十勝農業試験場 研究部 農業機械科連絡先0155-62-2431
部会名農業物理専門機械対象根菜類分類普及

【 背景・ねらい 】
 だいこんは冷涼性作物であるため北海道内、多くの地域の作付面積は拡大傾向を示 している。更に産地化が図られ、6月から10月まで計画生産を行うことにより本州への 移出量も安定かつ着実に増加し、良質だいこんの産地として市場からも高い評価を得 ている。
 ところが、一昨年あたりから労働力不足が深刻になり、雇用労働力を集めることが 非常に困難となってきた。特にだいこんの収穫作業は、鮮度保持のため早朝より人手 で抜取り作業を行っているのが現状で、労働力不足により労働負担が大きく栽培面積 の拡大が困難となっている。
 圃場作業労働の軽減化と洗浄・調製施設までの運搬作業の省力化を図るため、だい こんの抜き取り・葉の仕上げ切断・運搬用コンテナ詰め込み等の一連の収穫作業を1 工程で行うだいこん収穫機を開発した。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 本機は、だいこん直下にリフタ刃を作用させて抜き上げ、葉をつかんで後方の横送 りコンベアに移送し、規格外品の目視選別と回転刃による葉の仕上げ切断を施して ^搬用コンテナに積み込むまでの一連の工程を処理するトラクタ半直装型収穫機で ある。平畦及び高畦マルチ栽培に適応できるようにリフタ刃と堀取装置を配列した
  2. 作業速度は葉の仕上げ切断能力で決まり、0.1m/s(2秒に1本)前後が限界であった。 抜き残しミスは普通生育のだいこんでは認められず、仕上げ切断は、だいこんの整 列・葉の送り装置を取り付けることにより省力的な作業が実現できた。
  3. トラクタ半直装型であるため移動時の牽引動力は 0.5PSで、作業時の牽引所要動力 は1.3PSであった。平畦や粘性土用のロータリとリフタを加振するに要するPTO軸動 力は4.8PSで、以上を含めた所要動力は6.1PSであった。コンテナ満載時のヒッチ点荷 重は626kgであった。
  4. 組作業人員はトラクタの運転手を含め3名で、作業能率は毎時 2.8aであった。10 a当りの投下労働時間の比較では慣行収穫作業の35%減であり、当該機の利用によ って労働負荷が軽減し長時間継続作業が可能となるなど有利性が確認された。

【 成果の活用面・留意点 】
 本成績は火山性土及び平坦地における成果である。適応トラクタは40Ps以上で微速 装置付四輪駆動が適し、安定作業のためトラクタ前方に 300kg程度のウエイトを付加 すること。

【 その他 】

研究課題名:だいこん収穫の機械化
研究期間 :平成4年度(平成3〜5年)
予算区分 :国費補助
研究担当者:桃野 寛、山島由光、白旗雅樹
発表論文等:だいこん収穫機の開発、第52回農業機械学会年次大会講演要旨、1993

        「平成5年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.50