簡易草地更新機の開発
【 要約 】 追播・施肥機能を有した部分耕方式の簡易草地更新機を開発した。本機によるイネ 科・マメ科牧草の適正播種量および安定した発芽・定着を得るための耕耘幅,耕深お よび砕土率などの諸条件を明らかにした。
北海道立根釧農業試験場 研究部 酪農施設科,作物科連絡先 01537-2-2004
部会名農業物理・草地専門機械対象牧草類分類指導

【 背景・ねらい 】
 草地更新が円滑に進まないため,草地は株化や裸地化,ルートマットの集積,雑草 の侵入などが進み,生産性は量的・質的に低下している。平坦地では安価な更新方法 として,作溝・部分耕と追播による簡易更新技術の研究が進められ,マメ科牧草の追 播技術は一部地域で使われている。部分耕による簡易更新は経費の節減のみならず, 傾斜草地では土壌侵食の軽減対策として注目されるが,適用できる実用機は開発され ていない。  そこで,傾斜地等も対象とした部分耕の耕耘幅,耕深,砕土方式,播種量などを検 討し,車輪トラクタで作業可能な簡易更新機に必要な諸条件を明らかにする。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 簡易更新では,プラウ耕による播種床並の出芽・定着数を確保するには,オ−チャ −ドグラス・メド−フェスクでは標準量の1.5〜2倍の播種量,ペレニアルライグラ スは標準量が必要である。
  2. 部分耕の耕耘幅・耕深は出芽・定着と密接な関係があり,耕耘幅は30cm程度,耕深 は12cmが好ましい。また,土性により異なるが,砕土率の確保には耕耘ピッチは1 〜2cm程度が良く,播種後鎮圧を十分行う。本研究で開発した部分耕試作2号機の もつ機能で十分な出芽・定着が可能であり,植生と生産性の改善に役立つ。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. 導入草種の混入率の増加はそれぞれの草種,品種はもとより対象草地の草種構成, 土壌の状態等によって異なる可能性がある。初期生育の遅いチモシ−の播種および 土壌構造の異なる洪積土,泥炭土への適応は未検討なため,火山性土に適用する。
  2. 傾斜地では等高線作業とし,混合機等を使用し,種子・肥料を均一に混和する。試 作機のため,実用水準の簡易更新機の耐久性が未検討である。

【 その他 】

研究課題名:ホイルトラクタによる傾斜草地の簡易更新に関する試験
予算区分 :道費
研究期間 :平成4年(平成2〜4年)
研究担当者:原 令幸,高橋 圭二,稲野 一郎,竹田 芳彦
発表論文等:なし

        「平成5年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.351