フリーストール牛舎構造と作業性
【 要約 】  新しく建設されたフリーストール牛舎の特徴は「切妻型」「L型配置」「カーテン 開閉式自然換気」である。ストールに敷料を投入するとストール利用率は3倍となっ た。サイド・バイ・サイドパーラーの搾乳能率は62(8D)〜96(12D)頭/時であった。
北海道立根釧農業試験場 酪農施設科、酪農第二科、管理科連絡先 01537-2-2004
部会名農業物理専門農業施設対象 家畜類分類指導

【 背景・ねらい 】
 本道では成牛飼養頭数50頭以上の農家が増加し、つなぎ式からフリーストールミル キングパーラ方式に移行する農家が急増するなど、飼養管理及び搾乳作業の省力化を 望む声が極めて高くなっている。  そこで、最近建設されたフリーストール牛舎の構造、管理作業、乳牛行動、搾乳作 業の実態と作業性について現地調査および解析を行い、フリーストール・ミルキング パーラ搾乳方式導入時の参考に供する。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 22戸の調査では、屋根形状は切妻型、環境調節方法は棟開放及びカーテン開閉式 の自然換気牛舎が多い。牛舎配置はL型が多く飼槽に対するストール配置は2ロー 、3ローともほぼ同数であった。パーラ形式はサイド・バイ・サイドが多く、飼槽はフラットが多い。
  2. 牛舎内の乳牛の動きは、濃厚飼料自動給餌器、飲水器などの付帯施設の場所によ って制限された。また、ストールにオガクズ、細断乾草の敷料を投入すると、スト ールの利用率はゴムマットのみの約3倍となった。
  3. 牛舎レイアウトがT型の場合には群分けが単純で、入れ換え作業も短時間で可能 であった。I型では3群に分けており、中央ゲートの開閉が多く、作業動線は複雑 であった。
  4. 1時間あたりの搾乳能率は、サイド・バイ・サイドの 8Dで62頭、10Dで89頭、12Dで97頭、15Sで44頭であった。3Dタンデム(自動開閉装置付き)では37頭であった。
  5. どのような敷料資材でも利用開始とともに細菌に汚染された。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. フリーストールを計画する際に必要となる乳牛の行動、管理作業、搾乳能率、敷 料資材などの参考資料として活用できる。
  2. 地域の実態に応じた経済的な検討が必要である。

【 その他 】

研究課題名:寒地型フリーストール牛舎施設の合理的構造・配置に関する試験
予算区分 :道費
研究期間 :平成4年(平成2〜4年)
研究担当者:高橋圭二、原 令幸、稲野一郎、高橋雅信、田中正俊
発表論文 :なし

        「平成5年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.353