系統交雑豚に対する性別・季節別飼料給与方式
【 要約 】 系統交雑肉豚の標準的な発育モデルを示し、これを基に性別・季節別の適正飼料成 分値を設定した。これにより、年間を通じ、従来の生産に比べて高い枝肉の上物格付 け率と、出荷日齢の大幅な短縮が期待できる。
道立滝川畜産試験場 研究部 養豚科連絡先 0125-28-2211
部会名畜産専門飼育管理対象家畜類分類指導

【 背景・ねらい 】
 肉豚生産における目的は、質の良い肉を低コストに通年安定生産することにあり、 このためには、能力の高い豚を用いて、季節や性による生産性のバラツキを極力抑え るための飼養管理技術が必要となる。  そこで、遺伝的に優れた資質を有する系統豚を用いて、その優れた能力を年間を通 じて十分に発揮させうる飼料給与方式を、系統間交雑豚のエネルギー要求量と蛋白質 要求量の解明、およびそれに基づいて不断給餌を前提とした性別・季節別の飼養試験 により明らかにする。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 系統交雑豚の不断給与条件下での飼料摂取量を性別に明らかにし、また摂取量の環 境温度、飼料エネルギー含量による変動を推定した。
  2. エネルギーおよび蛋白質摂取量と発育および枝肉中筋肉割合の関係を検討し、目標 とする一日平均増体重をおよび筋肉割合を得るための栄養給与量を表すモデルを作 成した。
  3. 飼料摂取量、発育等のモデルから、系統交雑豚の不断給与を前提とした性別および 季節別の適正飼料成分値を求めた。
  4. 滝川系交雑種を用いた試験の中で、適正飼料成分値と最も近い飼料成分条件で得ら れた肥育成績において、発育については従来の豚に比べきわめて早く、また枝肉形 質も良好であった。

【 成果の活用面・留意点 】
 ハマナスW1を基礎とした交雑種等の、発育および産肉能力の高い系統交雑肉豚の 生産に活用できる。
 雌雄別飼いによる飼養管理が前提となるため、計画的な豚の生産により、豚群の編 成を効率的に行なう必要がある。また、本道の冬期の寒冷条件のもとでは、飼料成分 の調整のみによる発育や枝肉形質のコントロールは困難であると考えられるため、冬 期の適切な暖房対策が必要である。

【 その他 】

研究課題名:寒地・寒冷地における系統交雑豚の季節対応型飼料給与方式の確立
予算区分 :地域重要新技術開発促進事業
研究期間 :平成4年度(元年〜3年)
研究担当者:秦 寛、小泉 徹、岡本全弘、山崎 昶、梶野 清二
発表論文等:

        「平成5年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.340