チモシー・アカクローバ混播草地の播種粒数と初年目の牧草個体数の推移
【 要約 】 チモシー・アカクローバ混播草地を造成する場合の播種量はアカクローバは 0.4kg /10a以上は不適当、チモシーは1.2kg/10a まで減少可能であり、播種量設計は播種 量の総量で決めるものでなく両草種それぞれ別々に設定すべきである。
北海道立新得畜産試験場 研究部 草地科連絡先 01566-4-5321
部会名草地専門栽培対象牧草類分類指導

【 背景・ねらい 】
 北海道における牧草の播種量は現在30〜25kg/haが標準とされている。しかし、チ モシーの種子は1kg当たり250万粒と小さく、密播に伴う種内競合が初期生育の競合力 を低下させているとみられる。また、マメ科草と混播した場合、チモシーは初期生育 が緩慢なため、播種後の草種構成が相手マメ科草にかたよる例がしばしばみられる。  そこで、良好なチモシー・アカクローバ混播草地を確立するための播種量設計の参 考に供するためチモシー播種量の下限量およびアカクローバ播種量の上限量を明らか にした。

【 成果の内容・特徴 】

  1. チモシーの個体数は生育が進むにしたがって著しく減少した。初年目秋のチモシー 個体数はチモシー播種量によっては異ならず、アカクローバ播種量の多寡によって のみ決定された。
  2. 秋のチモシー個体数はクンプウ、ノサップの試験ではチモシー播種量4000〜2000粒 /㎡、キリタップの試験では12000〜3000粒/㎡間の差は小さかった。
  3. 秋のチモシー個体数はアカクローバ播種量が少ないほど多く、その差は50粒/㎡と 100粒/㎡の間は有意でなかったが、50粒/㎡と200粒/㎡の間は有意であった。
  4. アカクローバ個体数は相手チモシーの播種量とは無関係に推移し、アカクローバは 播種量の差異をそのまま秋まで維持した。
  5. 以上から、
    1. アカクローバはチモシーに対する影響が大きく、かつ、初年目に枯死する個体は 少ないので播種量は少なくすべきで、200粒/㎡(約0.4kg/10a )以上は不適当
    2. チモシーは実際の播種では播種量にいくらかの余裕を見込んでもクンプウ、ノサ ップは3000粒/㎡、キリタップは4000粒/㎡(いずれも約1.2kg/10a)程度まで 減少可能。
    3. チモシーとアカクローバの播種量は別々に考えるべき、との結論を得た。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. 当面、道東地域の春播種の極早生、早生のチモシー品種とアカクローバとの混播草 地に適用する。火山灰土壌の草地更新時に適用する。
  2. 覆土、鎮圧を確実に行うこと。

【 その他 】

研究課題名:道東地域におけるチモシー品種とマメ科草品種の採草型組合せに関する試験
予算区分 :道単
研究期間 :平成4年度(平成2〜6年)
研究担当者:佐竹芳世、澤田嘉昭

        「平成5年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.317