オーチャードグラス導入品種｢WWH-94｣(グローラス)
【 要約 】 オーチャードグラス「ＷＷＨ−９４」は晩生品種に属し、越冬性が優れており北海 道全域に適応する。すじ葉枯病には「オカミドリ」より強い。収量性は、とくに道東 地域において冬枯れの発生が大きな年に「オカミドリ」より優れる。
北海道農業試験場・イネ牧研　　根釧農業試験場・作物科
中央農業試験場・畜産科　　　　天北農業試験場・牧草科
北見農業試験場・牧草科　　　　新得畜産試験場・草地科		 連絡先011-857-9273
部会名草地専門育種対象牧草類分類普及

【 背景・ねらい 】
　北海道において、オーチャードグラスの栽培がとくに道東地域において減少を続 けてきた。その大きな理由の一つとして、越冬性の問題がある。現在、道内で流通 している品種の中では「ケイ」が最も越冬性が優れているが、さらに越冬性の優れ る品種の要望が強い。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 出穂始は中生品種オカミドリより３〜５日遅く、極晩生品種ヘイキングIIより ５〜７日早く、晩生品種に属する。
  2. 越冬性は、ＷＷＨ−94＞ケイ＞ヘイキングII＞ホクト＞オカミドリの順である
  3. 耐病性については、すじ葉枯病にはオカミドリより強く、ヘイキングII並みで ある。黒さび病に対してはオカミドリ並みで、ヘイキングIIより弱い。
  4. 収量性は、道東地域において冬枯れの発生が大きな年にはオカミドリ、ヘイキ ングIIに比べて優れ、冬枯れの発生が軽微な年にはオカミドリ、ヘイキングII より劣る。道央・道北地域ではオカミドリ並みかやや劣り、ヘイキングII並み である。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. 普及対象地域は北海道全域。とくに道東の土壌凍結地帯での栽培が期待される 。普及見込み面積は10,000haである。
  2. 採草および放牧に利用できる。
  3. 越冬性は極めて優れているが、道東の冬枯れの著しい所では晩夏の追肥によっ て、越冬性を向上させることが望ましい。秋の生長は劣るので、放牧利用では 秋季の放牧強度に注意を要する。

【 その他 】

研究課題名：牧草導入品種の適応性検定試験
予算区分　：受託
研究期間　：平成４年度（平成２年〜４年）
研究担当者：中山貞夫、大同久明（北農試）、上出　純（中央農試）、佐藤公一、
　　　　　　　　蒔田秀夫（天北農試）、出口健三郎（新得畜試）、古谷政道、藤井弘毅
　　　　　　　　（北見農試）、中島和彦（根釧農試）
発表論文等：なし

　　　　　　　 「平成5年度普及奨励ならびに指導参考事項」　P.38