とうもろこし輸入品種(サイレージ用)「XCPD76」(セリア)
【 要約 】 サイレージ用とうもろこし「XCPD76」(「セリア」)は早生の晩に属し、北 海道の十勝中部、道央北部及び網走内陸の気象条件の良好な地帯に適応する。ヘイゲ ンミノリ」に比べてべて多収、耐倒伏性強で、すす紋病抵抗性は同等である。
北海道立十勝農業試験場   とうもろこし科
北海道立北見農業試験場       牧草科
北海道立上川農業試験場       畑作科
農水省北海道農業試験場 飼料作物育種研究室 連絡先
0155-62-2431
部会名草地専門育種対象雑穀類分類普及

【 背景・ねらい 】
 とうもろこしサイレージの良質原料の確保のためには、各栽培地帯において安定し て黄熟期に達する品種の選定が重要である。北海道東部地域では気象条件が厳しいこ とから、早生品種の占める割合が高いが、その中でも気象条件の良好な地帯では、生 産コスト低減のために既存品種より多収で耐倒伏性にすぐれる品種への要望が強い。

【 成果の内容・特徴 】
 北海道の優良品種との比較で特性を述べる。比較に用いた「ヘイゲンミノリ」は奨 励品種で、早生の晩に属し、耐倒伏性に優れる。「ディア」は耐倒伏性が強く、多収 で、作付の最も多い品種である。

  1. 熟期
     絹糸抽出期は「ヘイゲンミノリ」並で、「ディア」に比べ1日程度遅い。収穫時 熟度および総体の乾物率は「ヘイゲンミノリ」、「ディア」と同程度である。早生 の晩に属する(北海道相対熟度(HRM):=136)。
  2. 耐倒伏性
     「ヘイゲンミノリ」、「ディア」並である。
  3. 発芽および初期生育
     発芽は「ヘイゲンミノリ」よりやや遅い。初期生育は「ヘイゲンミノリ」に比べ やや劣り、「ディア」並である。
  4. 収量性および乾物特性
     TDN収量は「ヘンゲンミノリ」より多く、「ディア」に比べ同程度かやや多い 。乾物中TDNは「ヘイゲンミノリ」、「ディア」並である。
  5. 形態特性
     稈長、着雌穂高とも「ヘイゲンミノリ」、「ディア」より高い。
  6. 耐病性
     すす紋病抵抗性は「ダイヘイゲン」よりやや強く、「ヘイゲンミノリ」並である 。ごま葉枯病抵抗性は「ダイヘイゲン」、「ヘイゲンミノリ」より強い。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. 普及対象地域は北海道の十勝中部、道央北部および網走内陸の気象条件の良好な 地帯であり、普及見込面積は2000ha。
  2. 一般栽培基準に準ずる。

【 その他 】

研究課題名:サイレージ用とうもろこし外国導入品種選定試験
予算区分 :受託
研究期間 :平成4年(平成元年〜平成4年)
研究担当者:千藤 茂行、高宮 泰宏*、三好 智明、門馬 栄秀**(以上十勝農試)
        土屋 俊雄(上川農試)、三浦 康男、佐藤  尚、重盛 勲北海道         農試)
        *:現 中央農試 ,**:現 草地試
発表論文等:なし

        「平成5年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.40