とうもろこし輸入品種(サイレージ用)「コラリス」
【 要約 】 サイレージ用とうもろこし「コラリス」は早生の中に属し、北海道の十勝中部、網 走内陸及び根釧の気象条件の良好な地帯に適応する。「ダイヘイゲン」に比べて収穫 時熟度が進み、多収である。耐倒伏性は「ダイヘイゲン」並である。
北海道立十勝農業試験場・とうもろこし科
北海道立北見農業試験場・牧草科
北海道立根釧農業試験場・作物科
農水省北海道農業試験場・飼料作物育種研究室
連絡先0155-62-2431
部会名草地専門育種対象雑穀類分類普及

【 背景・ねらい 】
 とうもろこしサイレージの良質原料の確保のためには、各栽培地帯において安定し て黄熟期に達する品種の選定が重要である。道東地域では気象条件が厳しいことから 早生品種の占める割合が高いが、その中でも気象条件の良好な地帯では、生産コスト 低減のために既存品種より多収で耐倒伏性にすぐれる品種の要望が強い。

【 成果の内容・特徴 】
 北海道の優良品種との比較で特性を述べる。比較に用いた「ダイヘイゲン」は奨励 品種で、早生の中に属し、登熟性と初期生育に優れる。「ディア」は耐倒伏性が強く 、多収で、作付が最も多い品種である。

  1. 熟期
     絹糸抽出期は「ダイヘイゲン」並で、「ディア」に比べ3日程度早い。収穫時熟 度は「ダイヘイゲン」に比べやや進む。総体の乾物率は「ダイヘイゲン」並〜やや 低く、「ディア」と同程度である。早生の中に属する。
  2. 耐倒伏性
     「ダイヘイゲン」並で、「ディア」よりやや弱い。
  3. 発芽および初期生育
     発芽は「ダイヘイゲン」よりやや遅く、「ディア」並である。初期生育は「ダイ ヘイゲン」に比べ劣り、「ディア」並である。
  4. 収量性および乾物特性
     TDN収量は「ダイヘイゲン」より多く、ほぼ「ディア」並である。乾物中TD Nは「ダイヘイゲン」に比べ低く、「ディア」並である。
  5. 形態特性
     稈長、着雌穂高は「ダイヘイゲン」より高く、「ディア」並である。
  6. 耐病性
     すす紋病抵抗性は「ダイヘイゲン」よりやや強い。ごま葉枯病抵抗性は「ダイヘ イゲン」より強い。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. 普及対象地域は北海道の十勝中部、網走内陸及び根釧の気象条件の良好な地帯で 、普及見込面積は400haである。
  2. 一般栽培基準に準ずる。

【 その他 】

研究課題名:サイレージ用とうもろこし外国導入品種選定試験
予算区分 :受託
研究期間 :平成4年(平成元〜平成4年)
研究担当者:千藤 茂行、高宮 泰宏*、三好 智明、門馬 栄秀**(以上十勝農試)
        古谷 政道***、吉沢 晃(以上北見農試)、堤 光昭(根釧農試)
        三浦 康男、佐藤 尚、重盛 勲(以上北海道農試)
        *:現 中央農試,**:現 草地試,***:現 生資研
発表論文等:なし

        「平成5年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.40