農業経営情報を活用した酪農経営指導支援システム
【 要約 】 酪農経営者の経営管理能力の向上及び地域関係機関の指導効果・効率の向上を図る ため、農業経営情報の一連の処理をパソコンで行うシステムを開発した。開発した主 なソフトは、農業簿記、酪農経営長期営農計画作成、借入金管理等である。
北海道立根釧農業試験場・研究部・経営科 連絡先 01537-2-2004
部会名農業経営専門経営対象乳用牛分類指導

【 背景・ねらい 】
 現状の営農指導は、農業経営情報が別々の機関に収集されているため効率的な活用 が難しく、かつ、農業経営情報の収集・加工に時間がかかるため農家と接触する機会 が少ない、また、指導機関ごとの連携が弱いため指導内容が技術面や経済面に偏って しまうなど、多くの問題を抱えている。研究では、営農指導の効率化と内容の充実を 図るために、農業経営情報の収集・整理・加工・利用という一連の処理をパソコンで 行うシステムの開発、現地実用化試験を行った。

【 成果の内容・特徴 】 ・・・・酪農経営指導支援システムの全体構成を図に示した。

  1. 経営計画システム(利用主体:指導機関、農家)
     農協営農指導業務のうち、業務量が多く時間のかかる個別経営の計画策定、借入 金管理等を迅速に行うために、現地実用化試験(釧路,根室管内)を通じて酪農 経営長期営農計画作成システム,借入金管理システムを開発した。その結果、農 協等では、従来1経営につき2〜3日要していた酪農経営長期営農計画策定を数 時間で行うことが可能となった。また、このシステムの利用により、つくり出さ れた時間を農家との対話に活用することができ、より充実した計画作成、事後指 導強化が図られるようになった。
  2. 農業簿記システム(利用主体:農家)
     昭和62年に開発した簿記システム(平成4年8月末利用者数382戸)の機能強化を図 った。
  3. 経営診断システム(利用主体:指導機関)
     現段階での農業経営情報を利用した経営診断,経営計画上の問題点を明らかにし た経営診断システム(一部現地実用化試験済み)はモデル開発中である。
  4. 乳牛飼養管理システム(利用主体:農家)  パソコン通信を利用した乳牛飼養管理システムを検討中である。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. 利用に当たっては、農業経営情報の管理と農家のプライバシー保護を十分検討する

【 その他 】

研究課題名:農業情報を活用した酪農経営指導支援システムの開発
予算区分 :道費
研究期間 :平成4年度(平成2〜4年)
研究担当者:北海道立根釧農業試験場・研究部・経営科 原 仁
発表論文等:なし

        「平成5年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.419