北海道米の加工適性評価(もち米、酒造用かけ米)
【 要約 】 もち米の加工適性は硬化性で評価され、北海道もち米は硬化性が低い。そこで品種の選抜検定法として、レオメーター、RVAによるピーク温度の測定およびオートアナライザーを使った少量・迅速定量法を開発した。また、酒造用かけ米に求められる適性はカリウム、蛋白含量およびPB-Ⅱ比率が低く、千粒重が大きいことであることを示した。北海道米の評価を行ったところ、東北産酒造品種と同等の酒造適性があると判断された。
北海道立中央農業試験場 農産化学部 穀物利用科 連絡先01238-9-2001
部会名生産環境専門食品品質対象稲類分類研究

【 背景・ねらい 】
 気象条件の厳しい北海道において、将来にわたり稲作を安定的に持続させるためには 北海道米の用途をより広く捉え、積極的に拡大してゆくことが必要である。そのために は、まず各用途別分野で求められる良質性を解明し、それに関連する成分とその構造を 明らかにする必要がある。そのため、加工原料用のもち米について加工適性上の問題点 を摘出するとともに、もち生地の品質および品種育成材料の選抜のための少量迅速検定 法を開発する。また、酒造用かけ米に求められる品質特性を明らかにし、北海道米の酒 造適性を評価する。

【 成果の内容・特徴 】
もち米の加工適性評価法の開発

  1. 北海道もち米の加工適性上の最大の問題点はもち生地の硬化性が低いことであり 、これは澱粉のアミロペクチン末端鎖長の違いによると推察される(表1)。
  2. 硬化性測定のためにレオメーターを用いた方法を開発し、これを初期世代の育成 材料に応用するために、RVAによるピーク温度から推定する方法を開発した(図1)。
酒造原料米適性要因解析と北海道米の評価
  1. かけ米適性に関わる要因を解析したところ、千粒重が大きく、カリウム、蛋白含量が低い米がかけ米として優れていると考えられる(表2)。
  2. 北海道米は府県産品種と比較して千粒重がやや小さく、蛋白含量がやや高く変動が大きいことが問題であるが、PB-Ⅱ比率およびカリウム含量が低い点が優れている(表3)。
  3. 北海道米で作った清酒は、成分的に府県産と大きな違いはない。官能試験では辛口、濃厚できれいという特徴が認められ東北産酒造品種を上回る評価であった。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. 加工適性の高いもち米品種の選抜検定法として活用できる。
  2. 酒造用品種を開発する際の育種方向および栽培法の改善方向を示す試験データとなる。

【 その他 】

研究課題名:優良米の総合開発(高度利用米品種の開発と用途別特性の究明)
予算区分:道費
研究期間:平成5年度(昭和62〜平成5年)
研究担当者:柳原哲司

        「平成6年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.324