道央多雪地帯における秋播小麦の播種量・窒素施用法改善による高品質安定生産
【 要約 】 適期播種における秋播小麦の播種量は標準(340粒/m2)の0.75倍程度で同等の収量を確保できる。起生期以降の窒素施用法は、起生期3(「ホロシリコムギ」)〜6(「チホクコムギ」)+止葉期〜出穂期3kg/10a窒素施用が多収・倒伏軽減・たん白向上の面で有利である。
北海道立中央農業試験場・畑作部・畑作第二科
北海道立上川農業試験場・研究部・畑作科
連絡先01238−9−2001
0166−85−2200
部会名会物・生産環境専門栽培対象麦類分類指導

【 背景・ねらい 】
 北海道の畑作農業で、最も機械化・省力化の進んでいる秋播小麦は、畑輪作構築上特に要な作物として位置付けられている。秋播小麦の一層の品質向上と安定生産を図るため、道央多雪地帯における秋播小麦の播種量および窒素施用法を検討した。適期播種における播種量減および後期窒素追肥により越冬性向上、倒伏軽減、たん白向上、多収を図った。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 適期播種における播種量を標準播種量(340粒/m2)より少なくすることにより、越冬性向上、秋期のうどんこ病軽減(チホクコムギ)、倒伏の軽減(ホロシリコムギ)、有効茎歩合の向上等がみられ、播種量を標準の0.75倍程度まで少なくしても標準量播種とほぼ同等の子実収量を確保した。(表1)
  2. 基肥窒素を従来通り(4kg/10a程度)とした場合の起生期以降の窒素施用法は、耐倒伏性に優る「チホクコムギ」では起生期6kg/10a窒素施用で穂数を確保し、出穂期〜止葉期3kg/10a窒素施用で一穂粒数および千粒重を確保する施用法が主に収量性の面で、一方耐倒伏性の劣る「ホロシリコムギ」では起生期3kg/10a、止葉期〜出穂期3kg/10a窒素施用が主に倒伏軽減の面で、それぞれ有利であった。また、止葉期から出穂期の窒素施用は千粒重および・重を高め、また原粒粗たん白含量が増加してめん用の適正粗たん 白含量に近づいた。(表2)
  3. 播種量と窒素施用法とを組み合わせた試験では、0.75倍量播種区は標準量播種区とほぼ同様の傾向を示した。(表3)

【 成果の活用面・留意点 】

  1. 砕土、整地を良くし、播種精度を高め、圃場での出芽率向上を図る。
  2. 止葉期から出穂期の窒素施用では、成熟期が1〜2日遅れる場合がある。
  3. その他は多雪地帯における「コムギ」栽培上の注意事項に準ずる。

        「平成6年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.85