北海道における豆類地帯別栽培指針
【 要約 】 道内気象庁地域気象観測所162箇所の過去10年寒の気象デ−タおよび道内各地域の農業改良普及所のアンケ−ト調査に基いて、大豆、小豆及び菜豆(高級菜豆を除く)について、主として気象要因から地帯区分を設定し、各地帯別に適品種、栽培上の注意、目標収量等を示した。
道立中央農試 畑作部畑作第一科、十勝農試豆類第一、豆類第二科
中央、十勝、上川、北見専門技術員室、道農政部改良課、畑園課
連絡先 01237-2-4220
部会名作物専門栽培対象豆類分類指導

【 背景・ねらい 】
 道産豆類は、実需者から品質に対して高い評価を受けるているが、その作柄は気象条件によって大きく影響され、価格と供給の安定が強く求められている。このため、豆類の栽培条件から北海道の各地の気象特性を明らかにして、それぞれの地帯に適した品種を示し、栽培技術の高水準化を図ることで、本道豆作の安定生産に寄与するため、本指針を作成した。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 活用したデータ
    1. 気象
       道立中央農試のHARISで保存されている全道162箇所の地域気象観測所(アメダス:日本気象協会提供)の1983〜1992年の10カ年の観測値から豆類の生育及び収穫に関連する気象要素を集計し、メッシュ気候図を作成した。
    2. アンケート調査
       全道60の農業改良普及所に依頼し、気象(晩霜・初霜の最早・最晩)、栽培{播種期(始、期、終)開花(始、期)、収穫(始、期、終)}について、5ha以上栽培している市町村を対象に調査した。
    3. 収量
       農林水産省北海道統計情報事務所の、昭和58年から平成4年までの10カ年のデ−タを活用して、回帰分析を行い、市町村別の平均値、標準偏差、変異係数(安定度)、相関係数、回帰係数等を求めた。これらの結果から、市町村の地帯区分を行うとともに、市町村別に目標収量(平成10年度)を設定した。
  2. 地帯区分の設定
     大豆、小豆、菜豆別に、気象条件やアンケート、これまでの収量実績から、大豆は6区分、小豆は4区分、菜豆は2区分に地帯区分を行った。

    1. 大豆
       大豆は、多数の品種があり、道内各地で栽培可能であるが、気温との反応性が高いことから、おおむね積算気温によって地帯区分を設定した。また、開花期前後の低温による障害、登熟期の霜害、コンバイン収穫期の降水確率等を考慮し、適品種を選定した。
    2. 小豆
       小豆は生育期間の気象条件、特に平均気温との反応が高く、また、降霜に弱いため、栽培はその2要因によって制限される。一方、全道的な気温変動はオホ−ツク海高気圧の影響を受けやすい道東と、その影響が比較的少ない道央以南とに分けられる。以上の要因により地帯区分を設定した。
    3. 菜豆
       菜豆は生育期間が短く、畑作地帯ではどこでも栽培可能であるが、地帯により低温年には霜害を被り、また、成熟期前後の降雨により著しく品質を劣化させる。気温の比較的高い地帯では小粒化が問題となるこれらの要因を考慮して道東(十勝、網走)と道央(上川、空知、石狩、胆振、留萌)の地帯区分を設定した。

1.本指針は北海道に作付されている豆類(大豆、小豆、菜豆)に適応する。

【 その他 】

研究課題名:豆類地帯別栽培指針
予算区分 :道 単
研究期間 :平成4〜5年
研究担当者:土屋武彦、関口 明、村田吉平、松川勲、千葉一美、服部 洋、
      佐藤 英夫、佐藤 允信、佐藤 久泰、志賀弘行、高宮泰宏、
      三浦豊雄、品田裕二、島田尚典、藤田正平、佐藤 仁、天野義克、
      岡崎 淳、山木貞一、鈴木和織
発表論文等:

        「平成6年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.93