ばれいしょの極早期培土効果
【 要約 】  ばれいしょの極早期栽培において、培土適期間が植付期から萌芽期まで約1カ月と広 がり、晩霜被害が軽減される。極早期培土における収量・品質は着蕾期培土と同等かそ れ以上であった。
北海道立十勝農業試験場・研究部・作物科連絡先 0155-62-2431
部会名作物専門栽培対象いも類分類指導

【 背景・ねらい 】
 ばれいしょは浴光催芽種いもの早期植付によって早熟し、完熟塊茎が増収する。これ により道内産ばれいしょ端境期の需要に答えるための早期収穫が期待できる。しかし植 付時期は晩霜対策が未解決なため制約を受けていた。
 大規模栽培における低コストな晩霜対策を開発し、早期栽培を推進する。

【 成果の内容・特徴 】
 極早期栽培において

  1. 極早期培土(植付期、萌芽期)においては、培土後萌芽期(以下単に萌芽期)を5 および8日遅らせることができるので、この間の霜害は回避できる(表1)。また萌 芽後、霜害があった場合でも極早期培土では被害が軽減できる(図1)。
  2. 萌芽後の生育は旺盛で、開花始期で生育量は同等となり、地上部最大期の生育量も 劣らない(表1)。
  3. 早掘りおよび枯凋後の規格内収量は同等〜やや多収である(表1)。
  4. 黒あざ病による欠株の増加はなかった(表1)。また生育初期が低温となった年に おいても極早期培土の収量が劣る心配はない(図2)。
  5. 極早期培土では萌芽までの日数が長く、また培土後のばれいしょによる地表被覆ま での期間が長いことから雑草対策が問題となるが、ばれいしょ萌芽前または萌芽直前 の土壌処理剤または雑草土壌処理兼用剤の使用によって十分な除草効果があった(表 省略)。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. 本技術を適用すれば晩霜被害をおそれずに早期栽培ができる。
  2. 大規模栽培に適応し、コスト増を伴わない。
  3. 種いも消毒、浴光催芽を確実に行う。
  4. 本試験は乾性火山性土での結果である。

【 その他 】

研究課題名:ばれいしょ需要拡大のための加工適性向上と高度利用開発
予算区分 :補助(特定農産物)
研究期間 :平成5年(平成元年〜5年)
研究担当者:伊藤武、江部成彦
発表論文等:極早期培土によるばれいしょの晩霜対策、日本育種・作物学会北海道談
      話会会報、34、1993。

        「平成6年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.88