タマネギ移植苗の保存管理法
【 要約 】タマネギテープ式移植機の前作業を効率良く進めるために、苗の保存管理法 について検討し、保存の温度は2〜5゚C、保存日数は5日以内が望ましいと判断した。ポリエチレンフィルムで包装することで保存状態はより安定した。
北海道立中央農業試験場 園芸部 野菜花き第一科
            農産化学部 流通貯蔵科
連絡先01237-2-4220
部会名作物部会、生産環境部会専門栽培対象 根菜類分類指導

【 背景・ねらい 】
 タマネギの移植作業は一般に移植機を使用している。その中でもテープ式移植機は作業速度が速いことから広く普及している。しかしながら、このテープ式移植機による移植作業を能率良く進めるためには、苗取り、選別、テープへの巻き取りなどの前作業を滞りなく先行する必要がある。前作業終了後の雨天などによる移植の遅れにホ応するなど、前作業を計画的に先行して進めることができるように、苗の保存管理法を開発する。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 苗中の主要な糖は、果糖、ブドウ糖とショ糖であった。苗の生育に伴い、苗重量当たり果糖とブドウ糖含量は増加傾向を示したが、ショ糖については明らかではなかった(図1)。
  2. 苗の保存は、所定の温度に設定した保冷庫及び倉庫(冷暗所)において実施した。
  3. 苗の保存温度は2〜5゚Cが適当であった。それ以上の高い温度では苗中の糖含量の減少が大きく、葉先の萎れや根の褐変など苗の保存状態も劣り、定植後の活着、生育及び収量が劣った(図2、表1、表2、表3)。
  4. 保存日数は、5日間以内が望ましい。低温で保存しても、保存日数が長くなるにつれて、欠株や規格外球の発生が増加し、低収傾向となった(表3)。
  5. 現地における実証試験においても、5゚C、5〜6日間の保存で問題はなかった。
  6. 保存方法として、ポリエチレンフィルム(厚さ0.03㎜)による包装が、無包装より苗からの蒸散が抑制されることにより保存状態が良く、定植後の生育及び収量も安定した。また包装保存は、保存中の苗への水分補給管理を省くことができた(表1、表2、表3)。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. 苗は、テープに巻き取り立てて置き、光に当てずに保存する。
  2. 無包装の場合は、給水したむしろ等の上に置き、遮光と蒸散抑制のためにシートで覆う。
  3. 天候等の理由により定植作業ができない等やむを得ない場合の保存技術として適用する。

【 その他 】

研究課題名:タマネギ移植苗の保存管理法に関する試験
予算区分 :共同−民間
研究期間 :平成5年度(平成3〜5年)
研究担当者:長尾明宣、宮浦邦晃、志賀義彦、印東照彦、土肥 紘
発表論文等:タマネギの苗保存に関する研究、北海道園芸研究談話会報、第26号、1993

        「平成6年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.97