アルストロメリアの地温抑制および摘蕾による夏秋期生産技術

【 背景・ねらい 】
 アルストロメリアは、近年急速に生産が増加し、ポピュラーな切花品目として定着し てきた。しかし出荷量の季節変動が大きく、価格も季節によって大きく異なっている。 本道は、府県に比べて気候が冷涼であることから、夏秋期の生産には非常に有利であ る。
 本試験では夏秋期に高品質生産するために、3タイプの主要品種を用いて地温抑制法 と摘蕾時期について検討した。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 地温抑制効果の認められた処理は地中通水および白黒ダブルマルチで、地中通水によって夏期も地温を15゚C以下に保つことができた。なお地中通水は、内径40mmの塩ビ管を地下約7cmに埋設し、バルククーラーで3゚Cに冷却した水を循環させる方法によった。
  2. 地温を抑制することにより、夏秋期の良花本数・切花品質が向上した。
  3. 摘蕾を行なうことにより、採花のピークを調節することができ、ピーク時に高品質の切花を生産することができた。
  4. 秋以降の需要期に高品質生産するには7〜8月に摘蕾すると効果的だった。
  5. いずれの処理も「パロマ」にもっとも大きな効果が現れ、「レッドバリー」、「セレナ」は比較的小さかった。

【 成果の活用面・留意点 】
  品種特性を把握したうえで、出荷目標時期にあわせた処理法、時期を決定する。

【具体的データ】

 表1.地温抑制が時期別良花本数(本/株)に及ぼす影響
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 品種  処理区     4〜6月 7〜9月 10〜12月 1〜3月  合計
 パロマ 無マルチ区    65.9   62.0   33.7   22.7   184.4
     白黒マルチ区   132.9   87.8   52.0   25.7   292.4
     もみがら区    85.5   61.8   38.0   36.7   222.0
     地中通水区    91.2   112.6   44.2   21.9   269.9
 レッド 無マルチ区    81.1   80.5   27.3   11.2   200.1
 バリー 白黒マルチ区   97.8   81.2   22.3   12.6   213.9
     もみがら区    91.1   78.9   22.0   13.5   205.5
     地中通水区    79.7   94.9   35.4   17.2   227.2
 セレナ 無マルチ区    49.5   47.5   16.4   15.7   129.1
     白黒マルチ区   47.5   50.4   23.3   17.5   138.7
     もみがら区    50.8   52.5   23.1   15.7   142.1
     地中通水区    52.9   62.4   24.0   14.6   153.9

 表2.摘蕾が時期別良花本数(本/株)に及ぼす影響(1992年度)
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 品種  処理区     4〜6月 7〜9月 10〜12月 1〜3月  合計
 パロマ 慣行区      43.7    9.9   19.6   17.8    91.0
     春摘蕾区      0.5   21.3    1.5   14.7    38.0
     夏摘蕾区     39.4    0.3   13.5   29.8    83.0
 レッド 慣行区      47.0   24.4   17.1   13.5   102.0
 バリー 春摘蕾区      5.1   36.2   19.7   23.4    84.4
     夏摘蕾区     52.2    0.7   24.1   16.9    93.9
 セレナ 慣行区      19.9   18.7   12.1   14.4    65.1
     春摘蕾区      1.3   15.9   10.0   17.2    44.4
     夏摘蕾区     17.6    0.8   16.8   18.0    53.2

【 その他 】

研究課題名:アルストロメリアの生産安定技術確立試験
予算区分 :道費
研究期間 :平成5年度(平成3〜5年)
研究担当者:鈴木亮子
発表論文等:アルストロメリアの夏秋期生産に関する試験(第1報)摘蕾による
      品質向上、北海道園芸研究談話会報、第26号、1993。

        「平成6年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.109