カット・ピール向けばれいしょの加工適性の品種間差
【 要約 】 カット・ピール向けばれいしょ適性として、剥皮歩留りおよび酵素褐変の品種間差および要因を明らかにした。
北海道立中央農業試験場・農産化学部・流通貯蔵科連絡先 01238-9-2001
部会名流通利用
生産環境
専門加工利用 対象いも類分類指導

【 背景・ねらい 】
 カット・ピールばれいしょは一次加工農産物の一種であり、新しいばれいしょの用途として注目されており、需要も伸びている。
 一方、現在原料として使用されている品種「男爵薯」は、芽が深いため加工歩留りが低い、あるいは加工中に褐変しやすいなどの問題点を抱えており、加工実需者からはそれらの問題点の少ないばれいしょの供給が望まれている。
 本試験では、カット・ピール向けばれいしょ適性の加工歩留りと酵素褐変について、要因と品種間差を明らかにする。

【 成果の内容・特徴 】
 生食用あるいは加工用のばれいしょ(「男爵薯」、「とうや」、「キタアカリ」、「メークイン」、「ムサマル」、「ホッカイコガネ」、「マチルダ」)について検討し以下の結果を得た。

  1. 剥皮歩留りの高い品種は「メークイン」および「マチルダ」であり、剥皮後の頂芽の部分のトリミング数の少ない品種は「とうや」、「メークイン」および「マチルダ」である。
  2. ばれいしょの長さが長いものほど、また、幅および厚さが薄いものほど剥皮歩留りが高い傾向を示す。また、剥皮前後の長さの差および厚さの差が小さいものほど剥皮歩留りが高い(表1)。
  3. 頂芽の深さが浅いものは剥皮後の頂芽におけるトリミング数が少ない。
  4. 酵素褐変に影響を与える主要因はポリフェノールオキシダーゼ(PPO)活性である(図1)。
  5. 収穫期が枯凋期に近くなるにつれて褐変程度は小さくなる(図2)。
  6. 褐変程度は「男爵薯」および「マチルダ」で大きく、ついで、「とうや」、「キタアカリ」および「メークイン」であり、「ムサマル」および「ホッカイコガネ」は小さい(図3)。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. カット・ピール向けばれいしょの品種選定に利用できる。
  2. 切断後褐変の点からカット・ピール向けばれいしょの収穫は自然枯凋後が望ましい。

【 その他 】

研究課題名:業務用バレイショ(カット・ピール)の加工流通技術の開発
予算区分 :高収益畑輪作
研究期間 :平成6年度(平成4〜6年)
研究担当者:藤倉潤治・土岐和夫
発表論文等:藤倉潤治・土岐和夫、バレイショの切断後褐変とポリフェノールオキシダーゼ活性
      日本食品工業学会第41回大会講演集、p115(1994)

        「平成7年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.286