北海道産菜豆類の品質の現況と製あん特性に関わる指標品質
【 要約 】 手亡類、大福類、金時類の道産菜豆(インゲン豆)類の子実品質の現況を明らかにした。製あん特性については、それぞれの種類の中で、百粒重があん粒子の大きさを、一定時間における煮熟増加比が煮えやすさを表す指標品質となる。種皮色は生あん色の指標品質とはならない。
北海道立中央農業試験場 農産化学部 品質評価科

連絡先 01238-9-2001
部会名生産環境
流通利用
専門加工利用対象 豆類分類研究

【 背景・ねらい 】
 北海道における菜豆類の生産量は全国の9割以上を占め、一層の品質向上と安定生産が求められている。そのため、道産菜豆類の品質現況を把握するとともに、製あんに関わる品質特性を解明する。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 菜豆類主要3品種の品質の現況として、浸漬液固形分およびアミログラム最高粘度 には、CV10〜30%程度の大きな変動が認められ、栽培環境の大きな影響を受けている。 しかし、貯蔵条件に起因した改良早生大福のあん収率の変動を除き、製あんに関する特性値(表1破線以下)では変動が比較的小さい。
  2. 菜豆類の品質特性を種類別にみると、手亡類は粗脂肪含有率と浸漬液固形分が高く、煮熟増加比が大きく、生あんのL*値が高い傾向にある。大福類はタンパク含有率が低く、平均あん粒径が小さい特徴がある。金時類は原粒タンパク含有率が高く、福白金時を除き煮熟増加比が小さい傾向にある。
  3. 百粒重と平均あん粒径の間(図1)、および煮熟増加比とあん収率の間(図2)に 高い正の相関関係が認められ、手亡類、大福類、金時類のそれぞれの種類の中では、百粒重があん粒子の大きさを、一定時間における煮熟増加比は煮えやすさを表す指標となる。
  4. 種皮色と生あん色の間に有意な相関関係はほとんど認められず、種皮色は生あんの色を判断する上での指標とはなり得ない。
  5. 大福類では吸水および煮熟に関わる特性値に及ぼす原粒水分の影響が大きく、原粒水分が低いと、煮熟増加比およびあん収率の低下を招きやすいことから、収穫後の調整段階における水分管理の重要性が指摘される。

【 成果の活用面・留意点 】

  • 道産菜豆類の品質の現況および変動幅の基礎資料とする。
  • 菜豆類の製あん特性を評価する際の指標品質として利用する。

    【 その他 】

    研究課題名:豆類の加工適性向上試験
          (1) 煮豆等利用向け豆類の加工適性評価基準設定試験 予算区分 :道費
    研究期間 :平成6年度(平成2年〜6年)
    研究担当者:加藤 淳、目黒孝司
    発表論文等:なし

            「平成7年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.453