だいこんの品種特性
【 要約 】 だいこんの民間育成品種・系統について、8ヶ所の試験地で、4作期について品種特性調査を実施し、それぞれの作期毎に総合評価を与えた。その結果、標準品種と同等あるいはそれ以上の総合評価を得た品種は、作期I(春まき)では8II(初夏まき)では11、III(夏まき)では13、IV(晩夏まき)では11品種となった。
北海道立十勝農業試験場・研究部・園芸科 連絡先 0155-62-2431
部会名 作物専門 育種対象 根菜類分類 指導

【 背景・ねらい 】
 だいこんには、数多くの種苗業者が育成、あるいは導入し、販売している幾多の品種があふれている。さらに多くの育成系統がそのあとに続いている。それぞれの品種にはそれぞれの特長があるはずで、各産地ではどの品種を選んで栽培すればよいのかが大問題である。そこで、地域農業技術センターとタイアップして、優良な品種を産地で速やかに導入・普及できるよう、それらの品種・系統の作期毎の特性を明らかにしようとした。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 作期I(春まき)では、抽台・低温肥大性・ス入りが重要な特性項目であった。作期II(初夏まき)は生育前半の低温・長日による抽台、生育後半の高温によるス入り・赤心症・曲根の発生が多くなる作期で、晩抽性のほかに各種生理障害に対する抵抗性も重要な特性項目であった。現在、北海道では最も優良な品種が望まれている作期である。作期III(夏まき)は年次・播種期によっては抽台の危険性があるうえに、生理障害・軟腐病・モザイク病の発生が多くなる。作期IV(晩夏まき)は、空洞症・軟腐病・モザイク病が発生する場合があるが、だいこん栽培には最も適した作期で、適品種は数多くあった。
  2. 各作期において標準品種に対して同等以上の総合評価を示したものは次の通りである。
    1. 作期I :「天宝(S-23)」、「W-1513」、「YRあきしの」、「周作」、「周作2号」、「W-1512」、「T-396」、「T-403」
    2. 作期II :「YRあきしの」、「周作」、「周作2号」、「W-1512」、「T-396」、「T-403」、「健志総太り」、「涼太」、「献夏青首」、「かつみ」、「福味2号」
    3. 作期III:「W-1512」、「T-396」、「T-403」、「沢美」、「健志総太り」、「涼太」、「献夏青首」、「かつみ」、「福味2号」、「W-1527」、「TE-7」、「宮子町」、「役者横丁」
    4. 作期IV :「W-1512」、「T-403」、「沢美」、「健志総太り」、「涼太」、「かつみ」、「福味2号」、「W-1527」、「TE-7」、「宮子町」、「役者横丁」

【 成果の活用面・留意点 】

  1. だいこんの移出向け栽培における作型別の品種選定の資料とする。

【 具体的データ 】

表1 だいこんの品種特性(作期II:初夏まき)
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 品種名     抽苔の ス入り 空洞症 赤心症  曲根  根 長 肥大の  裂根
 系統名      早晩                      早晩
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 T-340     ◎   ○  ◎〜○  ○  ○〜△ ◎〜○ ◎〜○  ○
 YRあきしの ◎〜○ ○〜△ ○〜△  ○   ◎  ○〜△ ○〜△  ○
 周作    ◎〜○ ◎〜○ ○〜△  ○  ○〜△ ◎〜○ ◎〜○  ○
 周作2号  ◎〜○ ◎〜○  ○   ○  ○〜△  ◎   ◎  ◎〜○
 W-1512    ○  ○〜△ ◎〜○ ◎〜○  ◎   △   ○  ◎〜○
 T-396     ○   △   ○   △   ○   ○   ◎   ○
 T-403     ○   △  ◎〜○ ○〜△ ◎〜○  ○   ○   ○
 健志総太り ○〜△ ○〜△  △  ◎〜○  ○   ○   ○  ◎〜○
 涼太    ○〜△ ○〜△  △  ◎〜○  ○   ○   ○  ◎〜○
 献夏青首   △   ◎   ◎  ◎〜○  ◎  ○〜△  ○  ◎〜○
 かつみ    △   △   △  ◎〜○  ○   ○   ○  ◎〜○
 福味2号   △   △   △  ◎〜○  ○   ○   ○  ◎〜○
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  備  考  ◎:晩 ◎:晩 ◎:少 ◎:少 ◎:少 ◎:長 ◎:早 ◎:少
       ×:早 ×:早 ×:多 ×:多 ×:多 ×:短 ×:晩 ×:多
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 註)標準品種:「T−340」

【 その他 】

研究課題名:移出野菜の品種特性調査
予算区分 :道単
研究期間 :平成6年度(平成5〜6年)
研究担当者:西田忠志・越智弘明

        「平成7年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.62