夏秋どりブロッコリーの品種特性
【 要約 】 夏秋どりブロッコリーの品種特性を作期2〜4で約19品種・系統を供試して調査した。生育日数により早晩性の群分けを行い、障害花蕾の発生や収量性、花蕾色を中心とした外観品質を明らかにした。
北海道立上川農業試験場・研究部・園芸科連絡先 0166-85-2200
部会名 作物専門 育種対象 花菜類分類 指導

【 背景・ねらい 】
 ブロッコリーは北海道で夏秋期の栽培は適しているが、近年急速に普及したため、北海道での品種特性は明らかでない。そこで夏秋どりブロッコリーの品種特性を調査した。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 生育、生育日数:収穫時の生育量は、「緑帝」が大きく次いで「T−597」・「トリスタン」であった。生育日数で早晩性の群分けを行うと、早生群は生育数83日以内で積算温度(日平均気温)1,500゜C以内、中生群は生育日数84〜90日以内で積算温度1,500〜1,600゜C、晩生群は生育日数90日以上で積算温度1,600゜C以上であった。
  2. 収量:規格内花蕾数は、「ゆとり1号」が最も多く次いで「ハイツ」・「直緑28号」であった。これらの品種は、障害花蕾の発生が少なく規格内割合が高かった。
  3. 障害花蕾の発生:障害花蕾の中では、リーフィーの発生が最も多かった。品種・系統の中では、「しげもり」・「かさもり」で多く、「ゆとり1号」・「ハイツ」・「むらくも」で少なかった。不整形花蕾は、「プライム」・「あつもり」・「緑嶺」で多かった。軟腐病の発生は、早晩性が早生ほど多くなる傾向があり、「海嶺」・「トリアノン」・「むらくも」で多く、逆に「あつもり」・「直緑28号」・「ハイツ」・「しげもり」で少なかったが、全く発生しない品種・系統はなかった。
  4. 花蕾の形質:花蕾重は、「しげもり」・「緑帝」で大きく「海嶺」・「あつもり」で小さかった。外観品質は、「ハイツ」が良く次いで「緑帝」・「あつもり」・「しげもり」・「緑嶺」で、「プライム」・「トリアノン」で悪かった。花蕾の色調では「直緑28号」・「海嶺」・「ゆとり1号」で色相が大きく緑色度合いが高かった。収穫後の退色は、「直緑28号」・「ゆとり1号」で色相の減少が少ない傾向であった。
  5. まとめ:総合的にみて、「ハイツ」・「ゆとり1号」が良好であった。「ハイツ」は各年とも外観品質が安定しており、多収であった。「ゆとり1号」は、障害花蕾の発生が少なく規格内花蕾数が多かったが外観品質がやや劣った。「しげもり」・「緑嶺」は外観品質が「ハイツ」と同程度に優れた。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. ブロッコリー品種選定上の資料となる。
  2. 品種選定に当たっては、市場性も考慮すること。

【 その他 】

研究課題名:夏秋どりブロッコリーの高品質安定多収技術の確立
予算区分:道費
研究期間:平成6年(平成3〜6年)
研究担当者:川岸康司・黒島学・中本洋・塩澤耕二
発表論文等:夏秋どりブロッコリーの安定栽培(第1報)生育・品質の品種間差異、北海道園芸談話会報24号
       夏秋どりブロッコリーの花らい色の品種間差異、北海道園芸談話会報25号

        「平成7年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.70