夏秋どりブロッコリーの栽培安定化技術
【 要約 】 ブロッコリーの夏秋どり栽培では、200〜406穴程度のセル成型で24日前後育苗し、栽植密度は417株/a程度とし、施肥窒素は基肥(0.5kgN/a)と定植後およそ1カ月に施肥(1.0kgN/a)することが有効である。高温・干ばつ条件では、定植から出蕾期までの潅水が有効であり、潅水開始点はpF2.5とする。
北海道立上川農業試験場・研究部・園芸科 連絡先 0166−85−2200
部会名 作物 専門 栽培 対象 花菜類 分類 指導

【 背景・ねらい 】
 北海道では、ブロッコリーの栽培は夏期冷涼で少雨の気候を生かし、夏秋期に増加しているが、夏秋どりでは軟腐病や不整形花蕾の発生が多く、商品化率が低くなる場合が多い。そこで、障害花蕾の発生を抑制し、商品化率の高い、栽培安定化技術を検討した。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 育苗方法 セル成型苗は、ペーパーポット苗に比べ生育はやや劣るが、苗質が良く規格内収量が勝る。省力性を考慮すると、200〜406穴のセル成型ポットで24日間育苗することが適当である(表1)。
  2. 窒素施肥法 N多肥により軟腐病の発生が高まる。分施により軟腐病発生率は低くなり、安定した収量が得られ、花蕾色も濃くなる。基肥を 0.5kg/aとし、定植約1ケ月後に1kg/a追肥することがよい(表2)。
  3. 栽植密度 密植ほど規格内収量は多収となるが、花蕾は小さくなる傾向があるため417 株/a程度が適する。
  4. 潅水 高温・干ばつ条件下では潅水の効果が明らかで、その場合マルチを併用すると潅水回数の節減となる。潅水期間は定植から出蕾期までとし、潅水開始点はpF2.5とする(表3)。
  5. 雨よけとマルチについては、部分的にはメリットもあるが、総合的に見ると必要はない。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. サイズの小さいポットの利用については、土壌の乾燥等の厳しい定植条件の際はかん水等の対策を考慮すること。
  2. 分施法における窒素の施肥効率は基肥全面全層に比べて同程度か高まると考えられるので、窒素施肥量については各地の施肥実態量の範囲内にすること。

【 その他 】

研究課題名:夏秋どりブロッコリーの栽培安定化技術
予算区分 :道単
研究期間 :平成6年度(平成3〜6年)
研究担当者:川岸康司・中本 洋・塩澤耕二・黒島 学
発表論文等:夏秋どりブロッコリーの安定栽培(第3報)出らいから収穫までの日数が収穫花らいの退色に及ぼす影響、
       北海道園芸談話会報、第26号(1993),
       (第4報)窒素の施用量と分施が生育に及ぼす影響,北海道園芸談話会報,第27号(1994)

        「平成7年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.84