花き類に新たに発生が認められた病害虫とその被害様相
【 要約 】 ライラック・カラー・アスチルベ・カンパニュラに発生する病害虫のうち、防除を必要とする病害虫はライラックで6種、カラーで4種、アスチルベで4種、カンパニュラで2種である。
北海道病害虫防除所・予察課 連絡先 01238-9-2080
部会名 生産環境 専門 作物病害・作物虫害 対象 花き類 分類 指導

【 背景・ねらい 】
 近年の花き生産は消費者の大衆化および趣向の変化から少量多品目化が進み、生産者もさまざまな花き品目の栽培を取り組んでいる。新たに市場性のある花き品目も注目され、北海道では切り花としてライラック・カラー・アスチルベ・カンパニュラなどが北海道の特産花きとして期待されている。しかし、これらの栽培に当たり、生産性を大きく阻害する病害虫については全国的にもほとんど調査されていないため、栽培上、重要と思われる病害虫の発生実態および被害の様相を明らかにし、防除対策に資する。

【 成果の内容・特徴 】

     平成3年から平成6年の調査により、北海道で4種の花き類から新たに発生が確認された病害虫は下記のとおりであった(表1)。調査場所は全て夕張郡長沼町である。
  1. ライラックでは病害4種、害虫18種の発生が確認された。
  2. カラーでは病害2種、害虫9種の発生が確認された。
  3. アスチルベでは病害3種、害虫4種の発生が確認された。
  4. カンパニュラでは病害1種、害虫4種の発生が確認された。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. ライラックで防除を必要とする重要病害虫は枝枯細菌病、枝枯菌核病、灰色かび病、マエアカスカシノメイガ、クロハマキホソガおよびナガチャコガネなどである。
  2. カラーで防除を必要とする重要病害虫は軟腐病、アザミウマ類、アブラムシ類およびナミハダニなどである。
  3. アスチルベで防除を必要とする重要病害虫は灰色かび病、さび病(仮称)、ユキヤナギアブラムシおよびハマキガの1種などである。
  4. カンパニュラで防除を必要とする重要病害虫は菌核病、ナミハダニなどである。

【 具体的データ 】


 表1 各品目の病害虫と重要度
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    和   名       重要度
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1. ライラック(モクセイ科)
病害: 枝枯細菌病       +++
    枝枯菌核病       ++
    灰色かび病       ++
    うどんこ病        +
害虫: エゾアオカメムシ     +
    トビハマキ        +
    ミダレカクモンハマキ   +
    オオギンスジハマキ   ++
    クロハマキホソガ    +++
    マエアカスカシノメイガ +++
    シロオビフユシャク    +
    シモフリトゲエダシャク  +
    カバエダシャク     ++
    ヒメシロモンドクガ    +
    クワゴマダラヒトリ    +
    シマカラスヨトウ    ++
    ミヤマカバキリガ    ++
    カバキリガ       ++
    ホソバキリガ      ++
    スモモキリガ      ++
    ナシケンモン       +
    ナガチャコガネ     +++
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 表2 各品目の病害虫と重要度(続き)
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   和   名      重 要 度
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2.カラー(サトイモ科)
病害:軟腐病         +++
   灰色かび病        +
害虫:ネギアザミウマ      +
   ヒラズハナアザミウマ  +++
   オンシツコナジラミ    ++
   ワタアブラムシ      ++
   モモアカアブラムシ   +++
   ヨトウガ         ++
   ベニスズメ        +
   ナミハダニ       +++
   ロビンネダニ       ++
3.アスチルベ(ユキノシタ科)
病害:灰色かび病       ++
   菌核病          +
   さび病(仮称)     ++
害虫:ユキヤナギアブラムシ  +++
   ジャガイモ
    ヒゲナガアブラムシ   +
   ハマキガの1種     +++
   ヨトウガ         +
4.カンパニュラ(キキョウ科)
病害:菌核病         ++
害虫:ヒラズハナアザミウマ   +
   モモアカアブラムシ    ++
   ヨトウガ         +
   ナミハダニ       +++
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【 その他 】

研究課題名:主要花きの病害虫の発生実態と防除対策試験
予算区分 :道費
研究期間 :平成6年度(平成3年〜6年)
研究担当者:奥山七郎、堀田治邦
発表論文等:北海道におけるカラー軟腐病の発生 北日本病虫研報、45号、1994

        「平成7年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.161