褐色低地土転換畑における花き栽培圃場の造成法
【 要約 】 花き栽培に適した転換畑の造成方法を検討した。その結果、火山灰客土と有機物の多量施用は作土の保水力・保肥力等の改善、深耕と有材心土改良耕は排水改良・根域拡大に対して有効であった。
北海道立上川農試・土壌肥料科 連絡先 0166-85-2200
部会名 農村計画(農業物理) 専門 農地整備 対象 花き類 分類 指導

【 背景・ねらい 】
 現在、水田面積の小さい農家は、転作作物として収益性の高い、花き・園芸作物の導入による経営の安定化が重要な課題になっている。北海道は冷涼な気候が花き生産に有利に働き、粗生産額で100億円を越える急成長をみた。
 しかしながら水田転換畑は土壌構造が未発達であり、花き生産にとって透水性・砕土性・有効水分など問題点が多い。本試験は褐色低地土の転換畑を対象として土壌の理化学性を改善することにより、高収益な花き生産ができる圃場の造成方法を検討し、もって稲作・園芸複合経営の推進と安定化に寄与する。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 作土の土性を植壌土から砂壌土に変化させるための火砕流堆積物を客土(5cm)した。これにより孔隙量は増加し、透水性が向上した。(表1)
  2. 有機物の施用(バーク堆肥10t/10aまたはピートモス30kl/10a)は腐植含量を増加させて土壌を膨軟化した。これにより、土壌の有効水分は増加し、また肥料保持能も高まった。(図1)
  3. 深耕は耕盤層の破壊と有効土層の拡大に有効であった。(図2)
  4. 有材心土改良耕(巾30cm、深さ50cm)は基盤造成時における余剰水分の排水に有効であり、また水分・養分の保持や根活力の観点からも良好であった。(図3)
  5. 耕盤層は乾燥条件で人為的に破壊しない場合、長期間にわたって維持された。
  6. 投資した資本の回収は花き栽培数年以内で可能であった。
  7. 以上に示した花き圃場の造成法は褐色低地土転換畑の花き栽培にきわめて有効であった。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. 本造成法は褐色低地土転換畑に花きを安定的に生産する場合に活用する。
  2. 本造成に関する各種の施工は土壌水分の低い時期に実施する。

【 その他 】

研究課題名:花き導入のための高水準転換畑の短期造成法並びに基準策定試験
予算区分 :道 単
研究期間 :平成6年度(平成3年〜6年)
研究担当者:後藤英次、横井義雄、稲津 脩
発表論文等:な し

        「平成7年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.381