大豆狭畦幅密植栽培の問題点と省力機械化栽培の可能性
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【 要約 】
狭畦幅密植栽培の生育および収量特性と栽培上の問題点を整理し、省力栽培の可能性を検討した。土壌処理除草剤による除草効果が十分期待できる場合、狭畦幅密植栽培は中耕、手取除草の省略とコンバイン収穫体系により秋播小麦に近い労働時間で省力機械化栽培が可能となる。
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北海道立十勝農業試験場・研究部・ | 豆類第一科、 農業機械科、 土壌肥料科 |
| 連絡先 |
0155-62-2431
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部会名 |
作物、農村計画
| 専門 |
栽培、作業
| 対象 |
工芸作物
| 分類 |
指導
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【 背景・ねらい 】
大豆の省力栽培を目指して、除草作業(慣行手取除草では全作業の45%を占める)の省略とコンバイン収穫体系を前提とする狭畦幅密植栽培が、平成3年前後に十勝地方の一部で試行された。しかし、これまでこの栽培法について未検討であり、普及指導の立場から1.中耕および手取除草省略の可能性、2.収量性、3.密植栽培での増肥の必要性、
労働時間の短縮について試験研究が要望されていた。そこで、狭畦幅密植栽培における生育、収量特性を明らかにし、実用上の問題点を整理するとともに省力栽培の可能性を検討した。
【 成果の内容・特徴 】
- 平成4年から7年まで4年間実施した「カリユタカ」による狭畦幅密植栽培は、標準栽培に比べて収量は同等か若干増収した(表1)。
- 狭畦幅密植栽培の生育特性は、個体の分枝数が減少し主茎型の草姿に変わり、最下着莢節位高が高くなり、茎水分の低下が速まる傾向があるなど、コンバイン収穫適性が向上した(表1)。
- 狭畦幅密植栽培のリン酸増肥(2倍量)は、初期生育を良くするが増収効果は小さいことから、狭畦幅密植栽培においても現行の標準施用量で対応可能である(表2)。
- 密植栽培における開花期前後の窒素追肥は、一般栽培と同様増収を期待できるが、追肥による倒伏増加の危険性もあることから、生育状態を観察した上で施用する。
- 狭畦幅密植栽培に必要な機材装備としては、畦幅33㎝の7畦用施肥播種機とリールタイプの汎用コンバインで、落粒防止用の改造を要する(表3)。
- 初期の雑草防除が不十分な場合、手取除草が必要となり投下労働時間が大幅に増大する危険がある。一方、初期の雑草抑制が十分期待できる場合、狭畦幅密植栽培は中耕・手取除草の省略とコンバイン収穫による省力機械化栽培が可能となる(表4)。
【 成果の活用面・留意点 】
- 大豆の生育初期の雑草防除が不十分な場合、中耕除草ができず手取除草の労働強化となるため狭畦幅栽培の導入は困難である。
- 一方、土壌処理除草剤による除草効果が十分期待できる場合、狭畦幅密植栽培が可能であるが、実施には以下の点に留意する。
- 肥培管理は、標準施肥量を基本に行い、窒素追肥は一般栽培と同様生育状態を観察して行う。
- 密植栽培では菌核病の発生が多くなるので、適期防除に努める。
- 除草剤散布、薬剤散布、窒素追肥等は防除畦を定めて行う。
【 その他 】
研究課題名:大豆の狭畦幅密植栽培実用化試験
予算区分 :道費
研究期間 :平成7年度(平成4〜7年)
研究担当者:田中義則、松川 勲、白旗雅樹、渡辺祐志
発表論文等:ダイズの草型、畦幅および栽植密度が収量および収量構成要素に及ぼす影響、日本作物学会紀事第199回講演会要旨・資料集、第64巻別号1、1995。
「平成8年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.67