短紙筒によるてんさいの育苗・移植栽培
【 要約 】 てんさい移植栽培で、短紙筒を利用すると、育苗土の重量が規格1号紙筒の約75%ですみ、収量、品質は規格1号紙筒とほとんど差がない。最も普及している移植機では、部品の一部改良により、規格1号紙筒と同様に移植できる。
北海道立十勝農業試験場・てん菜特産作物科
農業機械科
連絡先 0155-62-2431
部会名 作物 専門 栽培 対象 工芸作物類 分類 指導

【 背景・ねらい 】
 農家の経営規模拡大と労働力不足が進む中、てんさい栽培の省力・低コスト化が求められている。
 短紙筒の利用による育苗、移植作業の軽労化、育苗床土などの節減、短期育苗による管理作業の省力化などを図り、生産現場において現有の農作業機械の簡易な改良により導入することのできる、てんさい移植栽培の省力技術について検討する。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 短紙筒(紙筒長9.75cm)は、規格1号紙筒(紙筒長13cm)に比較して、育苗土の重量が約75%、移植直前潅水後の重量が約70%である(表1)。
  2. 短紙筒(紙筒長9〜10cm)栽培は、規格1号紙筒と収量、品質にはほとんど差がない(表3)。
  3. 育苗期間は4〜5週間とし、草丈は2cm以上確保する。
  4. 最も普及している移植機では、部品の一部改造により、規格1号紙筒と同様に移植できる。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. 育苗及び移植作業の軽労化に貢献できる。
  2. 本試験での育苗土の施肥濃度は、紙筒長に関わらず同じとしたので、短紙筒での1冊当たりの施肥量は規格1号紙筒より少ない。
  3. 規格1号紙筒の育苗管理基準を遵守する。
  4. 土詰め装置及び移植機のコンベヤゲージ、オープナの改造が必要である。
  5. 苗振り分け装置を有する機種では、こぼれ土割合が高くなるので、作業速度は0.8m/sを上限とする。

【 その他 】

研究課題名:てんさい栽培の省力・低コストかに関する試験
      (1) 移植栽培の省力・低コストかに関する試験
予算区分 :受託
研究期間 :平成5〜7年度
研究担当者:吉村安弘、有田敬俊、手塚光明、桃野寛、阿部晴記
発表論文等:吉村安弘、有田敬俊:短紙筒によるテンサイ移植栽培が生育、収量に及ぼす影響、日本育種・作物学会北海道談話会報第36号、1995

        「平成8年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.70