ジャガイモ疫病に対する減農薬防除技術
【 要約 】 ジャガイモ疫病は、初発日からのTPN・シモキサニルフロアブル、またはフルアジナム水和剤の散布あるいは、慣行の防除時期からフルアジナム水和剤、1,500倍の14日間隔散布、さらに、圃場抵抗性品種「マチルダ」の利用により減農薬防除が可能である。
北海道立十勝農業試験場 研究部 病虫科
北海道立北見農業試験場 研究部 病虫科
連絡先 0155-62-6326
0157-47-2146
部会名 生産環境(病害虫) 専門 作物病害 対象 ばれいしょ 分類 指導

【 背景・ねらい 】
 ジャガイモの疫病は、主要畑作物の中で最も多くの防除回数を必要とする病害であり、生産現場からは、低コスト化や環境の維持を目指した減農薬による、より効率的な防除対策が望まれている。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 疫病の初発前からのマンゼブ水和剤、500倍の4〜5回散布と比較して、初発日からのTPN・シモキサニルフロアブル、750倍の3〜4回散布はほぼ同等、フルアジナム水和剤、1,000倍の4回散布はより高い効果を示した。
  2. フルアジナム水和剤、1,500倍の14日間隔の2〜3回散布は、フルアジナム水和剤、2,000倍またはマンゼブ水和剤、400倍の4〜7回散布と同等の防除効果を示した(表-1)。
  3. 疫病圃場抵抗性品種「マチルダ」を用いることによって、無防除または生育後半の1〜2回防除で疫病の実質的な被害が回避できた。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. FLABS(北海道立中央農業試験場にて開発された、馬鈴薯疫病初発予測システム)の予測による危険期到達日から圃場を観察して、疫病の初発を確認する。
  2. 圃場抵抗性品種「マチルダ」を用いても、8月下旬以降に疫病が発生した場合には、塊茎腐敗が発生する恐れがある。

【 具体的データ 】

表-1 ダブルインターバル散布による疫病の防除効果(平成7年・十勝農試)
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供試薬剤・     希釈    散布月日*        発病度 総薯重  薬
処理区分      倍数   7/4 10 17 27 8/1 7 15 (7/28) (Kg/10a) 害
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フルアジナム水和剤 1500倍  ○   ○   ◎ ◎ ◎  2.8  3,062  −
対マンゼブ水和剤   400倍  ○ ○ ○ ○ ◎ ◎ ◎  3.6  3,057  −
無散布                           89.4  2,311
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     疫病初発期:7月5日   表中、*:◎はマンゼブ水和剤500倍。

【 その他 】

研究課題名:ジャガイモ疫病に対する減農薬防除技術
予算区分 :道費
研究期間 :平成7年度(平成3年〜7年)
研究担当者:阿部秀夫・鳥倉英徳・田中文夫
発表論文等:

        「平成8年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.179