広幅散粉機
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【 要約 】
ブームスプレーヤ装着型の広幅散粉機を開発した。石灰窒素粉剤の散布と同時に散水することにより、粉剤の大気への飛散を抑制することが可能であった。
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道立十勝農業試験場・研究部・農業機械科
| 連絡先 |
0155-62-2431
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部会名 |
農村計画(農業物理)
| 専門 |
機械
| 対象 |
農業機械
| 分類 |
指導
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【 背景・ねらい 】
馬鈴しょの茎葉処理における生育調節剤(粉状石灰窒素)の散布法には上澄液散布法と粉状石灰窒素をそのまま散布する方法がある。前者は溶液調整と残液処理という煩雑な作業が必要であり、後者は作業が容易である反面、大気飛散防止を配慮すると散布幅が3.5m程度となり作業能率が極めて低い。そこで既存のブームスプレーヤを利用し、石灰窒素粉剤の飛散が少ない広幅散粉機を開発した。
【 成果の内容・特徴 】
- 本機はブームスプレーヤに送風式の散粉装置(図2)を組込んだ広幅散粉機である(図1、表1)。タンク内に充填された粉剤は、溝ロール回転式の繰り出し装置で一定量繰り出され、送風機により空気とともに搬送され、噴頭より吐出される。繰出装置は12VDCモータ駆動であり、繰出量はロールの回転数で調整する。既製の樹脂性DL多口噴頭を使用した場合、散布の均一性を考慮すると、噴管の長さは14mが限界であった。
- 風洞内において風速を2.5m/sとし、粉剤の散布と同時に散水した場合、粉剤吐出口から1mの地点においては、粉剤の落下量が散水なしに比較して3倍になり、風洞の端での落下量は1/30に減少した(図3)。以上から、水をスプレーすることによる粉剤の飛散抑制効果が確認できた。
- 広幅散粉機を用い、粉剤の地面からの跳ね返りやひろがり具合を考慮し、散布高さを60cmとしたが、散布量は12.5〜19.4kg/10aであった(表2)。試験時は風速1m/sであったが、散布地点から風下25mの地点での飛散量は0.2g/・と極めて少なく、また風下15mの地点においても粉剤の飛散は少なく、平均粒径は23.6μmであった。茎葉の枯凋は、散布後11日であった。
【 成果の活用面・留意点 】
- 散布作業時には防塵マスク及び防除衣を着用する。
- 風が強く石灰窒素粉剤の飛散が懸念される場合には、散布作業を行わない。
【 その他 】
研究課題名:高精度広幅散粉機の開発
予算区分:共同研究
研究期間:平成7年度(平成6〜7年)
研究担当者:鈴木 剛、桃野 寛、白旗 雅樹、鈴谷 晃啓(東洋農機)秋山 勝(電気化学工業)
「平成8年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.436