夏どりレタスの品種特性
【 要約 】 レタス20〜32品種・系統を3年間、夏どり作期(6月上・中旬播種)において、抽台性、収量、品質などの栽培特性を明らかにした。また、地域センターの成績を参考にし、品種・系統の評価を行った。
北海道立上川農業試験場 研究部 園芸科 連絡先 0166-85-2200
部会名 作物 専門 育種 対象 葉菜類 分類 指導

【 背景・ねらい 】
 比較的冷涼な気候を好むレタスの夏期における生産は、北海道の気象条件に適しており将来より生産地は広がる可能性がある。そこで、夏期における適応品種選定のために品種特性を明らかにした資料が必要となってきた。このため本試験は、夏どり作期(6月上〜中旬播種)での各品種の特性を明らかにし、品種選定の資料を得ることを目的とした。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 2年間以上供試し規格内収量が多く総合的な評価が高かった品種・系統の特性概要は下記のようであった。
  2. 草勢は、「カルマーMR」、「CMクロス」で極く強く、逆に「フロント」、「エムラップ231」等で弱かった。早晩性は、各品種・系統とも大きな差はなかった。
  3. 抽台性は、草勢が強いタイプで早い傾向があり、「サクラメント」で早く「オリンピア」、「みずさわ」等で遅かった。
  4. 障害球は、年により発生の種類が変わったが「フロント」、「エムラップ231」、「みずさわ」が病害、縁腐れ症状、異常球の発生が少ない傾向であった。
  5. 球の形状は、各品種・系統ともほぼ球〜やや扁平であったが「ユニット」はやや長球形であった。球色は、草勢が強いタイプで濃く、草勢が弱いタイプで薄い傾向であった。品種・系統では、「カルマーMR」、「CMクロス」で濃く、「オリンピア」、「ユニット」等で淡かった。緊度は、「みずさわ」が最も高く次いで「オリンピア」、「CMクロス」で、逆に「ひたちグリーン」、「フロント」、「シスコ」で低かった。
  6. 規格内収量は、「みずさわ」、「オリンピア」、「エムラップ231」、「シスコ」が高かった。
    これらの品種は各年とも比較的規格内品率が高く、結球重も高位〜中位であり、また地域センターでの評価も高い傾向であった。

【 成果の活用面・留意点 】
 夏どりレタスの品種選定上の資料となる

【 具体的データ 】

表1 夏どりレタスの品種特性、規格内収量比
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  品種       草    抽    球の  球色  緊度  規格内 規格内  平  均
  および      勢    台    形状          収量比 球  率  結球重
  系統名           性                       (%)    (g)
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 カルマーMR   極強   ヤ早    球   濃   中   (182)  64   635
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 サクラメント  強    早   ヤ偏  ヤ濃  ヤ高   111   66   660
 ひたちグリーン 弱   ヤ晩   ヤ偏   中   ヤ低   100   77   502
 ユニット    弱    晩   ヤ長   淡   中   108   60   576
 エムラップ231  弱   ヤ早    球   中   ヤ高   136   93   508
 オリンピア   中    晩    球   淡   高   137   69   655
 みずさわ    中    晩   ヤ偏   中   高   161   89   643
 シスコ     強   ヤ早   ヤ偏  ヤ濃  ヤ低   133   83   614
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 カルマーMR                         (122)*  55*   543*
 CMクロス    極強    中   ヤ偏   濃   高   119*  72*   457*
 グリーンラップ 強   ヤ早    球   ヤ淡   中   136*  76*   486*
 サクセス    中    晩    球   中   高   140*  74*   469*
 Y2409      弱   ヤ晩    球   淡   中   143*  75*   484*
 フロント    弱    晩    球   中   ヤ低   152*  89*   466*
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 (注)規格内収量比は「カルマーMR」対比、「カルマーMR」欄は実数(kg/a)
    規格内収量比、規格内球率、平均結球重のデータ欄中 *印は2年間の平均値

【 その他 】

研究課題名:移出野菜の品種特性調査 レタス
予算区分 : 道費
研究期間 : 平成7年度(平成5〜7年)
研究担当者: 塩澤耕二・中本 洋・黒島 学

        「平成8年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.78