施設キュウリのうどんこ病べと病に対する減農薬防除技術
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【 要約 】
施設キュウリのうどんこ病については、農薬散布の3回に1回を無防除とする方法で、べと病についてはマルチによるハウス内全面被覆と収穫終了の1ヶ月前からの防除をカットすることで、両病害とも約3割の減農薬が可能である。
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北海道立道南農業試験場・研究部・病虫科
| 連絡先 |
0138-77-8116
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部会名 |
生産環境
| 専門 |
作物病害
| 対象 |
果菜類
| 分類 |
指導
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【 背景・ねらい 】
環境問題への関心や安全な農産物を求める声が高まり、自ら減農薬を試みる生産者も増えているが、技術的に確立したものではないため、品質低下や減収を招くことが多い。
施設キュウリには、うどんこ病およびべと病が恒常的に発生し、農薬の散布が多いため、減収の少ない減農薬栽培技術の確立を目指す。
【 成果の内容・特徴 】
- うどんこ病の減農薬防除技術
- 発病が収量に及ぼす影響
無防除では慣行防除に比較して、収量は果実数で42.2%、果実重量で43.9%減収した。
- 防除回数と発病との関係
- 防除打ち切り後に発病が増加したことから、完全な防除の打ち切りは危険である。
- 減収率5%を許容範囲とした場合、慣行の9回散布のうちで3回に1回の割合で殺菌剤散布を削減しても収量に影響は小さく、減農薬が可能である(図1左)。
- その他の減農薬栽培に利用できる技術として、酸性水溶液散布、抵抗性品種(夏すずみつばさ、あそみどり5号)の利用が有効であった(図1右)。
- ネギ混植、木酢液の散布の防除効果は認められなかった。
- べと病の減農薬防除技術
- 発病が収量に及ぼす影響
無防除では慣行防除に比較して、収量は果実数で41.6%、果実重量で44.9%減収した。
- 防除回数と発病との関係
- 発病と収量との関係から被害許容水準は発病度60と設定された。
- 11月上旬が最終収穫日のハウス抑制栽培では、収穫収量予定日の30日前でべと病の防除を打ち切っても収量に影響がない(図2左)。
- 減農薬栽培の支援技術としてマルチによるハウス内全面被覆に発病抑制効果がある(図2右)。
- ネギ混植、木酢液の散布の防除効果は認められなかった。
【 成果の活用面・留意点 】
- 施設キュウリのうどんこ病およびべと病の減農薬防除技術の参考資料とする。
- 主枝1本仕立て栽培による解析試験である。
- 酸性水溶液は未登録である。
【 その他 】
研究課題名:野菜の減農薬栽培技術の確立
予算区分:道費
研究期間:平成7年度(平成3〜7年)
研究担当者:田中民夫、新村昭憲
発表論文等:北海道のハウス栽培キュウリにおけるべと病の発生と収量日植病報58(4):579(1992)
「平成8年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.188